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【鹿間孝一のなにわ逍遙・動画】労働者の街あいりん新今宮に高級ホテル…大阪を変える星野リゾート

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 大阪人は、大阪の本当の魅力に気づいていなかったのではないだろうか。

 これぞ傍目(おかめ)八目。JR・南海新今宮駅前にホテルを建設する「星野リゾート」の星野佳路代表の言葉に、ハッとした。

 「東京とは大きく異なるコテコテの大阪があり、観光客がディープな体験ができる絶好の立地」

 「コテコテ」も「ディープ」もよく耳にするが、大阪人にはあまりほめられているとは思えない。だが、実はそうしたものこそが、観光客が大阪に求めるものだったようだ。

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 星野リゾートが今年3月に、温浴施設を備えた20階建ての都市型ホテルの計画を発表したときには、正直、驚いた。

 確かに、通天閣のある新世界に隣接し、天王寺公園やあべのハルカスにも近い。JR、南海に加えて地下鉄御堂筋線、堺筋線の動物園前駅もあり、関西国際空港へのアクセスなど交通の便がいい。インバウンド(訪日外国人客)需要も期待できるが…。

 なにしろ周辺は「あいりん地区」で知られる労働者の街である。表現を変えれば、漫画「じゃりん子チエ」の舞台のようで、路地からチエちゃんが飛び出してきそうな、庶民的な雰囲気が満ちている。

 大阪に住んでいても、行ったことはないという人が多いだろう。

 そこにリゾートタイプの高級ホテルができるというのが、ミスマッチに思えたのだ。

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 ただ、建設するのが星野リゾートである。成算があるはずだ。

 星野代表は観光業界の“革命児”として知られる。

 非日常的な空間を楽しんでもらう軽井沢の老舗旅館が評判を呼び、全国各地で斬新な宿泊施設を手がけてきた。

 とくに経営再建の手腕に定評があり、北海道のトマムリゾートなど破綻して再生困難と思われたリゾート施設や温泉旅館を次々によみがえらせてきた。

 企業理念は「日本の観光をヤバくする」。

 「ヤバい」という言葉は従来、「危ない」という意味で使われてきたが、現代の若者には「かっこいい」である。

 その発想に、型にはまった先入観はない。

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 星野代表は何度も大阪を訪れ、現地をリサーチしたそうだ。

 新世界のジャンジャン横丁。飛び交う大阪弁や、店の看板や価格表示も面白いと思った。60円で飲料を売る自動販売機もあった。「全部ひっくるめて大阪文化だと思った」

 大阪の中ではあまり治安が良くないとされるが、「海外の治安の悪さとは違う。観光客が危険を感じるレベルではない」。むしろ「問題のない地域では新しい発想など出てこない」とポジティブにとらえる。

 最近、簡易宿泊所が増え、外国人旅行者や若者が多いのが、観光地としての可能性を秘めていることを裏付けている。

 ひょっとして、大阪の街は新今宮周辺から大きく変わるかもしれない。

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鹿間孝一 鹿間孝一 産経新聞特別記者兼論説委員(平成25年9月まで大阪特派員を兼務)。北海道生まれの大阪人。生涯一記者を自任していたが、なぜか社命によりサンケイリビング新聞社、日本工業新聞社で経営にタッチして、産経新聞に復帰した。記者歴30余年のうち大半が社会部遊軍。これといった専門分野はないが、その分、広く浅く、何にでも興味を持つ。とくに阪神タイガースとゴルフが好き。夕刊一面コラム「湊町365」(「産経ニュースWEST」では「浪速風」)を担当。共著に「新聞記者 司馬遼太郎」「20世紀かく語りき」「ブランドはなぜ墜ちたか」「なにが幼い命を奪ったのか 池田小児童殺傷事件」など。司馬遼太郎に憧れるも、いうまでもなく遼に及ばず。

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