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和歌山毒物カレー事件から19年 犠牲の男児の通学先、今も給食にカレーのメニューなし

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和歌山毒物カレー事件から19年 犠牲の男児の通学先、今も給食にカレーのメニューなし

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鳥居幸さん=当時(16)=の両親らから寄贈された「みゆき文庫」を整理する司書の平岡里衣さん=和歌山市の私立開智中・高の図書室 1/1枚

 平成10年7月、和歌山市園部の夏祭りで子供ら4人が死亡し、63人がヒ素中毒になった毒物カレー事件は25日で19年。あの日の惨状を忘れたい住民ら。若い世代へ語り残す人々。無罪を訴える林真須美死刑囚(56)の再審請求が続く一方で、今もさまざまな思いが交錯する。

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 犠牲になった鳥居幸さん=当時(16)=が通っていた私立開智中・高(同市)。図書室の一角には、両親や書店から寄贈された600冊以上の「みゆき文庫」がある。

 司書の平岡里衣さん(30)は当時、小学生だった。毎年、新入生に鳥居さんの説明をしており、生徒からは「そんなことがあったのか」「信じられない」といった声が上がるという。

 亡くなった林大貴君=同(10)=が通っていた市立有功小は給食にカレーを出していない。事件後に引っ越してきた住民も増え、保護者からは「なぜ出さないのか」との声もあるが、大橋はるみ校長(59)は「何年たってもわが子を失った痛みは消えない。重く受け止めたい」と理由を話す。

 平成21年に死刑が確定した林死刑囚は和歌山地裁に再審請求したが、今年3月に棄却され、決定を不服として大阪高裁に即時抗告している。

 住民の一人は、取材を受ければ、ガードレールにもたれかかり食べたものをはき出す人や、次々と救急車が到着する光景を思い出すが、それを口にすることはほとんどなくなった。「思い出したくない、忘れたい人が多いのではないか」

 毒物カレー事件 平成10年7月25日、和歌山市園部で夏祭りのカレー鍋にヒ素が混入され、当時10~64歳の男女4人が死亡、63人がヒ素中毒になった。捜査過程で林真須美死刑囚(56)と夫の保険金詐欺疑惑が浮かび、和歌山県警は2人を逮捕。カレー事件の殺人と殺人未遂容疑で林死刑囚を再逮捕した。無罪を主張したが、和歌山地裁は14年死刑を言い渡し、大阪高裁、最高裁も支持し21年に確定した。