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【西論】京大・阪大 入試ミス 解答例公表し公正性の担保を

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西論

京大・阪大 入試ミス 解答例公表し公正性の担保を

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2017年の一般入試の出題ミスについて、記者会見の冒頭で謝罪する京都大の北野正雄副学長(中央)ら=2月1日午後、京都市 1/4枚

 京都大や大阪大で2次試験の出題ミスが相次いだ。ともに昨年2月実施の物理の問題だった。これにより、合格していたはずの京大で17人、阪大では30人の受験生が不合格になった。出題ミスは、あってはならないが、問われるのはミスへの対処だ。試験実施から1年近く経過しなければミスが発覚しない事態は異常であり、入試というシステムそのものの存在を揺るがしかねない。大学が解答例を公開し、外部からの指摘を誠実に受け止めていれば、こうした事態を避けられたのではないか。入試問題をめぐる問題を考えた。

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 ◆指摘放置や判明遅れ

 阪大の出題ミスは壁に反射する音波などを測定する実験を想定した設問だった。条件が十分に示されなかったことから大学側が想定していた正解以外に正答が複数あり、関連する次の設問にも影響があった。阪大によると、設問の不備を昨年6月と8月に2度、指摘されたが、大学側は問題作成責任者と副責任者2人に委ね、「大学の解答例が正しい」と説明した。ところが昨年12月、数式を用いた詳細な指摘があった際に、ようやく他の教員も加わり検討した結果、ミスが判明。影響を受けた30人が追加合格となった。つまり、出題ミスの指摘を阪大は約半年間放置し、大量の追加合格者を出す事態に陥った。迅速な対応ができなかった点は真摯(しんし)な反省が求められる。

 京大の出題ミスは、同じ物理の音波に関する設問で2つから選ばせるものだったが、問題文の条件設定が不十分で両方が正解になり得た。京大は選択問題であっても解答例を公表していなかったが、今年1月、文部科学省や京大に予備校教師らの指摘があり、大学が検討、ミスが判明した。判明後すぐに対応したが、試験実施から約1年の時間が経過していた。

 物理については、高校教師らによる「物理教育を考える会」が大学の入試担当者を招き、その年の入試問題について意見を交わしている。阪大は入試が行われた年の4~5月に希望した人に解答例の閲覧を認めていることもあり、この会でミスのあった物理の問題に対して複数の指摘があった。阪大の場合は、指摘を「放置」したが、京大は担当者が出席していなかった。このため、京大の出題ミスの発覚は「偶然」ともいえるが、来年以降も解答例の公表はしない方針という。

 ◆「多様な思考」の妨げ?

 京大だけでなく、2次試験の解答例を公表しない大学は多い。阪大も限定的な公開だし、東京大も公開しない。神戸大は平成27年の入試までは一部科目の解答例を公開したが、28年から取りやめた。

 こうした大学の多くは「思考の多様性の確保」を非公開の理由とする。基礎学力を問うセンター試験と違い、論述や記述問題が主体の2次試験は、受験生の発想の豊かさや知識の深さを問う。解答例や配点を公表することは、受験生が解答例を手本として対策を取ってしまうことによって、自由な発想を妨げることになりかねない、という。

 京大の北野正雄副学長は非公表の理由を「京大の入試は正答だけで求めるのではなく、解答に至る過程を重視している。ポリシーとして非公表にしている」とし、多様な思考をもつ学生を集めるには「解答例の公表は逆方向」と説明する。

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  • 京都大学
  • 2017年の一般入試の出題ミスについての記者会見で、厳しい表情を見せる京都大の北野正雄副学長=2月1日午後、京都市
  • 1月6日の記者会見冒頭、頭を下げる大阪大の小林伝司副学長(中央)ら=大阪府吹田市