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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】交流戦苦しんだ金本阪神の浮沈のカギは、唯一好調の糸井をどう生かすかだ

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阪神の糸井嘉男選手
阪神の糸井嘉男選手

 糸井一塁もあり!? 糸井を今後どう生かすのかが、金本阪神の重大テーマです。阪神は交流戦を6勝11敗1分で12球団中11位、セ・リーグ最下位で終えました。リーグでは29勝32敗1分の4位で球宴までの18試合に挑むのですが、目を覆う打撃陣の不振の中で唯一、気を吐いているのが糸井嘉男外野手(36)です。交流戦18試合で打率・344、本塁打2本、打点13は孤軍奮闘です。糸井依存度が増す中で金本知憲監督(50)に求められるのは唯一無二に最強カードをどう生かすのか。他球団の“糸井包囲網”を打ち破らなければ、苦しい夏の到来です。

 終わってみれば惨敗の交流戦でした。金本阪神は6勝11敗1分の借金5、12球団中11位でセ・リーグでは最下位に沈みました。セパで見るならば、パが59勝48敗1分と今年もセを圧倒。再開される通常のリーグ戦に目を移すとパはリーグ5位までが勝率5割以上。逆にセ・リーグは首位・広島だけに貯金があり、2位以下が借金状態です。

 おかげで? 負けまくった阪神はそれでも首位・広島とのゲーム差が4・5。これは交流戦開始前の4ゲーム差からあまり離れていません。広島も交流戦は投手陣が崩壊(チーム防御率5・60)し、7勝11敗と負け越したためで、交流戦でチーム状態が上向いたのは最高勝率(・667)に輝いたヤクルトだけです。なので、負けが込んだ阪神は、それでも広島を逆転してリーグ優勝できるチャンスは残った、とも言えるでしょう。

 しかし、チーム状況を見れば関係者も含めて誰も「優勝のチャンスや」などと浮ついた事を言う人はいません。なぜなら逆転Vを可能にするだけの手応えが感じられないからです。交流戦中のチーム打率・250は12球団中7番目、本塁打8本は11位、得点59はロッテと並び10位タイ。

 再開されるリーグ戦で成績(すべて21日現在)を比較すると、チーム打率・237はセ6球団で最下位。本塁打32も最下位。得点204も最下位。盗塁数だけは38で2位。植田海の起用から一気に足は使えるようにはなりました。逆に投手の防御率3・37はリーグトップですから、いかに貧打を投手がカバーしているかが分かります。

 「これだけ打てなくてそれでも首位と4・5ゲーム差というのが奇跡だよ。メッセンジャー、秋山、小野、藤浪、岩貞ら先発陣は揃っているし、リリーフ陣もドリスやマテオが離脱しても桑原、能見、藤川球児らが奮投している。もう少し点が取れるようになったら面白いとは思うけど、ここから先、点が取れるようになるか…と言えば首をひねるしかない」とは阪神OBの言葉ですが、誰しもが同じ見通しになってしまうでしょう。

 そうしたチーム状況の中で、打撃陣の中で唯一気を吐いているのが糸井です。交流戦18試合の成績は打率・344、本塁打2本、打点13。盗塁も6でまさに打って、走って…。今季の通算成績(21日現在)も打率・320、本塁打10本、打点37、盗塁14で出塁率も坂口(ヤクルト)に続くリーグ2位(・423)です。得点圏打率・263はやや低いですが、まさにポイントゲッターにもチャンスメーカーにもなっています。

 今後も戦いを見通す中で、金本監督ら首脳陣は糸井をどのように起用しチームに効果をもたらすか。糸井への依存度が高いだけに大きなポイントになってくるでしょう。 攻守に2つのポイントがあります。まず打撃ですが、現在の阪神打線を見れば糸井ひとりが抜きんでているのは一目瞭然です。ベテランの福留が打率・242、本塁打5本、打点25と調子が上がってきません。チャンスメーカーの糸原が打率・292、出塁率・390と気を吐いていますが、他の若手野手は規定打席にも到達していません。

 さらに二軍降格中のロサリオはしばらく一軍昇格の気配もなく、新外国人ナバーロも未知数ですね。となると、今後もセ・リーグ他球団は阪神打線に対してどんな対処法をとるのか? もう素人でも即答できますね。

 それは“糸井包囲網”ー。糸井との無理な勝負を避け、前後の打者を封じることによって得点能力を奪い取る作戦でしょうね。実は交流戦でも糸井の四球は14。かなりマークされました。今季通算38個はリーグで4番目の多さです。

 「交流戦の最後のオリックス戦もチームの3点はすべて糸井のバットからだ。オリックスベンチが糸井と勝負してくれたから良かったけど、一塁が空いているケースでボール攻めにあったら、あの3点も入っていたかどうか…。データを重視するセ・リーグ各球団はもう分析済みだろう。糸井との無理な勝負を避けてくるはずだ」

 阪神OBの話です。そうなると、今度は金本監督ら首脳陣が知恵を絞る番です。どうやれば糸井と相手バッテリーが勝負せざるを得なくなるか。一番、効果的なのは糸井の背後に恐い打者を置くことです。今のチーム状況なら福留か糸原か、もしナバーロが使えるのなら5番に置く手もあるでしょう。

 もうひとつのポイントは守備です。糸井の右翼の守備にはチームの周辺から疑問の声が出ています。昨季の春季キャンプ前の右膝関節痛や、過去の左膝の故障などから外野の守備範囲が思ったほど広くなく、ここ最近では打球の目測を誤るシーンが見受けられます。

 「糸井は日本ハム、オリックスと本拠地がドーム球場のチームで育ったんだ。甲子園特有の浜風を読み切れていない」と話す阪神OB。そして、両膝の故障歴もあって打球に対して飛び込めない…という評価もあるのです。つまり、右翼・糸井は本人にとってかなり負担になっている…という見方をする関係者もいますね。

 もし、守備面での負担がたたり、過去の故障がぶり返せば、チームにとって痛恨事です。今の打線から「糸井」の名前が消えることなど想像もできません。その瞬間、最下位確定と言っても言い過ぎではないでしょう。 ロサリオが二軍落ちで一軍昇格のメドが立たず、一塁を守っていた陽川を三塁に回している状況下ならば、糸井の一塁転向もあり? という見方をする阪神OBも現実的にいるのです。

 いずれにせよ、金本阪神の反攻の鍵を握っているのは糸井です。最大にして唯一の強力カードをどう生かすのか。あまり前例のないペナントレースの展開で、阪神が奇跡を起こせるとすれば、金本監督の糸井操縦術がハマッた時ではないでしょうか。逆に糸井というカードを有効利用できなければ暑苦しい夏がやって来ますね。

植村徹也(うえむら・てつや) 植村徹也(うえむら・てつや)  1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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