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【衝撃事件の核心】「開票遅れたら批判」追い詰められ〝白票水増し〟…高松市選管不正、職員らは「黙っておこう」と申し合わせた

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【衝撃事件の核心】「開票遅れたら批判」追い詰められ〝白票水増し〟…高松市選管不正、職員らは「黙っておこう」と申し合わせた

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選管の不正開票事件に揺れる高松市役所 選挙制度の根幹を揺るがした高松市選管の不正開票事件は、高松地裁(野村賢裁判長)で9月から始まった6被告=公選法違反(投票増減)の罪などで起訴=の公判を通じ、「票の帳尻合わせが慣習的に行われていたのでは」との疑惑が浮上している。検察側が、足りなくなった票を白票の水増しで埋めた手口について「先輩から聞いた」とする被告の供述を明らかにしたためだ。市民からは「過去にさかのぼった調査が必要」との声も上がり、市選管への疑念は膨らむ一方だ。

過去にも不正の疑念

 昨年7月の参院選を巡る不正開票事件で起訴されたのは、当時の市選管事務局長の山地利文(59)、得票計算係の責任者だった大嶋康民(60)、山下光(56)ら6被告。先月2日の初公判は6被告が一緒に出廷したが、各被告の主張の違いなどから第2回は分離審理となり、事務方トップの山地被告は一部無罪を主張、他の5人は起訴事実を認めている。

 問題の供述が明らかにされたのは先月30日に開かれた大嶋、山下両被告の第2回公判。検察側が「飲み会で(得票計算係だった)先輩から『票が合わないとき白票を水増しする』と聞いたことがあった」とする大嶋被告の供述調書を読み上げた。大嶋被告は票不足を補うには「白票で水増しするしかない」と考えたという。

 検察側は初公判の冒頭陳述で、開票作業中に300票ほど票が足りないと気付いた大嶋、山下両被告が、作業が遅れ気味だったことなどから「白票の水増し」を提案、山地被告も了承したと指摘している。

 大嶋被告の供述内容について、市選管内に設けられた第三者機関「市選挙事務調査委員会」会長の田代健弁護士は「無視はできない。可能な限り対応していきたい」と述べ、調査委として調査する必要性に言及。大西秀人市長も「調査を見守っていきたい」とし、協力要請があれば応じる意向だ。

 一方、市幹部は「驚いた」としつつも、「現状は過去にも不正があったのか具体的に分からない。不正をできないようにする再発防止策が大事だ」と述べる。

 しかし、市選管に票の再点検を求めてきた同市の亀山巧さん(64)は「これまでも10~20票という数なら水増しをやっていたと感じてしまう。(不正が)繰り返されるなかで、300票でもごまかせると思ったのではないのか」と非難し、「組織体質の問題。市全体で対応、対策をとってほしい」と注文。市民からも「徹底的な調査が必要だ」との声があがり、過去の不正疑惑は無視できない問題になっている。

元選管事務局長は一部無罪主張

 公判では、山地被告だけが起訴事実の一部を否認している。初公判では起訴内容の認否を留保。先月26日の第2回公判では「おおむねよろしいかと思う」と話したものの、「白票を再集計するよう指示したりすることはなかった。(大嶋被告らの)つじつま合わせの中身は知らなかった」と述べた。

 さらに、開票作業を終えた段階で見つかった自民党・衛藤晟一(せいいち)氏(現参院議員)の未集計の票については、「梱包するよう相談したり、指示したりしたことはない」と、犯行への直接的な関与はなかったと強調。弁護側は「主導的役割は果たしていない」として公選法違反(投票増減)については無罪を主張した。一方、隠蔽工作にあたる封印破棄罪については、山地被告は起訴内容を認めた。

 起訴状などでは、衛藤氏の票は大嶋被告が票を見つけ、山地、大嶋、山下の3被告が共謀し、未集計のまま段ボールに梱包。大嶋被告の供述調書によると、3人は「今更どうすることもできない。黙っておこう」と小声で申し合わせたとされる。

 山地被告はこうした謀議を否定。開票所の体育館内で女性が暴れるトラブルが起き、「(そちらに出向いて)開票会場にいなかった可能性がある。警察官の対応をしていた」と主張しており、大嶋被告らと山地被告の主張の違いがどう判断されるかも焦点となる。

大きなプレッシャーあった

 公判では、事件の背景となった、開票作業を早く進めることへのプレッシャーについても被告らの供述調書などで示された。

 市選管は昨年7月の参院選開票作業から自動読み取り機6台を導入。開票作業は、「どうしても遅れさせてはならない」との意識があったという。

 票が足りない状況に気付いた大嶋被告は「いつ開票作業が終わるのか考えたくなかった」「早く終えるようプレッシャーがかけられ、水増し以外にないと思った」と追い詰められた心情を吐露。山地被告も「遅くなると(マスコミに)批判される。開票作業に対するマスコミの態度は狂気ではないかと感じていた」という。

 しかし、公正さと迅速さの両立は選管事務の基本であり、使命でもある。公判は今後、被告人質問などが行われるが、過去にわたる不正疑惑も含め、真相究明がどこまで進むか注目される。

高松市選管の不正開票事件 昨年7月の参院選開票作業で、約300票足りないという誤解から集計済みの白票を2度集計させるなどして白票329票を水増しし、自民党の衛藤晟一氏(現参院議員)の得票312票を減らしたとして、当時の市選管事務局長ら3人が公選法違反の罪で起訴。つじつまを合わせるため、昨年8月から今年1月にかけて3回、投票用紙を保管した段ボール箱から、衛藤氏の得票を無効票の箱に移すなど票の操作をしたとして、封印破棄罪で同事務局長が起訴、市選管職員3人が在宅起訴された。

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