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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】やっとロサリオお目覚め打…チーム方針・育成能力を総点検せよ

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【中日×阪神】10試合ぶり4度目の猛打賞…ウィリン・ロサリオを迎える金本知憲監督=18日夜、ナゴヤドーム(森本幸一撮影)
【中日×阪神】10試合ぶり4度目の猛打賞…ウィリン・ロサリオを迎える金本知憲監督=18日夜、ナゴヤドーム(森本幸一撮影)

 ロサリオ低空飛行でも新外国人野手獲得の動きはなし!! 最重要ポイントはチーム方針の再確認と問題点の総点検および矯正です。金本阪神は37試合消化時点で借金1(18勝19敗)で3位。チーム防御率3・39はリーグ2位ですが、チーム打率・226、本塁打20本はリーグ最低。特にウィリン・ロサリオ内野手(29)の打撃不振が問題になっていますが、球団に新外国人獲得の動きはありません。今やるべきことは外国人野手1人制を敷いたチーム方針の再確認と達成度や問題点のチェックですね。現体制の育成能力を徹底解剖しなければなりません。

■ロサリオを“代打”野手外国人より…将来のタイガースを左右する大問題

 ロサリオの弾けるような笑顔を久しぶりに見ました。18日の中日戦(ナゴヤD)で3安打の活躍。1点を追う六回二死一、三塁では3月17日のオープン戦で本塁打を放った小笠原から中前の同点タイムリー。千金の同点打は8日の巨人戦(東京D)で看板直撃の3号を放って以来、34打席ぶりの打点でした。直後の糸原のタイムリーで逆転すると高橋遥-ドリスの継投でチームは辛勝しました。

 「きょうはいい日だった。コースに逆らわず、センター方向にアジャストすることができた。チームに貢献することができてよかったよ」

 5日の中日戦(甲子園球場)以来、10試合ぶり4度目の猛打賞を記録したロサリオは本当に安堵(あんど)の表情を浮かべていました。なにしろ9日の巨人戦から7試合で28打数1安打という散々の成績で、その間、開幕から入っていた4番からも降格しました。右投手の外角に流れる変化球にバットは空を切るばかり。チームが上昇気流に乗れない戦犯扱いを受けていました。相手が左腕投手だったとはいえ、久々の快音連発が何かのきっかけになればいいですね。この勢いを今後も続けてもらいたいものです。

 チーム37試合消化時点でロサリオの成績は打率・238、本塁打3本、打点17。三振31、併殺打5、四球8個。3年目を迎えた金本阪神の不動の4番を期待していた周囲からは落胆の声が日増しに大きくなっていた矢先の活躍でもありました。

 ただ、チームの周辺やファンも最近はロサリオの打撃内容に一喜一憂してばかり(一喜はあまりありませんが…)で、今もっとも大事なポイントを見失っている傾向がありますね。そのポイントの核心は現在の球団内部の動きから逆に推察できます。

 「開幕からずっとロサリオが低空飛行を続けていても、球団の渉外担当を含め、首脳陣から新外国人野手の獲得調査の動きが全くない。このままロサリオが良くなっても悪いままでも、今季はロサリオひとりで外国人野手はいくんだ…という意志の表れだろう。どうしてか? それはチーム方針がそもそも、そういうことだからだろう」

 阪神OBのひとりはそう語りました。確かに4番降格、打撃不振の長期化があっても、球団の動きは皆無です。ロサリオに代わる? ロサリオの負担を軽くする野手外国人の獲得作業は一切、ありません。

 ここで再確認しなければならないのは2018(平成30)年の阪神タイガースのチーム方針です。昨年オフに球団と金本監督は編成方針をすり合わせる中で外国人野手はひとりにすることを決めました。それが昨季まで韓国ハンファで2年連続の3割、30本塁打、100打点以上をマークしていたロサリオでした。では、なぜ野手外国人を2人制にしなかったのか?

 「それは野手外国人を2人獲るとポジションが埋まるからだろう。金本監督を招いた理由は生え抜きの若手野手を自前で育てて骨太のチームにしよう…といういうことだった。外国人野手を2人にすると、若手を起用できるポジションが狭められるからね」

 阪神OBはそう語りましたが、これは金本体制が生まれてから不変の流れでもあります。これまでヘイグやキャンベルなど外国人選手が不振でもシーズン中に新外国人の“追加募集”はしませんでした。今年も阪神電鉄本社-球団が金本体制に求めているのは自前の若手選手の育成であり、そのレベルアップによって優勝争いに加われるチームにする、という“骨太の方針”なのです。

 だからこそロサリオのバットが空を切り続けようが、天を仰ごうが球団には何ら動きはないわけですね。

 しかし、“骨太の方針”は理解しますが、肝心要のチーム方針の成熟度をこの辺りで再チェックしなければなりません。4番ロサリオを活性剤にして、若手野手を育て上げる…という方針がその通りにグラウンドで描かれているのかどうか。問題の核心はここにありますね。まさに将来のタイガースを左右する大問題です。

 春季キャンプで金本監督ら首脳陣が期待した若手選手たちはどうなのでしょうか。期待に応えているのはプロ2年目の糸原ぐらいです。37試合に出場して打率・290、本塁打0、打点7。出塁率・386はよくやっていますね。

 逆にプロ3年目の高山は成績不振で18日には一軍登録を抹消されましたね。「課題もハッキリしています」と語った高山は2年前の新人王です。昨季は本塁打20本を放った中谷もまだ開幕から二軍生活。鳥谷を二塁に転向させてまで三塁のポジションを与えた大山も打率・168、本塁打2の不成績です。江越も打率・143です。

 反対方向から物事を見れば、彼ら若手野手たちがほとんど不成績であるが故に、ロサリオへの負担が増大。期待外れの打撃内容にブーイングが飛ぶのでしょう。では、どうして高山、中谷、大山、江越は伸び悩むのか。

 「球団から漏れてきた話だけど、彼ら若手選手にそもそも能力がないのか? または教える側に問題があるのか? チーム方針の成熟度をチェックしなければならないという話が出ているようだね。当然の展開だとは思う。平たく言えば金本監督やコーチ陣の育成能力や指導能力を細かに解剖するという話だね」とはチーム周辺から聞こえてきた話です。

 ここ最近では、金本監督の周辺から「来季は野手外国人を2人制にする…」という情報が漏れています。未確認情報ですが、これが本当ならチーム方針を来季は大転換する、という重大な決断ですね。若手野手の育成を首脳陣は断念したのか? と勘ぐってしまうような話です。繰り返しますが、これが本当の話なら、果たして阪神電鉄本社-球団は容認するのでしょうか。

 まず、現状の若手育成路線の成熟度をチェックし、問題点を総点検することが何より先決です。問題点があるのなら、一刻も早く取り除き、期待してドラフトで獲得した若手選手たちがスクスクと育つ環境を整備しなければなりません。ロサリオのバットばかりに気を取られていると、深層で進行している事態を見過ごすことになりかねませんね。ロサリオをスケープゴード(身代わり、生け贄=にえ=などの意味)にしていては本質は良化しませんね。大事な視点でしょうね。   =続く(特別記者・植村徹也、毎週日曜に掲載)

植村徹也(うえむら・てつや) 植村徹也(うえむら・てつや)  1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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