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【鬼筆のスポ魂】「サード大山」の重圧…「鳥谷先輩」に動いていただいた上に与えられたポジション

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春季キャンプで三類の守備に取り組む大山(村本聡撮影)
春季キャンプで三類の守備に取り組む大山(村本聡撮影)

 俗にホットコーナーという。野球の三塁のポジションについてだ。三塁手はゴロを捕球した際に内野手で最も遠い一塁に送球するため時間の余裕がなく、確実な捕球能力と肩の強さと正確な送球能力がいる。右打者の痛烈な打球が飛んできやすいことなどから「ホット」なポジションといわれる。プロ野球では「ミスター」と称された巨人軍の長嶋茂雄の影響もあって花形のポジションとされている。

 今季の金本阪神の三塁はプロ入り2年目の大山悠輔(23)が守る。ルーキーイヤーの昨季は遊撃以外の内野の全ポジションと外野を守り75試合に出場。打率・237、本塁打7本、打点38だった。DeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージでは3試合で13打数7安打4打点と活躍。今年の春季キャンプでは当初、二塁に入っていたが、金本知憲監督が「打撃を生かしたい」と三塁に転向させた。白鴎大時代は主に三塁を守っていた。守備負担を軽くすることで将来の中軸打者に成長してくれる、と首脳陣が見込んでの抜擢だ。

 大山の三塁転向によって鳥谷敬は二塁に転向した。2年前に攻守で不振に陥った鳥谷はちょうど1年前に遊撃から三塁に移った。若手の北條史也を使いたかった金本監督は「同じ成績でも7対3で北條を使う」と明言。2004年のルーキーイヤーから13年間、遊撃を守っていた鳥谷に三塁転向を求めた。

 昨季、新天地で鳥谷は腐ることなくよみがえった。打率・293は前年の打率・236から大きくアップ。気迫も見せた。5月24日の巨人戦(甲子園)で吉川光夫から顔面に死球を受け鼻骨骨折。それでも次の試合からフェースガードをつけて試合に出続けた。9月8日のDeNA戦(甲子園)二回裏には史上50人目の2000安打を達成。昨季のシーズン終了時点で歴代2位の1895試合連続出場(1位は広島・衣笠祥雄の2215試合)を継続中だ。

 三塁で復活した鳥谷をそれでも二塁に“移した”金本監督の狙いは今季に臨む戦力構想と将来を見通してのものだ。一塁にロサリオ、三塁に大山を配して打線を強化。若い大山にポジションを与えることで成長を促す。狙いは理解できる。しかし、昨季に遊撃のポジションを“与えられた”北條は攻守に不振でシーズン途中に2軍落ち。その後は糸原健斗→大和と遊撃手は移り変わり、大和のフリーエージェント(FA)移籍(DeNAに入団)で今季はいまだにレギュラーさえ決まっていない。

 キャンプ中、大山は三塁について「鳥谷さんが動いていただいたことを一番意識します」と答えていた。鳥谷先輩に動いていただいた末に“与えられたポジション”…。これは精神的にも相当な重圧になるだろう。

 鳥谷から二塁転向についての不平不満は聞こえてこない。自身もルーキーイヤーの04年、遊撃を与えられた。前年に遊撃で打率・301を記録、優勝に貢献した藤本敦士を当時の岡田彰布監督は外し、開幕戦のスタメン遊撃に鳥谷の名前を書き込んでいる。将来を見越してか?と聞かれた岡田監督は「そらそうよ。トリは向こう10年は不動の遊撃よ」と語っていた。

 自身も逆の立場で経験した監督構想。だから納得しているのだろうか…。ただ、二塁には上本博紀がいる。鳥谷と上本の併用となる。大山の成績が期待通りならいいが、逆の目ならチーム内外からどんな声が飛び出すだろうか。悪い意味でホットなコーナーにならないことを祈るばかりだ。(特別記者 植村徹也)

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【プロフィル】植村徹也 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月~金曜日午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/hybrid/ )」に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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