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【衝撃事件の核心】出向先の被災地「街コン」で出会い結婚隠し交際、女性殺害の凶行に及んだ26歳巡査長の「卑劣」 大阪府警「最低最悪の不祥事」

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【衝撃事件の核心】出向先の被災地「街コン」で出会い結婚隠し交際、女性殺害の凶行に及んだ26歳巡査長の「卑劣」 大阪府警「最低最悪の不祥事」

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殺人容疑で逮捕された大阪府警阿倍野署地域課の巡査長、水内貴士容疑者(ツイッターより) 捜査1課長の隣には警察官の不祥事を取り扱う監察室長。「犯人逮捕」の記者発表は、普段と違う重苦しい雰囲気に包まれていた。大阪市東住吉区のマンションで1月、住人の社会福祉士、白田光(しらた・ひかる)さん(23)が遺体で見つかった事件。大阪府警が同月25日、殺人容疑で逮捕したのは、白田さんの交際相手で、自らの組織に所属する阿倍野署地域課の巡査長、水内貴士容疑者(26)だった。逮捕後の調べに「カッとなって」と供述したが、捜査の進展などで計画性を示唆するような状況が浮上。さらに、事件は不倫関係の「別れのもつれ」という単純な愛憎劇ではなく、水内容疑者が交際中に結婚したことを白田さんに告げず、発覚後に別れ話を切り出されても応じなかった揚げ句、凶行に及ぶという身勝手で卑劣極まりない構図が浮かびつつある。府警幹部は嘆く。「最低最悪の不祥事だ」

当初は「殺されたなんて知りません」

 「大阪府警の警察官と付き合っていた」「名字に『水』が付いていた」「奈良県の出身らしい」

 白田さんの交友関係から水内容疑者の存在が浮上するのに、それほど時間はかからなかった。だが、「そのときは容疑者になるとは思っていなかった」(捜査関係者)といい、「(犯人の可能性を)つぶす意味もあった」と捜査対象に加えた程度だった。

 白田さんの遺体が見つかったのは1月24日午前10時55分ごろ。大阪市東住吉区にある単身者向けマンションの小さな浴槽で、うつぶせに浮かんでいた。白田さんの勤務先から「いつも始業の45分前には出勤してくるのに、まだ来ない」と通報を受け、府警東住吉署員が発見した。

 玄関は施錠され、室内に荒らされた形跡もなかった。白田さんは冬用のコートを着たズボン姿。靴下も履いており、外へ出かけるような服装だった。

 遺体に目立った外傷はなく、室内に不自然な点も見当たらなかったが、詳細に調べると、首に締められたような痕がうっすらと残っていた。

 府警は殺人事件とみて捜査を開始。同日夕、交友関係から判明した水内容疑者を府警本部に呼び、事情を尋ねると、何食わぬ顔でこう答えたという。

 「白田さんのことは知っています。でも、殺されたなんて知りません」

史上4人目の逮捕者

 水内容疑者ら関係者への聞き込みと平行し、府警は現場の検証作業も実施。自宅マンションの防犯カメラの捜査では不審な男の姿が確認された。

 午前7時45分ごろ、顔を隠すように黒いフードとマスクをした男がマンションを訪れ、エレベータに乗り込んだ。午前8時45分ごろには、非常階段を使って階下に降りてきた男がマンション入り口を通過する様子が記録されていた。上着が薄茶色のジャンパーに変わっていたが、約1時間前の男とよく似ており、同一人物と推定できた。大柄で若い男。水内容疑者と似ていた。

 捜査員らの間に不穏な空気が漂い始める中、水内容疑者が犯行時間帯、どこかに外出していたことも判明した。

 当初「つぶす」存在とも考えられた水内容疑者は、次第に重要参考人の位置づけになった。そして日付が変わった25日、水内容疑者は供述を一転させた。

 「私がやりました。ベルトで首を絞めて殺しました」

 昭和58(1983)年の巡査部長による交際相手射殺事件以降、大阪府警の現職警察官が殺人容疑で逮捕されたのは、4人目だった。

「忙しい人だから」と言い聞かせ

 2人は25年5月、大阪から遠く離れた宮城県で出会った。

 当時、白田さんは福祉を学ぶ大学生。水内容疑者は東日本大震災の復興支援のため宮城県警に同年4月から出向していた。若い男女に出会いの場を設け、街を盛り上げるイベント「街コン」で知り合い、間もなく交際を開始したという。

 約1年後の昨年4月、水内容疑者は1年間の出向を終え、大阪府警に復帰。白田さんも社会人となり、同じころから大阪市東住吉区の病院で勤務を始めた。交際は大阪でも続いた。

 だが、このときすでに水内容疑者は、後に妻となる女性と交際していたとされる。このことを隠しての二股交際で、その女性と8月に結婚した。何も知らない白田さんは夏ごろ以降、親しい友人に悩みを打ち明けるようになっていた。

 「メールしても2、3日返信がない」「両親と住んでいることを理由に、住所も教えてくれない」

 ただ、水内容疑者のことを信じたい一途な気持ちがあったのだろうか、「忙しい人だから」と自分に言い聞かせるようにしていたこともあったという。

別れ話は被害者から

 「別れ話を切り出したら、関係を『奥さんや警察に言う』と言われ、カッとなってやった」

 水内容疑者は取り調べにこう供述したとされる。だが、白田さんの知人らは「まるで白田さんが悪いかのような口ぶりが我慢ならない」と憤る。

 「彼女は正義感の強い子でした。最初から不倫だと知っていて付き合うような人ではないんです」

 白田さんの同僚によると、白田さんは2カ月に1度程度しか会えない状況に我慢できなくなり、昨年末までに少なくとも3度、水内容疑者に別れを切り出した。

 そのたびに水内容疑者は「別れない。おまえはおれのことが好きやからどうせ別れられへんやろ」と言い放ったという。

 悩みながらも交際を続けていた白田さん。今年に入り、フェイスブック上で水内容疑者と妻の写真を見てはじめて結婚を知ることになった。「知らなかった。結婚を知ったということを彼に言うことすらもできない」と激しく落ち込んでいた、と知人らは語る。

「計画的犯行」の可能性

 事件直後、阿倍野署に戻り、道場で剣道のけいこに汗を流していた水内容疑者。凶器のベルトを道場の隅にあったごみ袋に捨てると、同僚らと昼食に出かけていた。このベルトは、ズボンにつけていたものではなく、かばんに入ってたものだったという。

 あらかじめ凶器を用意した計画的犯行との見方が浮上し、さらにベルトを捨てたのは証拠隠滅行為ともとれる。「別れ話でカッとなって」と衝動的犯行を示唆する水内容疑者の供述には不審点が残る。

 白田さんの家族は27日、山形県警を通じてこんなコメントを出した。

 「大切な末の愛娘は、突然この世を去らねばならず、さぞ無念だったと思います。私たち家族は深い悲しみのふちに立たされています。つらい現実を素直に受け止めることができず、何も考えることができません。今は、ただ、ただ、最愛の娘の冥福(めいふく)を祈るとともに、最後の時を静かに過ごさせていただきたいと思います。ご理解いただけますよう、何卒お願い申し上げます」

 白田さんの無念を少しでも晴らすため、府警は徹底した捜査で事件の真相を解明してほしい。

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