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【衝撃事件の核心】20分にわたって妻に暴行、死亡させた夫 猶予付き判決の理由は…

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20分にわたって妻に暴行、死亡させた夫 猶予付き判決の理由は…

衝撃事件の核心更新

 検察官「会話の内容は」

 被告「はっきり覚えていません。(不倫)いつからしてたん?と聞きました」

 被告は妻の不倫を今年3月の別居後だと思っていた。だが、予想と異なり、妻は別居前の「昨年12月ごろ」と答えた。

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 被告はこれに激高。妻の頭を平手で4、5発、たたいたほか、足の裏で頭などを数回蹴り、胸ぐらをつかんで妻を投げ倒した。妻は無抵抗のまま暴力に耐えていたが、投げ倒されると、目を見開いたまま呼吸が不自然になったという。

 暴行は午後11時30分ごろから約20分間続き、妻は翌23日朝、搬送先の病院で急性硬膜下血腫などによる脳ヘルニアにより死亡した。

 検察側によると、事件当時の妻は身長150センチ、体重33キロだった一方、被告は身長177センチ、体重63キロ。かなりの体格差があった。検察側は論告で「2人の体格や力の差は明らか。妻の頭や顔、手足には多くの皮下出血があった。執拗(しつよう)な暴行を一方的に加えた」と指摘。不倫だとしても「これだけの暴行を受ける必要はなく、犯行は身勝手で悪質だ」と非難した。

なぜ執行猶予が付けられたか

 公判には妻の姉が被害者参加。「元気でかわいい妹を返してください。不倫していたからといって命まで奪っていいのか」と泣きながら訴えた。

一方弁護側は、最終弁論で「被告は働いた給料を全部妻に渡していた。犯罪とは無縁の人間。日常的なDVもなかった」と情状酌量を求めた。

 11月13日に迎えた判決公判。検察側の求刑懲役7年に対し、大阪地裁は被告に懲役3年、執行猶予5年を言い渡した。

 判決では犯行について、「不倫が前の年に始まっていたことを聞くなどして激しい怒りを覚え、暴行を加えた」とした上で、妻が死亡したのは「最後に被告が投げ倒し、床に頭を打ちつけたことによる」と認定した。ただ、「投げ倒し行為を除けば、重大な傷害結果を引き起こし得る激しい暴行があったということはできない」とした。

 さらに「全く抵抗しなかった被害者に暴行を繰り返しており、厳しい非難は免れない」と指弾しながらも、「(被告が)怒りを覚えたことには理解できる面がある」と言及。さらに、13歳の長男が法廷で「被告と生活していきたい」と証言したことも考慮し、執行猶予付きの判決とした。

 判決に先立つ最終意見陳述で「いくら謝っても妻は返ってこない。取り返しのつかないことをした」と謝罪した被告。判決で胸に去来した思いはどんなものだったのだろうか、裁判員らに頭を下げ続けていた。