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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】最低「打」でも勝率5割…優勝は、高山・大山・中谷・江越の奮起次第だ!

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「こどもの日」の中日戦、試合前セレモニーで子供から花束を受け取る阪神の高山俊=5月5日、阪神甲子園球場(岩川晋也撮影)
「こどもの日」の中日戦、試合前セレモニーで子供から花束を受け取る阪神の高山俊=5月5日、阪神甲子園球場(岩川晋也撮影)

 高山、大山、中谷、江越らは奮起しなければなりません。阪神は27試合消化時点で14勝13敗、勝率・519で首位・広島を追走してます。戦前の予想通り、投手陣(特にリリーフ陣)の充実が原動力でチーム防御率(3・04)や失点(98)はリーグトップ。球団首脳は対戦相手との力関係から「今年は優勝する大チャンス」と語っていますが、広島を逆転するための“戦力アップ”こそ、成績不振の若手野手の奮起です。高山と大山は打率1割台で中谷と江越は二軍生活…。彼らが戦力になればチャンスはさらに拡大するのです。

■当コラム予想通り…あとは4選手ら次第、競り勝つ戦力バランス

 開幕して30試合近く日程が消化されました。セ・リーグの勢力分布図もある程度、ハッキリとしてきましたね。やはり3連覇を目指す広島は強く貯金9(20勝11敗=5日現在)で首位。続く2位には巨人が、僅差で阪神がつけていますね。そこからDeNAと続き、中日とヤクルトが5位、6位。

 これは自慢ではありません。春季キャンプで6球団を見て回りましたが、戦力的に苦しいと感じたのは中日とヤクルトでした。広島はチーム全体がまとまっていて、DeNAも昨季の日本シリーズ出場の自信が無形の力になる…と感じましたね。巨人は打線が凄いが投手陣は菅野以外はどうなのか? そうした中で阪神は「優勝争いできる戦力だ」とこのコラムでも書いたはずです。

 そして、優勝争いできると感じた最大のポイントは投手陣の充実です。先発はメッセンジャー、秋山、小野、藤浪、能見や岩貞、高橋遥らがいてリリーフ陣が豊富です。開幕してここまで誤算もありました。藤浪がやはり不安定で二軍降格。能見や岩貞も不安定さがあります。それでも中継ぎから抑えのドリスにつなぐ形が崩れない限り、安定した戦いができると感じましたね。

 27試合を消化した時点でチーム防御率3・04や失点98はリーグでトップ。いかに投手陣がタイガースの戦いを支えているかが分かります。逆に得点89、本塁打14本はリーグ最低の数字です(いずれも5日現在)。2番に植田海を入れてから盗塁数が増えて来ましたが、盗塁14は巨人の11に次ぐ低さ、それでもDeNAが23個、広島が20個(5日現在)なのですから、半分ですね。長打力も機動力も乏しいので、得点も少ない…。

 しかし、逆に言えばモノは考えようです。投手陣が崩れないうちに打撃陣の状態が上がってくれば、それこそ広島の首根っこを押さえて逆転できる可能性が広がります。

 「今年は大チャンスなんや。広島だって昨季までの2シーズンに比べたらまだつけ込めるチャンスはある。DeNAも波が激しいし、巨人は菅野以外の投手陣、特にリリーフ陣が不安定だろ。ヤクルトや中日はブルペンが苦しいから上位はないだろう。ならばウチが少し打てるようになれば13年ぶりの優勝に近づくはずや」とは阪神OBの言葉ですが、ホンマにそう思いますね。

 では、誰が頑張るねん? となります。もちろんロサリオや糸井、福留には頑張ってもらわないといけませんが、それ以上に「何してるんや!! 頑張んかい!!」と“喝”を入れたくなるのが若手の野手陣です。

 金本知憲監督(50)の若手育成路線のまさに一丁目一番地ともいえる生え抜きの若手野手の成長がほとんど見受けられないのはどうしたことでしょうか!? 

 今季は鳥谷を二塁に転向させて三塁定着を期待した大山は24試合出場で打率・169、本塁打2本、打点12。得点圏打率も・077という有り様です。ルーキーイヤーの昨季は75試合に出場して打率・237、本塁打7、打点38。今季はさらに数字を伸ばすだろうと思っていたら、開幕から打撃の調子は上がらずに、ついにスタメン落ち…。

 今季がプロ3年目を迎えた高山も不振に喘(あえ)いでいます。ルーキーイヤーの2年前は打率・275、本塁打8、打点65。2年目の昨季は打率・250、本塁打6、打点24でした。今季はここまで打率・195、本塁打0で打点5です。

 高山も大山もドラフト1位入団です。高山は2年前の新人王です。それが年々、良くなるどころか劣化しているのです。

 「高山は右肩の開きが早すぎる。どうして早すぎるのか? 内角を厳しく攻められているだけではない。打撃の考え方やね。軸足(左足)回転で体を回転させようという意識が強すぎる」と阪神OBのひとりが指摘すれば、大山についても別の阪神OBは「今年は春季キャンプの時点で苦しいと感じた。三塁を守らせることで守備に対する神経を凄く使う。打撃に影響すると思ったわ。それに昨季のデータを元に研究されている。(相手球団も)甘い直球はほとんどカウント球で投げてこない」と話しました。

 高山と大山が打率1割コンビでは話になりません。さらに昨季は133試合に出場し、打率・241、本塁打20、打点61をマーク。プロ7年目で大ブレークを果たした中谷は開幕から一軍にさえ入れてもらえない状況です。今年でプロ4年目の江越も全くお呼びがかからない状況ですね。

 中谷が一軍にいないことはシーズン開幕から阪神ファンの中でさまざまな声が出ています。

 「なんでや?」「何かあったのか?」

 ただ、現状では二軍のウエスタン・リーグでも打ててない状態です。打撃の調子を見ればとても一軍昇格の声はかかりませんよね。

 阪神のチーム関係者はこう漏らしました。

 「監督から(中谷は)直球が弱いから、打ち損じる、とキャンプから言われ続けたんや。だからタイミングの取り方やテークバックの形を変えてしまった。強い球を打つために強いスイングをしないと…と錯覚したんやな。そこから得意の変化球まで打てなくなった。迷路にはまり込んだ」

 春季キャンプ中、スイッチヒッターに取り組んでいた江越も左打ちをやめましたが、その後も打撃の状態は向上しませんね。なぜか? 春季キャンプ中に一軍打撃コーチ陣が懸命に教えた選手たちが皮肉にも揃(そろ)いも揃って打撃不振なのです。

 高山、大山、中谷、江越らがもし、現状の一軍の中で存在感を光らせていれば、これはもう広島を追い越せる投打のバランスが整ったと言えるでしょう。彼らにはさまざまな悩みや葛藤があるはずです。しかし、個々の状態を一刻も早く上げていかないと、試合はどんどん消化します。それはそれぞれの野球人生の中で取り返しのつかない時間となるはずです。

 プロ野球は絶対的な結果主義、現実主義です。誰の指導を受けたから…とか、誰が教えたから…なんて言い訳は通用しません。現状が悔しかったら自分で這(は)い上がるしかない世界です。そして、彼らが一軍戦力の中で輝きを取り戻せば広島や巨人、DeNAに競り勝てる戦力バランスが阪神タイガースに初めて備わると言えるでしょうね。   =続く(特別記者・植村徹也、毎週日曜に掲載)

植村徹也(うえむら・てつや) 植村徹也(うえむら・てつや)  1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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