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【エンタメよもやま話】酷暑40度!地球は温暖化!…は嘘!…も嘘? 太陽原因説あの学者に石油業界が多額献金

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酷暑40度!地球は温暖化!…は嘘!…も嘘? 太陽原因説あの学者に石油業界が多額献金

エンタメよもやま話更新

 本コラムではこれまで、映画や音楽だけでなく、政治や経済、食やIT(情報技術)、そしてUFOや宇宙人に至るまで、世界のあらゆる事象やモノを“エンターテインメント”ととらえ、ご紹介してきましたが、今回取り上げるのは地球温暖化でございます。

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 今夏も、全国的に異常ともいえる猛暑がなかなか収まりませんね。とりわけ記者が住む京都市は8月2日に最高気温39・1度を記録するというもはや意味の分からない状況に。みんな口を開けば「地球がおかしなってんねん」(近所のおばちゃん)としか言葉が出てきません。

 実際、地元の電気屋さんなどによると、京都市内では北区や鞍馬(くらま)といった、これまでこの時期、クーラーが基本、必要なかった地域からもクーラーの注文が殺到しているといいます。どう考えても異常です。

 そして、その異常の原因はいうまでもなく地球温暖化なのですが、未だになんだかんだ屁理屈をこねて、地球温暖化を否定する連中がいるのも事実です。

 だがしかし。そんな連中が実は、温暖化を認めると都合が悪い業界からたんまり金をもらって「地球温暖化なんていうものは嘘っぱちで気のせいだ」とメディアや学会などでわめきつづけているとしたら…。

 今週ご紹介するのは、そんな連中のひとりである許し難い米学者の話です。実は米で大騒ぎになったのはもう半年ほど前なのですが、日本ではほとんど知られていないうえ、本コラムでもご紹介し忘れていたこともあり、温暖化が話題になるこの猛暑の時期に、敢えてご紹介いたします。

1.5億円もらい「タイヨウガー!」 “真っ赤な嘘”か

 今年の2月21日に米紙ニューヨーク・タイムズや英紙ガーディアン(いずれも電子版)などが報じているのですが、地球温暖化懐疑論者で知られ、温暖化は人間の活動が原因ではなく、太陽の活動によるものだと主張してきた米国の著名な科学者が、あろうことか、石油業界から多額の寄付金を受け取っていたことを隠して論文を発表していたのです。彼を雇っていた米国立スミソニアン協会によると、寄付金は10年間で総額120万ドル(約1億4900万円)にものぼるといいます。

 利害関係者からの寄付を公表していなかったことが倫理規定に違反するというわけですが、地球温暖化の主原因である二酸化炭素(CO2)をがんがん排出する化石燃料から脱却しようとする動きを、石炭とともに化石燃料の代表である石油業界が中心となり、必死で妨害しようとロビー活動を展開していた事実がはっきりしたのです…。

 このとんでもない学者は、1966年生まれのマレーシア系米国人、ウィリー・スーン氏(本名=ウェイ-ホック・スーン)です。母国マレーシアで優秀な成績を収めたスーン氏は1980年に米国に移住し、南カリフォルニア大学に。87年にはプラズマ物理学に関する研究で博士号を取得。その後、天体物理学や地球科学の研究に軸足を移し、97年からハーバード・スミソニアン天体物理学センターの科学者(博士研究員)を務めています。

 そんな彼が一躍、世間の注目を浴びるようになったのが2003年です。彼はこの年「20世紀の地球温暖化は過去何世紀にもわたる過去の温暖化と比べれば異常ではない」との共同論文を発表。これに13人の科学者が論文で反論する事態となったのです。またスーン氏は07年「北極の白クマは人的活動による温暖化のせいで脅威にさらされているわけではない」との論文も発表しています。筋金入りです。

 この一件以降、彼は「地球温暖化は人的活動ではなく太陽の活動が原因である」との主張を繰り返す温暖化懐疑論者として一躍脚光を浴びるわけですが、世界的な活動で知られる環境保護団体グリーンピースが彼について調査したところ、何とスーン氏は2010年、保守・共和党の有力支持者で大統領選にも隠然たる影響力を持つ石油業界の大富豪、チャールズ・G・コーク氏が最高経営責任者(CEO)を務めるエネルギー企業から6万5000ドル(約808万円)、コーク氏の慈善財団から23万ドル(約2800万円)の援助をそれぞれ受けていたことが発覚。

 さらに、石炭火力発電で知られる米電力大手サザンカンパニーの子会社が計40万9000ドル(約5000万円)、また米石油大手エクソン・モービルからも多額の寄付を受けていたほか、スーン氏を一躍有名にした03年の共同発表論文の研究費のうち、5%に当たる5万3000ドル(約660万円)は米石油協会(API)が拠出していたことなどが明らかになったのです。

