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【ウナギ味のナマズは世界を目指す(1)】琵琶湖で食べたナマズがきっかけ 全国の魚をかば焼きに 近大准教授・有路昌彦さん

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琵琶湖で食べたナマズがきっかけ 全国の魚をかば焼きに 近大准教授・有路昌彦さん

ウナギ味のナマズは世界を目指す(1)更新

 絶滅の可能性が指摘され、価格の高騰から手が届きにくくなってきたウナギのかば焼き。その食感、味に近い「ウナギ味のナマズ」を近畿大学農学部の有路昌彦准教授(40)が開発し、「将来的に丼物を千円以下で提供したい」と話す。養殖業者の父を持ち、少年時代から日本の養殖産業の発展を人生の目標に据えてきた。ウナギ味のナマズで日本人のかば焼きへの需要を満たすだけでなく、世界の水産市場に攻勢をかけるという熱いビジョンについて聞いた。(聞き手 高久清史)

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 --研究を始めたきっかけは

 有路 もともと始めたのが2009(平成21)年です。ヨーロッパウナギの資源量が減り、同じようにアメリカウナギ、ニホンウナギも減っていました。この流れでいくと確実にニホンウナギは規制の対象になるんじゃないかと。だから代わりの魚種を探してほしい、と養殖業者、かば焼き業者から相談され探し始めました。

 --ナマズにはどのようにたどり着いたのですか

 有路 10年以上前に一度、琵琶湖のナマズ料理を食べたときに非常においしかったので、直感として、ナマズ系がいいと思った。ただ、本気で養殖をしようと思えば、ほかに良い魚種があったら、そちらを選ばないと最終的に市場競争で負ける。そこから全国の魚を集め、全部かば焼きにしてひたすら食べる研究を始めてみました。研究室を煙でもうもうにしてね。ひまさえあれば、学生と一緒に「ようし、今から捕りに行くぞ」といって。

 --大学は何と

 有路 別の部屋ではサンマを焼いたり、かまぼこを作ったりしていた。近畿大学は面白い大学で、許してくれましたね。

 --ありとあらゆるものをかば焼きにした

 有路 ドジョウは早い段階に狙ってやりました。でも、めちゃくちゃ、めんどうくさい。小さいのを切って、骨をとるのは絶対に商売にならんと分かった。口に含んだときのボリューム感がないとダメ。コイ、フナ、ブラックバス、ブルーギル。何でもやりました。ブルーギルはよかったけど、ブラックバスはまずくて泣けてきました。研究のためといいながら、学生たちと半泣きになりながら食べました。

 --そしてナマズに

 有路 そうですね。5年前に再び琵琶湖のマナマズを食べる機会があり、かば焼きにして食べたら、すごい脂がのっていた。まるで牛肉みたいだった。脂がわーって出て、圧倒的なパワーを感じた。そこからマナマズ1本で絞っていこうという感覚になった。ただそこで壁がありました。全国からマナマズを取り寄せ、ひたすらかば焼きにして食べたのですが“全滅”でした。ことごとく泥臭くって、脂がなかった。もう口に入れられなかった、くさくて。これはダメだ、どうしようって思った。

 --それでも諦めなかった

 有路 琵琶湖で食べたあれは何やったのかと思って、自分で捕りにいった。学生と一緒に琵琶湖の周辺の用水路でナマズをとり、かば焼きにしたら、ものすごい脂でものすごくおいしかった。大学の近所の川で捕ったやつと食べ比べしたら、外見は同じなのに180度違う。そこで分かったんですよ。つまり、この魚は生息している環境、エサの条件、水の条件によって味が180度変わるんだと。条件を整え、自分たちでエサをコントロールしたら、狙いの味になる。自分で味を調整してみようと思いました。   =続く

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 【プロフィル】有路昌彦(ありじ・まさひこ) 昭和50年、福岡県生まれ。京都大大学院修了。農学博士。大手銀行系シンクタンク勤務などを経て、近畿大学農学部水産経済学研究室の准教授。日本学術会議連携委員、内閣府食品安全委員会の専門委員も務める。6年前からウナギの代替となる魚の育成に取り組み、今年、ウナギ味のナマズの開発に成功した。