産経WEST for mobile

副反応の原因、真っ向対立…子宮頸がんワクチン、接種女性ら27日に一斉提訴へ

記事詳細

副反応の原因、真っ向対立…子宮頸がんワクチン、接種女性ら27日に一斉提訴へ

更新

 国が一時、積極勧奨の対象としていた子宮頸(けい)がんワクチン(HPVワクチン)をめぐり、重い副反応症状を訴える全国の女性約60人が27日、国と製薬会社2社に損害賠償を求める訴訟を東京、大阪、名古屋、福岡の各地裁に一斉に起こす。全身の痛みや記憶障害は、予防接種が原因なのか。こうした副反応を「薬害」とする原告側に対し、世界保健機関(WHO)や学会は接種を強く推奨するなどワクチンの評価は二分している状態。製薬会社側は有用性を強調しており、法廷でも双方の主張が真っ向から対立しそうだ。

<< 下に続く >>

「階段上れない」

 「ワクチンを打った後の私の症状が何だったのか、はっきりさせたい。『気のせい』『ショック』で終わらせてほしくない」

 関西在住の女性(17)はそんな思いで、大阪の集団訴訟に加わることにした。

 原告弁護団によると、女性は中学1年のとき、学校の案内を見て、HPVワクチン「サーバリックス」の注射を受けた。直後から接種を受けた腕の強い痛みや頭痛、体のだるさを感じ、3回目の接種後は症状がさらに悪化した。手足のしびれや全身のふるえのため教室で座っていることもできず、学校の階段も上れない。

 病院で精密検査をしても原因は不明。医師からは「気分を変えたら治る」「ヒステリー」と言われた。ある大学病院でようやく「ワクチンが原因」と診断され、治療を受けて症状は徐々に回復した。だが、体のしびれがぶりかえすこともあり、不安は尽きない。「将来ちゃんと妊娠できるのか、それが一番心配」と話す。

WHOは推奨

 国は平成25年4月からHPVワクチンを原則無料で受けられる「定期接種」の対象にしたが、健康被害の報告が相次ぎ、2カ月後には積極勧奨を中止した。

 原告弁護団は「ワクチンには免疫系の異常を招き、神経障害を中心とする副反応を引き起こす危険があった」と主張している。

 一方、厚生労働省の専門部会は26年1月、注射の不安などがきっかけとなった「心身反応」との意見をまとめ、ワクチン成分による中毒や免疫反応という見方に否定的な見解を示した。

 ただ、厚労省の別の部会は昨年9月、運動障害などを訴えた一部の患者について「ワクチン接種との因果関係を否定できない」として医療費などの支給を決めており、国の立場は必ずしも明確でない。

 WHOは2014年に「ワクチンは安全で有効」との声明を発表。翌年の声明でも「若い女性が予防できうるHPV関連がんの危険にさらされたままになっている」と日本の現状に警告を発した。日本産科婦人科学会や日本小児科学会など17団体も今年4月、積極的な接種を推奨する見解を公表している。

 ワクチンに対する評価が分かれる中で、厚労省が設けた2つの研究班が今年3月、これまでの研究成果を発表。このうち信州大の池田修一医学部長のチームは、ワクチン接種後に記憶障害など「脳の働きの異常と考えられる症状」が出た患者のうち、7~8割が同型遺伝子を持っていたとのデータを示した。ワクチン接種による免疫反応が脳の症状を引き起こした可能性を示唆する内容だった。