産経WEST for mobile

【関西の議論】「私を館外(おそと)へ連れてって」“貸出ゼロ本”の中にお宝、図書館所蔵本発信にユニーク企画

記事詳細

「私を館外(おそと)へ連れてって」“貸出ゼロ本”の中にお宝、図書館所蔵本発信にユニーク企画

関西の議論更新
大阪府立中央図書館で開かれた「私を館外へ連れてって-貸出0回本展示」=大阪府東大阪市 1/9枚

 「読書の秋」がやってきた。大阪府内の図書館では、利用者の探究心をくすぐるユニークな企画が人気を集めている。時節に合わせたテーマ展のほかに、一度も貸し出しのなかった本を集めたり、カバーを開けるまで何の本かわからない「図書館福袋」を実施したり…。最近では本を通じた交流イベントも行われており、何かとお堅いイメージが強い図書館が利用者の裾野を広げるためにあの手この手の工夫を凝らしている。(北村博子)

<< 下に続く >>

2万8千冊のうち3600冊が貸し出し記録なし

 府立中央図書館(大阪府東大阪市)の入り口付近のコーナーに、専門書から絵本までさまざまなジャンルの本が並んでいた。高齢男性が近寄り、興味深そうに目線を左右に動かしながら「こんな本、初めて見るなあ」とつぶやく。一冊を手に取って、ペラペラとページをめくったかと思ったら、早々に持ち去っていった。

 ここに並べられていたのは、いずれも昨年度に一度も貸し出しがなかった本ばかり。同図書館によると昨年度、購入や寄付によって約2万8300冊を受け入れ、うち約1万9千冊を貸し出し対象にしていたが、約3600冊が一度も貸し出されていないことがわかったという。

 「図書館には、こんなにもいろんな本があることを知ってもらいたい」

 そんな担当者らの思いから、「私を館外(おそと)へ連れてって-貸出0回本展示」が初開催された。8月8日から約1カ月間にわたって臨時の展示場を設置し、常時約50冊を並べた。その結果、展示総数194冊のうち、163冊が“館外”へ連れ出され、貸出率は84%にものぼった。

 いったい、どんな本が貸し出されていなかったのか-。

 イラストでわかる消防訓練マニュアルや、台湾のレトロ建築(中国語版)、被災した写真の救済方法、日本舞踊の照明、鳴く虫の育て方…など、知的好奇心をくすぐられる本も少なくない。担当者は「貸し出されていない本の中には、実は読むと面白い本がたくさんあります。すべて自信のある本ばかりです」と胸を張る。

 貸し出されなかった理由の一因として、図書館側の事情があったことを担当者が明かす。

 「なるべく多くの本を紹介したい図書館では、スペースの関係から平置きはしません。本のありかを知らせる背表紙の番号が見えるように並べるので、背表紙が地味なものは目に留まりにくく、内容がわかりにくいタイトルも避けられやすいようです」

 ただ貸し出し記録がなくても館内で読まれた可能性もあり、5年ほど陳列していると、貸出率は大幅にアップするという。

 「図書館にはそれぞれ特徴があり、当館では市町村関係の本や実用書、専門書など高学な本をそろえています。文庫本や実用書などが豊富な地域の図書館と使い分けてほしい」と担当者は話していた。

頼りは読者のコメントだけ「図書館福袋」

 大阪市立住之江図書館(大阪市住之江区)では、平成27年から「あなたがつくる図書館福袋」展を開催し、利用者の人気を集めた。貸し出される本は紙袋の中に入れられており、内容は確認できない。頼りになるのは、利用者らの推薦の言葉と感想だけ。

写真ギャラリー

  • 大阪府立中央図書館で開かれた「私を館外へ連れてって-貸出0回本展示」=大阪府東大阪市
  • 「私を館外へ連れてって-貸出0回本展示」の本に添えられた、書評や本棚の場所などを書いた図書館員手作りの「しおり」
  • 常設展示になった「あなたがつくる図書館福袋」改め「みんなの図書館福袋」を紹介する大阪市立住之江図書館の相宗大督さん=大阪市住之江区
  • 「あなたがつくる図書館福袋」展で集まった推薦文や感想を紹介する冊子。希望者に配布している
  • 「あなたがつくる図書館福袋」展で集まった推薦文や感想を紹介する冊子。希望者に配布している
  • かわいらしくラッピングされた本がずらりと並んだ昨年のブラインドブックマーケットの様子=大阪市中央区
  • かわいらしくラッピングされた本には、持ち主のメッセージが添えられている(昨年ブラインドブックマーケットの様子)=大阪市中央区
  • かわいらしくラッピングされた本には、持ち主のメッセージが添えられている(昨年ブラインドブックマーケットの様子)=大阪市中央区