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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】世界記録へ“温情”二塁なら…鳥谷、状態を上げて鉄人・衣笠を追悼せよ!

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練習に臨む阪神の鳥谷敬内野手と、見守る金本知憲監督 =松山市の坊っちゃんスタジアム・室内練習場(村本聡撮影)
練習に臨む阪神の鳥谷敬内野手と、見守る金本知憲監督 =松山市の坊っちゃんスタジアム・室内練習場(村本聡撮影)

 世界記録達成への温情が「鳥谷二塁」ならば阪神・鳥谷敬内野手(36)は必死で状態を上げなければなりません。鳥谷は28日の広島戦(マツダ)に代打で登場し、そのまま二塁に。八回一死の第2打席で右中間二塁打、14打席ぶりの安打を放ちましたが打率・159で低空飛行のままです。2215試合という連続試合出場の世界記録保持者・衣笠祥雄(きぬがさ・さちお)氏が23日、上行結腸(じょうこうけっちょう)がんで死去。鳥谷は28日現在で1916試合です。今季の二塁転向が金本知憲監督(50)の記録続行に向けた配慮ならば必死で前を向かないと全てが暗転します。

■二塁「タライ回し」「守備固めならない」声と「守備の狭さ配慮ゆえ」の声…

 衣笠祥雄氏の追悼試合で鳥谷は試合途中の六回に代打で登場。その打席は中飛でしたが、そのまま二塁に。そして八回に迎えた第2打席で右中間に二塁打。この安打が実に15日のヤクルト戦(甲子園)以来、14打席ぶりの安打でした。打率は・159と全く上昇する気配がなく、「攻守で精彩を欠いている…」という声がチーム内外から聞こえてきます。

 鳥谷は昨季の終了時点で連続試合出場が1895試合でした。今季は28日まで21試合連続出場を継続中で、1916試合にまで記録は伸びていますね。もちろん、大目標は23日に上行結腸がんで71歳で逝去された衣笠祥雄氏の世界記録、2215試合です。あと299試合となると、今季を最後まで継続して、さらに後2年先…。気が遠くなるような数字です。果たして届くのか…。果たして世界記録更新はなるのか…。こうした状況下でチームの関係者は驚くべき発言をしたのです。

 「鳥谷自身も連続試合出場を大きな励みにしてプレーしてきたはず。この記録が途切れるとなると気持ちがプッツリとなるかもしれない。そこを一番、心配しているのは金本監督なのかもしれません。鳥谷に対して一番気を遣っているのは金本監督だから…」

 球団や現場を含めたオール阪神で鳥谷の連続試合出場を一番、気にかけて配慮しているのは金本監督だと言うのです。確かに開幕後、二塁に転向させた鳥谷を指揮官はスタメンから外した試合でも代打や“守備固め”で起用を続けています。状態が上がらず凡退を繰り返しても出場機会を摘むことはしていませんね。

 しかし、15日アップのコラムでも書きましたがチーム内からは「昨季は三塁で復調したのに、二塁に転向させた。まるでタライ回しのようだ」という声があったり、「鳥谷を守備固めで起用しているが、二塁手としてはスナップスローが苦手で併殺が取れない。守備固めになっていない」という辛辣(しんらつ)な声があることをお伝えしたはずです( https://www.sankei.com/west/news/180415/wst1804150031-n1.html )。

 つまり、金本監督が命じた鳥谷二塁転向は大山を三塁で起用したいための厳しい人事であり、その悪影響で鳥谷が慣れないポジションでもがき苦しんでいる…という図式にしか見えない、というわけですね。

 ところが、チーム内を取材すると全く逆の声しか聞こえてきません。まさにコップを反対側から見ると景色が変わるのと同じです。チーム関係者の言葉です。

 「鳥谷を二塁に転向させたのは金本監督の温情やで。昨季は三塁を守らせていたけど、首脳陣の間では守備範囲の狭さが問題視されていた。春季キャンプで見ても、大山の守備力の方がはるかに上だった。あのまま三塁に置いていれば、鳥谷の起用法は狭められ、連続試合出場も困難になる。そう思ったから監督は二塁転向を本人に打診したんだ。二塁なら、まだレギュラーがいないから起用法に幅がある。連続試合出場も可能になる。三塁のままなら、もう今頃には記録は途絶えていただろう」

 つまり鳥谷の二塁転向は金本監督が連続試合出場の継続を念頭に置いた温情の配置転換だった、というわけです。

 「監督は鳥谷にすごく気を遣っている。本当に球団を含めて誰よりも。こちらとしては、あそこまで気を遣うことはないのに…と思うぐらい」ともチーム関係者は話していました。

 金本監督自身が連続試合フルイニング出場の世界記録保持者です。1492試合ですね。さらに連続試合出場も1766試合。度重なる故障にも負けず、試合に出続ける姿は、まさに衣笠祥雄氏と同様に「鉄人」と呼ばれていましたね。金本監督自身は広島カープの先輩である衣笠祥雄氏をよく知るだけに「鉄人」の称号を「おこがましい」と話していましたが…。

 痛くても、疲れていても、試合に出続けることの重要性。これを自らの経験で知り尽くしている金本監督はだからこそ鳥谷の連続試合出場に対してリスペクトし、継続を後押ししているのでしょう。その布石が二塁転向だったようですね。

 これも15日アップのコラムで書きましたが、球団は「鳥谷の起用法は監督に一任する」と話しています。鳥谷とは15年から年俸4億円の5年契約を締結しています。つまり来季、19年シーズンまで4億円を払い続けるわけですね。費用対効果から考えれば、鳥谷を来季まではスタメンで起用してほしいのが本音かもしれません。ただ、鳥谷の状態が上がってこない現状ではそんな本音を現場に押しつけるわけにはいかないですね( https://www.sankei.com/west/news/180415/wst1804150031-n1.html )。

▼【関連ニュース「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】4億円…鳥谷、連続試合出場の継続「重大ピンチ!」の背景

 「状態が上がって来ないなら二軍で調整させてもいいんだ」という阪神OBの声もありますが、金本監督はさまざまな雑音や視線を集める中で鳥谷の起用を続けています。

 ならば鳥谷がやらなければならないのはたったひとつです。なんとか状態を上げて、起用法に報いるしかないですね。活躍してチームに貢献するしかないはずです。このまま結果が出なければ指揮官の起用法もさらに苦しくなるでしょう。“守備固め”にならないのに二塁で守らせることや、打てないのに代打で起用するとなると、チームの成績に暗い影を落とします。チームは28日の広島戦に敗れて借金「1」ですね。台所事情に余裕がなくなる中で、鳥谷を記録継続のためだけに起用し続けることは困難になるでしょうね。

 そうした危機的な状況を生まないためにも鳥谷は少ない出場機会の中で状態を上げなければなりません。「4打席の中で調子を上げるタイプ」という声も周囲にはありますが、そんなことを言っている場合ではないでしょう。

 衣笠祥雄氏、金本知憲監督、そして鳥谷敬…。受け継がれた「鉄人の系譜」はこの先、どうなるのか…。好転も暗転もすべては鳥谷のグラウンド上の姿が決めるのです。   =続く(特別記者・植村徹也、毎週日曜に掲載)

植村徹也(うえむら・てつや) 植村徹也(うえむら・てつや)  1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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