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【メガプレミアム】顔面火あぶり、監禁、踏みつけ…「邪魔な存在」3歳児を不条理な死に追いやった虐待地獄 救える命救う仕組みを

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顔面火あぶり、監禁、踏みつけ…「邪魔な存在」3歳児を不条理な死に追いやった虐待地獄 救える命救う仕組みを

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周囲に「子煩悩」装う

 ただ府警によると、事件直前の6月6日以降、自宅マンション近くの防犯カメラには英智ちゃんの姿は一切写っておらず、自宅で監禁状態だった可能性がある。両被告はこの間、2人の実子である長女(3)と3人で食事に出かけていたこともあった。

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 一方で英智ちゃんの死亡後、2人は周囲に対し、自分たちは「ぬれぎぬを着せられた子煩悩な被害者」だと訴えていた。

 逮捕前の今年1月、産経新聞の取材に応じた美香被告は、「保護される度に英智はパパ(渉被告)と距離を感じてしまい、なつくのに時間がかかった。児童相談所に『虐待はなかった』と書面で回答してくれとお願いしたが、聞いてもらえなかった」と、児相への不満をあらわにした。

 さらに、英智ちゃんが買ったばかりの服を着てポーズをとっている写真が掲載された子供服店のブログがあると明かし、「妹(長女)の分も合わせて40着ぐらい買い、8万~9万円かかった。かわいがるつもりがないなら、わざわざ施設から子供を引き取ったりしない」とアピール。渉被告も「血がつながっていないから虐待を疑われるのは偏見だ」と語気を強めた。

児相の仕組み改善を

 事件をめぐっては、保育園から児相に通報が複数回寄せられ、何度も児相職員が英智ちゃんや両親に接触していたことから、児相が「救える命を救えなかった」と批判を浴びた。堺市は「子ども虐待検証部会」を開き、再発防止に向けた検証を始めている。

 2人が英智ちゃんと一緒に暮らしていたのは計2カ月間に過ぎない。府警幹部は「保護されたときにそのまま施設に預けておけば、命は守られたはず。育てる気がないのに、なぜわざわざ自ら英智ちゃんを引き取ったのか」と首をかしげる。

 一方、児童虐待問題に取り組む関係者は「虐待をする親が執拗(しつよう)に子供を自分の手元に置こうとするのは、決して珍しい行為ではない」と明かす。

 「子を虐待する親は精神的に不安定で、親という役割を実感することで心の安定を図ろうとする人もいる。子供を児相に保護されると『親失格』の烙印(らくいん)を押されたように感じ、強く反発してしまう」。関係者はこう解説し、「児相は保護解除後も家庭訪問だけでなく、子育ての様子を長時間観察し、間違っていることを細かく丁寧に教えてあげるなどの手厚いアフターケアをする必要がある」と訴える。

 児相の所長経験もあるNPO法人「児童虐待防止協会」(大阪市)の津崎哲郎理事長は「日本では児相が子供の保護と親の指導という両方の役割を担っているが、アメリカでは行政と裁判所でその役割が分担されている」と、日本の児相が抱える制度的な問題を指摘。「子供を保護すれば親から反発される可能性は高く、この2つの役割を両立させるのは難しい。制度の改正を社会全体で本格的に議論する必要がある」と話している。

(2016年10月10日掲載)

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