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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本阪神2年目…勝負か若手育成の継続か、旗幟鮮明に!

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 勝負か、若手育成の継続か-。金本阪神は2017年の基本姿勢を鮮明にするべきです。金本知憲監督(48)は今年、就任2年目を迎えましたが、球団内外に漂う空気は「今年こそ優勝。金本監督の勝負の年」です。糸井をFA補強、新外国人メンデス、キャンベルを獲得し、阪神本社、球団内に優勝を期待する声が渦巻いているのです。一方で鉄人には優勝を迫るのではなく、就任時に求めた若手育成の継続を願う声も根強いのです。勝ちに行くのなら補強の継続を、育成ならファンに説明を-。球団方針が曖昧だと、そのツケは鉄人を直撃しますね。

■阪神タイガース周辺、みんな「今年こそ金本監督で優勝や!監督の勝負の年や!」

 新年、明けましておめでとうございます。今年もトラ漫遊記は阪神タイガースに関するどんなコラムよりも鋭く、厳しく、核心を突きながら、そして温かく、タイガースを取り巻く状況を愛読者の皆様方にお伝えしようと思っております。どうか2017年も不肖、越後屋とお付き合いくださいませ。

 さて、新年の挨拶(あいさつ)もほどほどに、いきなり本題に踏み込みましょう。初年度1回目の漫遊記は阪神電鉄本社-球団首脳に大上段からモノを申したいと思っています。核心は阪神タイガースとして、今季に向けての姿勢をもっと鮮明にしてほしい…ということですね。その心は勝ちに行くのか、育成の継続なのか。どっちにするのかをハッキリとさせた方がいい!! と指摘したいのです。

 金本監督は今年、監督就任2年目を迎えましたね。初年度の成績は64勝76敗3分、勝率・457で優勝した広島からは24・5ゲーム差の4位でした。Bクラスは4年ぶりで、一度も優勝争いに加われなかった“惨敗”でした。チーム打率・245、本塁打90本、チーム防御率3・38という数字も今ひとつですが、それでも阪神ファンがシーズン終盤まで声を枯らして応援した理由は「自前の若手を起用して育てようという姿勢があった」(阪神OB)からでしょう。

 阪神電鉄本社の坂井信也オーナーも「金本監督の誕生時はファンの支持率100%でしたが、シーズンが終わる頃は60%ぐらいだったでしょうかね。それでも金本監督と若手育成の方針だったから60%も支持率は残ったんじゃあないでしょうかね」と語っていました。

 確かに一軍に起用した選手は60人を超えていましたね。若手抜擢(ばってき)という長期スパンに立った戦略がファンに受け入れられたシーズンだったかもしれません。

 しかし、2016年が終わり、新年を迎えた阪神タイガースの周辺にはどんな空気が漂っているのか。それは「大補強もしたのだから、今年こそ金本監督で優勝や。監督の勝負の年や」という空気なのです。

 オフの間、FA補強で糸井を獲得し、新外国人としてリリーフのメンデス、三塁手としてキャンベルを獲りました。大補強したのだから12年ぶりのリーグ優勝を期待する-という声が強く渦巻いています。

 そういえばスローガンも変更しましたね。「超変革」から「挑む」でしたね。若手育成という長期スパンに立った方針の代名詞ともいえる「超変革」。その旗を降ろしてしまったことで、より「育成よりも勝負」という空気が醸成されたのでしょうか。

 「球団の周辺を覗(のぞ)いてみても“今年が金本監督の勝負の年”という空気が漂っている。異常なほどにね…。理由は分からないけど、優勝を求める声の方が選手育成を期待する声よりも圧倒的に強いんだ」

 阪神のチーム関係者の言葉ですが、確かに私の取材結果も同様です。

 一方で、就任2年目の監督に優勝を求めるのはいかがなものか…という疑問の声も聞こえてきます。若手育成路線に変更してわずか2年目。まだまだ若手が育ってきた…とは言い切れない時期です。さらに昨オフのドラフト会議では即戦力投手の1位指名を回避し、野手の大山(白鳳大)を指名しました。

 「大山はどう見ても3年はかかる。今年が勝負なら、なぜ即戦力投手を指名しなかったんだ。優勝を求めるならドラフト戦略が違うだろ」という声は理解できますね。

 糸井や新外国人選手を獲得しましたが、ライバルの巨人はもっと大型補強を進めました。昨季に25年ぶりの優勝を飾った広島のチーム力もそう落ち込まないでしょう。筒香ら若手が自信をつけたDeNA、投手陣を整備したヤクルトの戦力も侮れません。中日だって球団の体制を一新して巻き返しを狙っています。現時点で優勝争いの予想をしても、金本阪神が上位に推されるだけの説得力があるでしょうか。

 ならば、優勝という十字架を背負わせるのは鉄人には酷…という見方もあります。もし、それでも優勝を求めるならば、シーズン開幕をにらんで補強の手を休めないことです。例えば、福留の右翼が決まったことで空席になった一塁手です。この前のコラムで書いた通りに原口の一塁コンバートが最低条件ですが、それでも苦しいですね。強打の右打ちの新外国人選手の補強がマストのはずです。

 「優勝を求める」というのなら、絶対に補強の継続が不可欠です。しかし、現時点で球団のスタンスは「補強は打ち止めです」。ならば期待値と戦力層には大きなギャップが生じたまま、シーズンに向かっていくことになりそうですね。ギャップのツケを払うのは誰でしょう。

 「戦力補強を継続的に行わないのなら、今年も長期スパンに立った若手育成の旗を立てるべきだ。マスコミやファンに球団としての姿勢を鮮明にすべきではないか。戦力は苦しいのに、優勝を望まれても監督は苦しいだけだ」とは阪神OBの言葉ですね。

 支持率100%が4年ぶりのBクラスで60%になったのならば、今季の成績次第では60%が0%にならない保証はどこにもありません。いや、数々の阪神の歴史を見てきた私の経験則に照らし合わせると、今季のチーム成績は鉄人の進退に大きく影響を及ぼすでしょうね。「優勝を期待する」ならば、その影響はマックスに膨れあがるでしょう。始めから「今年も若手育成。我慢してほしい」のなら、影響はミニマムに変化するかもしれませんね。

 だから指摘するのです。勝ちに行くのなら、補強の手を休めてはいけません。監督に結果を問うことにもなるでしょうが、補強を進めた結果なら誰もが納得するでしょう。逆に育成継続なら補強は打ち止めでいいでしょう。しかし、ファンやマスコミに阪神タイガースとしての姿勢、見解を説明しなければなりません。今年も長期戦略の推進のために我慢してほしい…と。

 しかし、現時点でのオール阪神の姿勢を見る限り、旗色はどっちつかずですね。球団首脳の皆様、そのツケを支払うのは鉄人であることをどうかお忘れなく!!   =続く(毎週日曜に掲載)

植村徹也(うえむら・てつや) 植村徹也(うえむら・てつや)  1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月~金曜日午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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