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琵琶湖の外来魚が謎の半減、大半はブルーギル…生態系に変化か 滋賀県が実態調査へ

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 琵琶湖で大繁殖し、滋賀県にとって悩みの種の外来魚に異変が起きているという。県全体の外来魚駆除量が今年度、突然激減したのだ。特別な対策をしたわけでもなく原因は不明。「環境に異変が起きた」「網にかかりやすい成魚が減っただけ」。さまざまな憶測が飛び交う中、県は減少の原因を探ることを決め、18日、9月定例県議会に調査費を盛り込んだ一般会計補正予算案を提出した。(川瀬充久)

琵琶湖で捕獲量が激減しているとみられる外来魚のブルーギル=滋賀県立琵琶湖博物館
琵琶湖で捕獲量が激減しているとみられる外来魚のブルーギル=滋賀県立琵琶湖博物館

関係者首かしげ

 「こんなことは初めて。原因もさっぱり分からない」。県水産課は首をかしげる。長年頭を悩ませていた外来魚の駆除量が突如として激減したからだ。

 琵琶湖の外来魚の推定生息量は平成28(2016)年度で1131トン。強い繁殖力から既存の生態系を壊すブラックバス、ブルーギルが大半で、ふなずしの材料となるニゴロブナなど在来種が急減するなど、外来魚による食害の影響が大きい。

 このため県は、12年度から外来魚駆除を本格化。駆除の大半は地元漁業者による刺し網などでの捕獲で、県が経費を補助し、19年度(県全体の駆除量543トン)をピークに、推定生息量と駆除量を徐々に減らしていった。

 その結果、昨年度は176トンにまで減少したのだが、今年度は4~7月で駆除量34トン。昨年同期(76トン)の半分以下だった。

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なぜかブルーギルだけ

 県は魚種ごとの駆除実績をまとめていないが、漁業者からは「ブルーギルはほとんど捕れない」との声が多く、減少分の大半はブルーギルとみられている。

琵琶湖で刺し網にかかった外来魚。今夏は大幅な減少が報告されている=昨年10月(滋賀県提供)
琵琶湖で刺し網にかかった外来魚。今夏は大幅な減少が報告されている=昨年10月(滋賀県提供)

 それを裏付ける“証言”もある。外来魚に詳しい県立琵琶湖博物館の学芸員、中井克樹さん(57)は「今年孵化(ふか)したブラックバスが非常に多いと聞いている」。

 ブラックバスの卵や稚魚は、ブルーギルの捕食対象。ブラックバスの孵化が多いのは、ブルーギルに捕食されなかったためとも考えられるというのだ。

 ただ中井さんも、仮にブルーギルが激減しているとしても、その理由は「心当たりはない」という。

 ブルーギルは動物食の傾向が強い雑食性で、プランクトンや在来魚の卵も食べる。中井さんは「ブルーギルが本当に減ったのであれば、湖のプランクトンの組成や生態系に変化があるのかもしれない」と状況に注目している。

急遽予算を編成

 減少の原因を探るため、県は18日に開会した県議会で、ブルーギルの実態調査費750万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を提出した。

 県によると、今年度捕獲されたブルーギルの大半は稚魚という。県関係者は「小さい魚は網にかかりにくい。駆除された稚魚が多いのなら、逃れた稚魚も多い可能性があり、捕獲量が減っても個体数は変わっていないかもしれない。調査を進めて実態を把握する必要がある」としている。

     ◇

【用語解説】ブルーギル

 北米原産のサンフィッシュ科の淡水魚。琵琶湖では昭和40年代から生息が確認され、平成5(1993)年に大繁殖し、現在は琵琶湖全域に生息。生態系に害を及ぼす可能性があることから、滋賀県では自治体や漁業関係者が駆除を進めている。

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