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「嫡出否認」夫にだけ認めるのは違憲…神戸の女性が提訴 出生届受理されず無戸籍に

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「嫡出否認」夫にだけ認めるのは違憲…神戸の女性が提訴 出生届受理されず無戸籍に

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 生まれた子との親子関係を法的に否定する「嫡出否認」の訴えが起こせるのを夫にだけ認めている民法の規定は、男女平等を定めた憲法に違反するとして、神戸市内の60代女性と娘、孫2人の計4人が24日、国に計約220万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。代理人の作花知志(さっか・ともし)弁護士によると、この規定の違憲性を問う訴訟は初めてとみられる。

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 訴状などによると、女性は昭和57年、当時の夫の暴力が原因で別居。離婚が成立する前に別の男性との間で娘が生まれた。女性は男性を父親とする出生届を提出したが、民法772条の「婚姻中に妊娠した子は夫の子」とする嫡出推定の規定のため受理されず、娘は無戸籍に。娘が生んだ孫2人も無戸籍となった。

 夫の子であることを否定するためには「嫡出否認」の訴えを起こす必要があるが、民法は774条で「夫は子が嫡出であることを否認することができる」と規定。女性は、この規定のために嫡出否認の訴えを起こすことができず、娘や孫が無戸籍になったとし、規定が法の下の平等を定めた憲法に違反していると主張している。

 提訴後に神戸市内で記者会見した作花弁護士は「男性中心の家制度を重んじた時代遅れの規定が放置された結果、無戸籍問題が生じた。今の時代にあった法改正が必要だ」と話した。

「これ以上苦しむ人出てほしくない」

 「同じように苦しむ人がこれ以上増えてほしくなかった」。民法の「嫡出否認」に関する規定の違憲性を争う訴訟を起こした女性は産経新聞の取材に、提訴に至った思いを明かした。

 女性によると、元夫とは昭和50年代に結婚。間もなく元夫から暴力を振るわれるようになり、包丁を持ち出しては「殺す」と脅され、家を飛び出した。見つからないよう半年間に15回の引っ越しを繰り返した。

 その間、別の男性と出会い、娘を出産。離婚成立前だったため、男性が父親と認められるか不安だった。弁護士に相談することもできず、自力で解決しようと法律関係の書籍を読むなどしたが、答えは出ないまま娘は無戸籍になってしまった。

 親子関係を否定する司法手続きには、嫡出否認の訴え以外に、親子関係不存在確認の訴えもある。しかし、裁判所から「元夫の証言が必要」と言われて断念した。男性に娘を認知してもらう場合も同様に証言が必要で、「元夫には日常的に『別れるなら殺す』などといわれていて、顔を合わせるのが怖かった。それに、娘の存在を知ったら、殺されるか、元夫が自分の子としてしまうかも、と恐ろしくもなった」。

 平成25年、元夫が前年に死亡したことを知った。もう顔を合わせる危険性はないと考え、男性に娘を認知してもらった上で、男性を父とする娘の出生届を提出。娘と孫の無戸籍状態はようやく解消されたという。

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