PR

【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】「暗黒時代より打てない」現状…膿出す覚悟はあるか

PR

【プロ野球阪神対巨人】選手交代を告げる阪神・金本知憲監督=7月17日、甲子園球場(撮影・森本幸一)
【プロ野球阪神対巨人】選手交代を告げる阪神・金本知憲監督=7月17日、甲子園球場(撮影・森本幸一)

 鉄人は浅村(西武)、丸(広島)らのFA補強を熱望!! 阪神は後半戦最初の巨人3連戦(甲子園球場)で3連敗。借金6(35勝41敗1分)で首位・広島と9ゲーム差の4位(19日現在)。リーグ制覇の夢が萎(しぼ)み、CS圏が目標になってきました。打撃不振が元凶ですが、15日の坂井信也オーナー(70)と金本知憲監督(50)の会談では指揮官からオフの積極補強を熱望する胸中が示されたもようです。若手育成だけでは限界…。この声を阪神電鉄本社首脳はどう受け止め、実行に移すのでしょう。大型投資の決済の前には現状の監査と粛正人事が待っているかもしれません。

 まさに最悪の後半戦スタートでしたね。本拠地・甲子園球場での宿敵、巨人との3連戦。初戦をメッセンジャーで落とすとズルズルと3連敗。これで借金は6、首位・広島とは9ゲーム差(19日現在)。残り66試合もあるとはいえ、現状のチーム状況を見れば13年ぶりのリーグ制覇の夢は萎んでしまった…と言っても言い過ぎではないでしょう。現実的にはCS圏の3位をどう確保するかがポイントになってきました。

 DeNA戦(横浜)への移動日となった19日には金本監督もボヤキが止まらず、苦しい胸中をはき出していました。

 「しかし、近年で一番打ってないで…。20年、30年くらい。暗黒時代より打ってなくない? 暗黒時代といっても矢野(現二軍監督)が捕手で3割を打ったりしていたしな。桧山がギリギリ3割を打ったりとか、新庄も…。その時より悪いんじゃあないかな。ちょっと(チーム打率を)見てみ」

 77試合消化時点でチーム打率・242、本塁打42本、得点288は全てリーグ最下位。チーム防御率3・73は依然としてリーグトップの数字ですから、いかに打てないことが元凶か、データがしっかりと刻んでいますね。そして、金本監督は囲んだ報道陣を見回して「どうやったら打てる? 教えてくれ…(苦笑い)。まだ(シーズンは)半分ちょっとだけどな」とも…。

 わずか2年半前、2015年10月19日の監督就任会見では「一度チームを壊すぐらいの気持ちで立て直したい。見ていてワクワクするようなチームを作り、結束力のある戦う集団を作りたい」と語っていたはずです。たかが2年半、されど2年半…。みなぎる自信はどこかに消えてしまったのでしょうか。どうか気持ちを切り替えて、打開策は自身の手腕と信頼の置けるスタッフの英知を結集して編み出してほしいものです。

 なぜなら今季はすでに戦力補強の終結を迎えています。球団はロサリオの成績不振を受けて、ナバーロを緊急獲得しましたが、これで補強は打ち止め。残り66試合は現有戦力を駆使して戦うしかありません。もうどこからか戦力を加えて逆襲するという手段はないのです。苦境に立った今こそ金本監督の「監督力」が試されるときでもあるわけですね。

 そして、灼熱(しゃくねつ)の夏の戦いが続く、その舞台裏で来季以降への“胎動”も始まっています。後半戦スタート直前の15日、大阪市内で坂井信也オーナーと金本監督とのトップ会談が行われました。このコラムでも行われることは書きました。揚塩球団社長、谷本副社長の4者会談だったのですが、話の流れは過去のドラフト戦略の振り返りが中心だったようです。高山や大山、昨年の清宮(外れて日本ハム指名)などの1位戦略がどうだったか…の検証だったようですね。その会談の中で指揮官は注目すべき要望を重ねたといいます。

 端的に言えば「今オフの積極的な補強策を要望する」です。

 先に触れたチームの成績不振の元凶。つまり打線の慢性的な不振から脱却するには確実に計算できる打者の獲得が絶対に必要-というものです。今季は韓国リーグで2年連続の本塁打30本以上、100打点以上のスラッガー、ロサリオを獲得しましたが、日本の投手に翻弄されました。いくら3億4000万円の巨額投資をしても、日本球界で未知数な戦力はアテになりません。

 そこで補強のメインテーブルに乗る名前は今季中にFA権を取得した国内の大物野手です。具体的には浅村(西武)と丸(広島)です。浅村は81試合出場時点で打率・300、本塁打19本、打点68。躍進する西武の主砲です。大阪桐蔭出身で今季の年俸は2億1000万円です。丸は61試合出場時点で打率・325、本塁打18本、打点41ですね。千葉経大付属高出身で今季の年俸は2億1000万円ですね。

 もし、2人を両獲りできれば阪神打線は凄いことになりますが、金本監督が補強を熱望する理由は先のコラムでも触れた契約内容に起因します。2016年から2年契約を結んでいた指揮官は昨年暮れ、新たに3年、年俸2億円で契約を更新しています。つまり契約上は2年先まで約束されているわけですね。しかし、期待された今季がV逸でしかもBクラス低迷となり、来季もダメなら2年先はないでしょう。ファンやマスコミ、阪神OBが黙っていません。

 となれば「来季が勝負の年」となるのは坂井オーナーも指揮官も頭の片隅にあるわけです。勝つために必要な要素は誰が見ても明らかです。これ以上、伸び悩む生え抜きの若手野手の成長を待ってはいられません。浅村か丸のどちらかを獲得して、打線の中核を作り、若手野手のプレッシャーを軽減させる。考えることは誰もが同じでしょうね。

 ポスト金本で決め手に欠ける阪神の坂井オーナーや電鉄本社首脳もできれば鉄人に長期間、監督を務めてほしいのが本音でしょう。監督から出された要望には向き合わなければならないはずですが、FA補強となれば巨額投資を決済しなければなりません。これがスムーズに受けいれられるのか。

 ある球界関係者は話しました。

 「ロサリオで3億4000万円だろ。浅村でも丸でも複数年契約だから10億円近く必要。2人ともなら20億円。これを右から左に…とはなかなか行かない。特に坂井オーナーは阪急阪神HDの役員から外れているからね…。これから先、金本監督は何度も本社に強い要望を出さないと話は前に進まないだろう」

 さらに、大型補強を求める前に、なぜ若手野手がプラン通りに育たなかったのか、を説明する義務が現場にはあります。高山や大山、中谷、江越や梅野がレギュラーを獲り切れなかった理由はどこにあるのか? 阪神本社や球団首脳は現状を監査し、場合によってはダメなポストを刷新する必要性が出てくるでしょうね。つまり、金本内閣はそのまま来季には移行しない可能性が高いわけです。膿を出す覚悟が伴わなければ大型投資の決済も揺らぐでしょうね。

 それにしても「暗黒時代より打てない」と言う金本監督の言葉にはあ然としました。暗黒時代の担当記者だったから断言できます。あの時代は戦力があまりにも乏しかった。今は戦力はあるのです。開幕前、優勝候補だったのがその証左です。暗黒時代はいつも最下位予想で期待通り? でしたね。中村勝広監督(故人)、藤田平監督、吉田義男監督、野村克也監督は鉄人の言葉をどんな思いで聞いたでしょうか?

植村徹也(うえむら・てつや) 植村徹也(うえむら・てつや)  1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

この記事を共有する

おすすめ情報