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【鬼筆のスポ魂】連続火消し失敗、炎上の上原 “天然チェンジアップ”は「トラックマン」データで丸裸…

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15日の広島戦の七回、3失点で降板を告げられた巨人の上原(右)=東京ドーム
15日の広島戦の七回、3失点で降板を告げられた巨人の上原(右)=東京ドーム

 立ちはだかったのは「トラックマン」だったのかもしれない。今季、10年ぶりに古巣の巨人に復帰した上原浩治投手(43)が2試合連続のリリーフ失敗で配置転換される可能性が濃厚になった。日米通算で134勝88敗128セーブの実績を誇り、米大リーグでは2013年にワールドシリーズで胴上げ投手にもなった。開幕直前の3月9日に突然、古巣と1年契約(契約金1億円、年俸2億円=金額は推定)で電撃的に復帰。勝利の方程式に加わることになったが、5試合目の登板から2試合連続で痛打を食らい、ついに方程式から外れた。

 「球が遅すぎて打てないわ…」

 開幕カードで上原と対戦した阪神のチーム関係者の言葉だ。3月31日の巨人-阪神戦(東京ドーム)の八回表、上原は08年10月5日の中日戦以来3464日ぶりのプロ野球1軍公式戦登板を果たし、1回を三者凡退。3535日ぶりのホールドを挙げた。続く4月1日の阪神戦(同)でも1回を三者凡退。その後、3日と5日の中日戦(ナゴヤドーム)でも好リリーフを見せたが、対戦した打者はかつてのイメージと実際の球威の大きすぎるギャップを感じていた。

 かつて巨人のエースとして投げていたイメージや、米大リーグで活躍した姿を頭に浮かべて打席に立った選手たちは球速の遅さに戸惑った。思い切り腕を振って投げてくる割に、球が来ない。“天然”のチェンジアップにタイミングが合わなかったのだ。しかし、今の日本球界は対戦したイメージを裏付ける「データ」が即座に導き出される。球速や球筋がコンピューターによってハッキリと数値化され、実態が瞬時に丸裸になる。何度も“ごまかされない”のだ。

 12球団のほとんどが導入しているのが高性能弾道測定器「トラックマン」だ。03年にデンマークのトラックマン社が開発。ミサイル追尾の軍事レーダー技術を応用し、投球の速度や回転数、打球の角度、飛距離の計測を可能にした。米大リーグでは30球団が活用し、日本球界でも14年に楽天が導入。その後、取り入れる球団が続き、今季から新たに4球団が導入した。

 4月10日のDeNA戦(東京ドーム)で、上原は5安打を浴び3失点。わずか1アウトを取っただけで降板した。DeNAのラミレス監督はいち早く「トラックマン」を導入し、采配に生かしている。昨季も3位から下克上でクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズに進出した。「上原浩治」というネームバリューに惑わされず、スプリット中心の配球を読み切った結果が5安打の集中だった。

 昨季、カブスでプレーした上原はオフの11月2日にフリーエージェントとなった。米大リーグからのオファーを待っていたが朗報は届かず、一度は引退の可能性を示唆していた。それが開幕直前に巨人と電撃契約し、球界を驚かせた。高橋監督とは同じ1975年4月3日生まれの43歳。同級生と4年ぶりのV奪回の夢を語り合っただろう。

 巨人は15試合で5勝10敗でリーグ最下位。15試合以内での10敗到達は、球団ではなんと47年以来、71年ぶり2度目の屈辱だ。「トラックマン」がはじき出すさまざまな数値が向上しない限り、上原の夢も巨人の夢もかなうことはないだろう。全てが数値化され、データを基に采配をふるう野球界で、かつての実績や名前は通用しない。通用するのは現状の力だけなのだ。   (特別記者 植村徹也)

     ◇

【プロフィル】植村徹也 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/)の『今日のトラコーナー』や、土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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