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【山陽の議論】ゾウガメ失踪・15日ぶり無事発見もネットで心ない批判、思わぬ波紋に動物園は困惑

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ゾウガメ失踪・15日ぶり無事発見もネットで心ない批判、思わぬ波紋に動物園は困惑

山陽の議論更新
無事見つかったアルダブラゾウガメの「アブー」。岡山市の親子が発見した=8月16日、岡山県玉野市 1/4枚

 岡山県玉野市の民間動物園「渋川動物公園」のゾウガメが8月初めに一時行方不明になり、園近くの山中で15日ぶりに発見された騒動が思わぬ波紋を呼んでいる。同園が発見者に懸賞金50万円を用意し、捜索や報道が過熱したことも影響してか、ネットを中心に「話題づくりのための自作自演では」などと園や発見者を中傷する声が出ているのだ。園では見つかったゾウガメ目当ての家族連れ客などが急増したが、行方不明や発見に至る経緯には謎が多く、騒動後の心ない批判もあって、関係者は戸惑いを隠せない。(横山一彦)

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 行方不明になったのは、アルダブラゾウガメの「アブー」。園によると、体長約1メートル、体重約55キロの雌で、推定約30歳。性格はおとなしく、人に危害を加えることはないといい、開園中は放し飼いにしている。

 8月1日午前11時半ごろ、職員がいなくなっているのに気づいた。同8時45分ごろ、入園ゲートから園外に出る姿が防犯カメラに写っていたという。

 その後は周辺の入念な捜索にもかかわらず見つからなかったが、16日に岡山市の親子が近くの山中で発見、園に知らせた。親子は、園が14日から懸賞金50万円を用意したのを知り、捜しに来ていた。「茂みの中で甲羅が見え、のそっと歩くアブーがいた」(父親)という。

 ちなみに懸賞金は宮本純男園長(79)が私費で用意した。懸賞金のことが発表された後は県外の車両も増え、延べ約100人が付近で山狩りを行うなど捜索に参加したという。

 保護されたアブーにけがはなく、展示はその後復活。「自力で猛暑の中を生き抜いたアブーに会いたい」。発見直後の週末(19、20日)は親子連れを中心に計約千人が訪れ、例年の同時期の週末に比べ約2倍の入園者があった。

 同県倉敷市から来た自営業の男性(51)は「テレビで見て実物に会いたくなった。3歳の息子もアブーに夢中です」。島根県出雲市からの家族連れも「別の遊園地に行く予定を変更して来た」といい、騒動でアブーの注目度は急上昇した。

 岡山県内では平成10年の台風に伴い、津山市の牛が瀬戸内海まで約90キロを流された末に生還。“奇跡の牛”として、引取先の勝央町の観光農園で人気者になった例がある。アブーも同様に人気者になった。ところが園関係者の表情はさえない。

 事の発端が園の不手際だったこともあるが、宮本園長は「発見場所の近くには側溝や崖もあり、アブーがどうやって行けたのか疑問。周囲にふんもなく、甲羅もきれいで、謎は多い」と指摘。発見現場は以前にスタッフが捜した場所で、「誰かが盗んだ後、騒動が大きくなったので放したのでは」という見方もあり、今回の“失踪”にはどこか割り切れないものを感じている。

 一方で宮本園長は、ネット上の書き込みで「まるで(話題づくりのための)自作自演ではないか」と疑われたという。

写真ギャラリー

  • 保護されたアブーに興味津々の親子連れ。脱走騒動でゾウガメは人気者になったが…=岡山県玉野市
  • 一時行方不明になったアルダブラゾウガメの「アブー」=7月、岡山県玉野市(渋川動物公園提供)
  • アブーは子供たちに人気=岡山県玉野市