 このグリーンピースの調査結果をニューヨーク・タイムズ紙などが一斉に報道。これを受け、その5日後にスミソニアン協会が調査を始めたところ、スーンが08年以降に発表した少なくとも11の論文でこうした石油業界を中心としたエネルギー業界からの寄付の事実が公表されず、うち8つの論文が公表先の学術誌の倫理規定に違反することが分かったのです。

 というわけで、すっかり化けの皮がはがれたスーン氏ですが、こうしたスーン氏の論文に「地球温暖化はデマだ」との主張で知られるオクラホマ州選出のジェームズ・M・インホフェ上院議員をはじめ、石油業界などから多額の献金を受けている共和党の議員たちが着目。リベラルな民主党のオバマ政権が進める化石燃料からの脱却政策を攻撃する材料として、議会証言などで彼の論文の文言を丸ごと引用していたのでした…。

 当然ながらスミソニアン協会は、この一件に関する調査を開始するにあたり「地球温暖化は人的活動によるものであり、われわれはスーン氏の主張を支持していません」とのコメント(当たり前過ぎて笑えますな)を発表しています。

「太陽の影響」「ミニ氷河期」他の専門家から全否定…オバマ政権は「CO2を3割削減」発表

 ちなみにスーン氏らが主張する「太陽の活動」というのは、ドイツの天文学者、故ハインリッヒ・シュワーベ博士によって10~12年周期で変化することが分かっています。その後、多くの太陽物理学者が、太陽の奥深くで起きる発電効果が太陽活動の周期に影響を与えることなどを解き明かしました。

 そうした太陽の活動に伴い、太陽の黒点が大幅に減少する「マウンダー減少期」には過去、ミニ氷河期が起きるとされてきました。1645~1715年にロンドンのテムズ川が凍結したときも太陽の黒点が大幅に減少としいたといいます。

 そんななか、今年の7月12日付の英紙インディペンデントや7月16日付米紙USAトゥディ(いずれも電子版)などが伝えましたが、英国の研究チームが、こうした太陽活動の周期を数学モデルを元にさらに詳細に割り出したところ、太陽黒点が今後、大きく減少。2030年には太陽の活動が現在の60%減と大幅に低下し、地球に「ミニ氷河期」がやってくるとの研究結果を発表し、物議を醸しました。

 しかし、世界の科学界では太陽の活動が地球の気温に与える影響は軽微との認識が一般的(NASAの研究でも明らかになっています)で、この研究結果についても世界中の多くの気象・気候研究者たちが猛反発。米ペンシルベニア大で気象学を教えるマイケル・マン名誉教授は7月14日付米紙ワシントン・ポスト(電子版)に電子メールで「太陽活動が地球の気温に与える影響はほとんどなく、地球温暖化は今後何十年間も続く」と述べ、ミニ氷河期の到来を完全否定。

 米海洋大気庁(コロラド州)の宇宙天気予報センター(SWPC)に勤務するダグ・ビーセッカー氏も7月14日付米CNNテレビ(電子版)に「太陽は地球の気候変動に影響を与えているが、その役割は支配的なものではない。太陽活動のせいでミニ氷河期が起きるという概念は絶対真実ではない」と、今回の研究結果を強く否定しました。

 そして欧米主要メディアが大きく伝えましたが、米オバマ政権は8月2日、地球温暖化対策対として、国内の既存の火力発電所からの二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに32%削減(05年比)する規制案をまとめ、翌3日に発表しました。

 米はすでに、今年12月にパリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向け、25年までにCO2といった温室効果ガス排出量を26~28%削減(2005年比)する目標を公表しており、今回はこうした姿勢をより強固に打ち出す形となりました。

 無論、これは、温暖化対策で世界をリードする姿勢をアピールし、会議を有利に運びたい米側の思惑もあるわけですが、それでもこの米の姿勢を機に、COP21で世界が温暖化対策をより真剣に協議することになれば素晴らしいことだと思います。

 そしてまたこの新たな削減案について、石油業界などのバックアップを受けている共和党が猛反発しているわけですが、8月2日付CNN(電子版)はこう報じました。

 「米エネルギー業界はこれまで、数百万ドル(数千億円)を投じ、温暖化は科学のまやかしだとのキャンペーンを展開してきたが、(最近の)世論調査ではほとんどの米国人が温暖化は現実問題と認識している」

       (岡田敏一)

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【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部などを経て現在、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。京都市在住。

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