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「無罪判決まで戦う」西山さん、服役12年「嘘」悔やむ 呼吸器外し 再審決定

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「無罪判決まで戦う」西山さん、服役12年「嘘」悔やむ 呼吸器外し 再審決定

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 事件から14年半。入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとされる殺人罪で有罪が確定し、服役した元看護助手の西山美香さん(37)に対し、大阪高裁は20日、再審を認める決定を出した。取り調べ段階で虚偽の自白をし「後悔し続けた日々」という西山さん。自白の信用性に疑いを投げかけた高裁決定に「再審開始決定が出るとは思っていなかったので、びっくりした」と喜び、「無罪判決まで頑張りたい」と話した。

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 20日午後、大阪市北区の大阪高裁前。弁護士が「再審開始決定」と掲げた横で、西山さんは集まった支援者らに「とてもうれしい。みなさんのおかげです」と笑顔を見せ、涙をぬぐった。

 「20代を刑務所で過ごすのはつらかった。刑事を好きになって嘘の自白をしたことが一番の後悔」。11月、産経新聞社の取材に応じた西山さんはこう振り返った。

 平成15年5月、湖東記念病院に入院患者の男性=当時(72)=が死亡。滋賀県警は、男性の人工呼吸器のチューブが外れて異常を知らせるアラーム音が鳴っていたのに、病院側が適切な処置をせずに死亡させたとみて捜査を始めた。

 県警は西山さんら当時の当直員に事情聴取。アラームについて繰り返し聞かれたが、鳴っていたとの記憶はなかったため、そう言い通した。やがて県警からの問い合わせもなくなった。

 だが、人工呼吸器自体にはトラブルがなかったなどとして16年5月、再び事情聴取が始まった。担当の男性刑事は「アラームは鳴っていたはずやろ」と追及してきたが、「鳴っていない」と答え続けた。

 その中では椅子を蹴られたほか、男性の写真を何枚も並べられるなどして「怖かった。この人の言うことを聞いておけばいいと思った」といい、西山さんは「アラームは鳴っていた」と供述したという。

 すると刑事は親身になり、身の上話を聞いてくれるようにもなった。もともと、優秀な兄2人へのコンプレックスや、人間関係をうまく作ることができないことに悩んでいたといい、「うれしくて、好きになってしまった。刑事に振り向いてほしいと思った」。歓心を買おうと「私がチューブを抜きました」と“自白”した。

 公判では「やっぱり私はやっていない」と否認に転じたが、17年11月の1審大津地裁判決は「他の看護師や病院に対する不満、恨みを関係のない入院患者を殺害することではらそうとした」と殺人罪を認定。最高裁で上告も退けられ、懲役12年が確定した。

 和歌山刑務所では両親にあてて「私はやっていない」と手紙を書き続け、約350通に上った。今年8月、両親や支援者に出迎えられて満期出所し、現在は滋賀県彦根市内の実家で両親と過ごす。「両親と何時間も自由に話せること、鉄格子がない窓から自由に手が出せること」がうれしいという。

 西山さんは決定を受け、「両親に喜んでもらえてよかった。でも、まだこれから。無罪判決が出るまで戦いたい」と話した。