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【関西の議論】〝中国四千年〟が「断絶の歴史」だから新鮮? 有名観光地に飽きた富裕層が押し寄せるマイナースポット

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〝中国四千年〟が「断絶の歴史」だから新鮮? 有名観光地に飽きた富裕層が押し寄せるマイナースポット

関西の議論更新
江戸時代の風情が残る大阪府富田林市の「富田林寺内町」。府内唯一の「重要伝統的建造物群保存地区」で、有名な観光スポットに飽きた中国人富裕層たちが押し寄せているという 1/4枚

 訪日外国人の人気観光地といえば、伏見稲荷大社(京都市伏見区)や梅田スカイビル(大阪市北区)などが有名だろう。そんなスポットに行き尽くした中国人富裕層たちの間で今、江戸時代の街並みが残る大阪府富田林市の「富田林寺内町」が評判になっているらしい。大阪府内では唯一の「重要伝統的建造物群保存地区」ではあるが、観光地としての知名度は伏見稲荷大社などと比べるとはるかにマイナーな存在。失礼ながら、地元の大阪府民の知名度もそう高くはないローカルスポットに、中国人富裕層が大挙して訪れるワケを探ってみると…。(藤崎真生)

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富裕層に抜群の人気…富田林寺内町

 「ここに招いてはずしたことはないですよ」

 富田林寺内町について、そう太鼓判を押すのは訪日外国人向けの旅行会社「彩里旅遊」を経営する水谷浩さん(59)=大阪府吹田市=だ。

 同社の顧客は華僑や中国人富裕層の会社経営者らが多く、年齢層のメーンを占めるのは30~60代。1人から最大で10人程度の少人数のツアーを企画し、団体ツアーでは得られないきめ細やかなサポートで、顧客を獲得している。

 水谷さん自身が中国人富裕層たちのガイドを担当しているが、関西各地のツアーの中でも富田林寺内町の評判が抜群なのだ。

 顧客として訪れたある中国の銀行幹部の妻は「『映画のセット』ではなく、何百年も前の木造の街並みがそのまま残っている。しかも、そこに人が実際に住んでいるのが素晴らしい」と感嘆した。

 別の顧客も「保存状態が素晴らしい」と語った。中国人にとって、時の政府の保護を受けるのではなく、一般の個人の住宅が昔のままの姿で残っていることが新鮮なのだ。

 「京都や奈良は知っているが、大阪の中心部から、こんな近くにこれだけ素晴らしい場所があるなんて知らなかった」といった声もある。

ほかに人気スポットは…

 富田林寺内町は戦国時代、京都・興正寺の僧・証秀によって創建された「興正寺別院」を中心とした宗教自治都市として誕生し、江戸時代に商業都市として発展した。今も東西約400メートル、南北約350メートルほどのエリアに国重要文化財「旧杉山家住宅」をはじめ重厚な町家が数多く残り、平成9年には国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。

 地区内の観光施設として18年4月につくられた「市立じないまち交流館」の入館者数は開館初年度で、約1万6700人。28年度は約3万3700人と当初に比べると倍増しているが、観光地としてはマイナーな部類に入ることは否めない場所だ。

 富裕層の人気を集めているマイナースポットは富田林寺内町だけではないようだ。

 かつての門前町で多くの石塔や石仏がある「化野(あだしの)念仏寺」を抱える京都市の嵯峨鳥居本地区、かやぶき屋根の集落が残る京都府南丹市・美山町地区、舟の格納庫「舟屋」がずらりと並ぶ同府伊根町の「舟屋集落」が人気という。

 どの地域も国の重伝建地区で古い建築物が数多く残されているなど富田林寺内町と共通する部分がある。

 中国では、古い建築物は王朝が変わるたびに〝スクラップ・アンド・ビルド〟で消えることが多い。前王朝のものを徹底的に否定、破壊する「断絶の歴史」だけに、古くからの暮らしを丁寧に守り続ける富田林寺内町の人々の暮らしが眼前にそのまま残っているところが新鮮に映るのかもしれない。

写真ギャラリー

  • 大阪府富田林の「富田林寺内町」の一角。昔の雰囲気を漂わせる重厚なつくりの民家が今も残る
  • 「中国人富裕層を連れて行ってはずしたことはない」。訪日外国人向けの旅行会社を経営し、近年人気スポットになっている大阪府富田林市の「富田林寺内町」について語る水谷浩さん=大阪府吹田市
  • 「外国人の注目を集めるのは非常に良いこと」と語る佐藤康平さん。「LLPまちかつ」の代表として「富田林寺内町」の活性化に取り組んでいる=大阪府富田林市