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【メガプレミアム】顔面火あぶり、監禁、踏みつけ…「邪魔な存在」3歳児を不条理な死に追いやった虐待地獄 救える命救う仕組みを

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顔面火あぶり、監禁、踏みつけ…「邪魔な存在」3歳児を不条理な死に追いやった虐待地獄 救える命救う仕組みを

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 顔をライターであぶり、浴槽で後頭部を踏みつける-。堺市堺区のマンションで昨年6月、当時3歳の男児が意識不明となり死亡した事件。傷害致死など3つの罪で起訴された両親が、男児に対して日常的に激しい暴行を加えていた実態が明らかになった。「養育が困難」として一時は児童相談所(児相)に預けた男児を自らの意思で引き取ったにもかかわらず、「邪魔な存在」と疎んじて凄惨(せいさん)な虐待を繰り返した末、死亡させるというショッキングな内容に、社会は震撼(しんかん)した。明らかに「子育てをしてはいけない親」をどう見抜き、子供を守るべきなのか。事件から教訓をくみ取り、社会全体で救える命を救う制度を整える必要がある。

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「いつの傷か記憶ない」

 「何度もたばこを押しつけたり、ライターであぶってやけどを負わせた。これまで何度もやったので、どれがいつの傷かは記憶がありません」

 長男の常峰英智(つねみね・えいち)ちゃんの顔や腕など12カ所に全治1カ月のやけどを負わせたとして今年9月、傷害容疑で大阪府警に再逮捕された養父のアルバイト、常峰渉(わたる)被告(32)は、こう供述した。

 英智ちゃんは昨年6月15日未明、自宅マンションの浴槽から心肺停止の状態で緊急搬送され、3日後に死亡した。司法解剖の結果、死因は低酸素虚血性脳症で、全身にはやけどを含む30カ所以上の傷があった。

 府警は今年7月、英智ちゃんを浴室に閉じ込めたとする監禁容疑で、渉被告と実母の美香被告(23)を逮捕。翌8月、浴槽で英智ちゃんの後頭部を足で踏んで水没させ殺害したとして殺人容疑で両被告を再逮捕したが、殺意の立証には至らず、傷害致死罪で追起訴された。

 その後、罪自体は軽い傷害容疑で9月に再逮捕するという異例の展開をたどったのだ。

 府警は、わが子の顔をライターであぶるという信じがたい行為の悪質性を際立たせるため、2人の立件に踏み切ったとみられる。英智ちゃんの死への関与はかたくなに否定していた美香被告も、傷害容疑については「頬にライターを使ってやけどをさせた」などと素直に認めた。

 両被告はその後、傷害罪でも起訴された。

 「なんで子供にこんなことができるのか。思い出すだけで夜も寝られない」。ある捜査員は、怒りで声を震わせた。

複雑な環境環境

 府警によると、渉被告は英智ちゃんについて「邪魔な存在だった」と供述。美香被告も「どうでもいい存在だった」と、自分の腹を痛めて産んだとは思えない発言をしていた。

 こうした伏線ともいえるのが、美香被告の連れ子だった英智ちゃんをめぐる複雑な生育環境だ。

 英智ちゃんは平成24年7月、美香被告の親族が「堺市子ども相談所」(児相)に「養育が困難」と相談したのを受けて、生後約3カ月で児童福祉施設に入所。その後に美香被告は渉被告と結婚し、1年後の25年7月に「(英智ちゃんを)引き取って育てたい」と児相に申し出た。

 面接などを重ねて昨年3月下旬、英智ちゃんは両親と一緒に生活するようになったが、1カ月後の4月下旬、英智ちゃんが通う保育園から「顔にひっかき傷やあざがある」と通報があり、児相は再び英智ちゃんを保護した。

 だが、2人は強硬に虐待を否定。医師も両親の説明と傷に矛盾はないと判断したため、5月中旬に英智ちゃんを自宅に戻していた。

 虐待はこの直後からエスカレートしたとみられ、事件の約2週間前の6月初旬には「やけどの痕がある」と再び通報があった。児相職員が家庭訪問したが、2人は「自分で壁に頭をぶつけたり、遊具から落ちたりした」と主張。やけどについても「料理中にてんぷら油がはねて当たった」と説明した。

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