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【世界を読む】中韓の学生を駆り立てる「集団カンニング」という不正…「試験は勝つか負けるかのゲーム」とうそぶく

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中韓の学生を駆り立てる「集団カンニング」という不正…「試験は勝つか負けるかのゲーム」とうそぶく

世界を読む更新

 韓国や中国で、2014年10月に行われた米国の大学進学適性試験(SAT)で不正疑惑が浮上した。米国の実施団体は調査のために点数の公表を延期し、疑惑の組織を非難する声明を発表。韓国メディアは留学予備校が事前に問題を不正に入手し受験生に教えたと伝えた。実は韓国では、2013年5月のSATが同様の問題流出で中止になっているにもかかわらず、再び起きた形だ。「(試験は)勝つか負けるかのゲーム」。学生たちを不正に走らせる原因をそう指摘する関係者もいるが…。(勝田康三)

繰り返される不正ビジネス

 不正疑惑が持たれているのは韓国と中国で昨年10月11日に行われた米国のSAT。実施団体の米非営利法人カレッジボードと米教育評価院(ETS)は試験前に問題が流出し、大規模な不正があったとみて調査を始めた。

 「調査は成績の有効無効を見分けるためだ」

 ETSは、調査結果の判明まで全受験生の成績発表を見合わせ、不正にかかわった受験生を見つけ出す考えを表明した。東亜日報(電子版)が伝えた。

 SATは米国以外の国で年6回実施され、日本でも行われている。試験問題をETSの許可なく複製したり流出させたりすることは違法行為にあたる。東亜日報によると、10月のSATの前に、留学予備校の講師やブローカーが過去に出題された問題を違法入手し、学生らに販売したり教えたりしていた。

 SATをめぐっては、韓国で2013年にも同様の「集団カンニング」が問題となった。韓国検察は2月に試験問題の流出疑惑を受けて留学予備校などを家宅捜索したほか、5月には複数の留学予備校が違法に試験内容を事前入手し学生への指導に利用したとして、SATそのものが中止になった。

 韓国で繰り返される不正に対し、ETSは今回、「自分の利益のために試験内容を違法入手した組織」を非難する声明を出した。ETSは米の一団体に過ぎないが、不正ビジネスが後を絶たない韓国に対し、国際社会の信用失墜を招きかねないとの警告とも受け取れる。

ゲーム感覚で行うカンニング

 不正ビジネスは韓国だけに限らない。

 中国でのSATの不正疑惑について、米CNN(電子版)は、中国の教育関係者の声を紹介している。

 「中国人は教育を勝つか負けるかのゲームのように考えている。カンニングは公平なゲームの戦い方。恥ずかしいという意識は全くないし、何年も行われてきた」

 カンニングはゲーム感覚で行われているというのだ。

 中国では2014年10月、薬剤師の国家試験で集団カンニングが発覚し、約2440人が摘発された。中国国内7カ所で行われ、約2万5千人が受験した。米CNNによると、会場の試験官が異常な無線信号に気づいて発覚したという。手口はこうだ。

 偽の受験生らが問題を覚えて退席し、外で控えた関係者が問題を解いて答えを暗号で配信。受験生らはイヤホンや受信機を埋め込んだ消しゴムを使い、解答を受け取っていた。不正してでも合格するという受験生が後を絶たないようだ。

 それにしても、中韓の学生たちをここまで不正行為に走らせている理由とはなんだろうか。

極度な学歴社会と過剰な競争が不正を呼ぶ?

 韓国は一流大学、一流企業と経歴が重視される社会だ。要するに、米国留学でも「何を学ぶか」より「米国に留学した」というステータスを重視する傾向が強い。そのため競争は激しく、国内はもとより米国など海外の大学に進学希望する人も増えている。

 中国では、15歳から30歳代前半の人たちの主な死因は「自殺」とされ、その理由について、大学入学の競争激化と新卒の非雇用の増加が背景にあるとされる。就職難と、格差社会の進行が、学生たちによりよい大学への進学を夢見させるのだ。そして不正を働いてでもその夢を叶えるという「よこしま動機」でカンニングを働く…。

 米国際教育協会(IIE)が昨年11月に発表した2013~14年度の米大学留学生数は、中国が1位、韓国はインドに次いで3位。留学生約88万6千人のうち中国人は31%、インド人は12%、韓国人は7・7%を占めた。ちなみに日本人は7位で前年度比1・2%減の約1万9千人。留学生全体に占める割合は2・2%だった。