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【関西の議論】肉じゃが作りもアートだ! 〝住みます芸人〟ならぬ〝住みます芸術家〟 京都に集結する国内外アーティスト

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肉じゃが作りもアートだ! 〝住みます芸人〟ならぬ〝住みます芸術家〟 京都に集結する国内外アーティスト

関西の議論更新
日本の和紙を使って作品を制作したジャン=セバスチャン・ラグランジュさん=京都市山科区の「ヴィラ九条山」 1/8枚

 京都の各地で、アーティストが一定期間滞在しながら創作活動を行うという取り組み「アーティスト・イン・レジデンス」が広がりを見せ始めている。日本の伝統文化や流行に触れるには京都が良いなどとして、フランスやドイツの芸術家が拠点としているほか、京都府も国内のアーティストを招聘(しょうへい)し、古民家で暮らしながら芸術活動を行うことができる事業を昨年から始めた。〝住みます芸術家〟の取り組みは、参加者からは「フランスでは普段できない機会」などと好評だ。(北崎諒子)

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アジア唯一の施設

 京都市山科区の住宅街。典型的な日本の住宅が立ち並ぶ中の高台に、建築家・加藤邦男氏の設計という白い建物が建っている。

 フランス人アーティストが拠点としている「ヴィラ九条山」。ここを利用した染織品専門の文化財保存修復家でフランス人のブレーズ・ヴィオレーヌさん(34)は「余裕をもって、じっくりと研究を進めることができた」と満足そうな様子だ。

 ヴィラ九条山は1992(平成4)年設立。フランス政府公式機関の「アンスティチュ・フランセ日本」の5つの支部の1つで、今年で25周年を迎える。フランスがアジアで唯一設けているアーティスト・イン・レジデンスの施設で、イタリア・ローマの「ヴィラ・メディチ」や、スペイン・マドリードの「カーサ・デ・ヴェラスケス」と比肩するものだとしている。

 工芸や建築、映画など20以上の芸術分野のアーティストが2~6カ月間滞在。滞在費は免除されるほか、往復の渡航費や生活費も支給され、京都だけではなく日本各地で創作活動を展開している。年間約15人を受け入れており、過去25年間で330人以上のアーティストが利用したという。

日本の伝統文化に直接触れる

 「日本には多くの印金の作品が残されていて、各時代のいろいろな印金を分析できた」と話すブレーズさん。

 ブレーズさんは日本の伝統の染織技法の1つ「印金」が研究テーマで、ヴィラ九条山を拠点に、京都や東京の染織専門会社や博物館、専門家などの元を訪れ、さまざまな手法を調査した。

 アーティストにとっては、待遇もさることながら、日本の伝統文化に直接触れることができるメリットが大きそうだ。

 今年3~6月に滞在したインダストリアルデザイナーのジャン=セバスチャン・ラグランジュさん(37)も「フランスでは普段できない機会だった」と振り返る。

 ラグランジュさんは滞在期間中、ヴィラ九条山で、和紙をレーザーカットで切り抜き、幾何学模様の立体的な作品を発表した。今回の滞在で初めて和紙を扱ったといい、「同じ和紙でもさまざまな質感があることを知った。普段使っていたプラスチックとは違う可能性を見いだせた」と話す。

 京都市内にはこのほか、同様の施設として、ドイツの公的文化機関「ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川」(京都市左京区)もある。

シベリア抑留経験者の話を聞いて…

 一方、京都府が展開しているのは「京都:Re-Search」という事業。20歳以上40歳以下の工芸家やデザイナー、建築家ら若手アーティストを対象としている。滞在期間は約2週間で、滞在先の提供のほか、助成金として1人5万円が支給される。

写真ギャラリー

  • 「アーティスト・イン・レジデンス」は「発見」と「出会い」の場だと語るシャルロット・フーシェ=イシイ館長=京都市山科区の「ヴィラ九条山」
  • オープンスタジオで、印金の研究成果を発表するブレーズ・ヴィオレーヌさん(中央)=京都市山科区の「ヴィラ九条山」
  • 「アーティスト・イン・レジデンス」を利用して印金の研究に励むブレーズ・ヴィオレーヌさん=京都市山科区の「ヴィラ九条山」
  • 「アーティスト・イン・レジデンス」を利用して印金の研究に励むブレーズ・ヴィオレーヌさん=京都市山科区の「ヴィラ九条山」
  • 平成4年の設立から今年で25周年を迎えた「ヴィラ九条山」=京都市山科区
  • フランス人アーティストが拠点としている「ヴィラ九条山」=京都市山科区
  • 25年間で330人以上のアーティストらを迎えてきたヴィラ九条山=京都市山科区