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レール置き石の“容疑者”はカラス ヒトとの知恵比べ JR阪和線

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 カラスが原因とみられる線路上の置き石トラブルが相次いでいる。現場は人が立ちいることが難しい場所で、大阪市内のJR阪和線で起きた置き石でも、有力な“容疑者”に真っ先にカラスがあげられた。関東では頻発する被害に悩まされ、カラスの鳴き声を発するセンサーを設置して撃退した鉄道会社もあるが、専門家は「カラスは恐ろしく知性が高い。対策に特効薬はない」と指摘する。ヒトをあざ笑うかのようにいたずらを繰り返すカラスとの知恵比べは続いている。

 今月2日午後3時ごろ、大阪市住吉区我孫子のJR阪和線我孫子町-杉本町駅間で、走行中の快速電車の運転士が異音に気付き、緊急停止した。JR西日本の職員が調べたところ、レール上に石の粉砕跡1カ所を発見。置き石が疑われたものの、現場は高さ10メートル以上の高架上のため人の立ち入りは困難で、カラスの仕業と推測されるという。

 「カラスはホモサピエンス以外で唯一、遊びをする生き物」

 カラスによる置き石の可能性が高い理由をこう語るのは、カラスの生態に詳しい宇都宮大農学部の杉田昭栄(しょうえい)教授(動物形態学)。カラスには貯食(ちょしょく)というエサを隠す習性があり、「貯食の際につまんだ石をレールの上に置き、石が砕ける様子や音を楽しんでいるのではないか」と説明する。

 4月にも同じ阪和線の我孫子町-杉本町駅間で置き石があり、上下線4本が運休して約7千人に影響した。JR西によると、管内の置き石の件数は集計していないがカラスが原因とみられる置き石は珍しくないという。

 一方、置き石被害に悩まされていたJR東日本盛岡支社(盛岡市)では平成22年、置き石が多発していたJR東北線花巻-日詰(ひづめ)駅間の田園地帯で、対策センサーを設置した。同支社がカラスだけの動きを検知する技術を独自に開発。線路脇の電柱に取りつけたセンサーが半径30メートル内でカラスの動きを検出すると、カラスが危険を察知した際に発する鳴き声がスピーカーから流れる仕組みだ。

 鳴き声が流れると付近のカラスが一斉に飛び去ったといい、一帯で年間20件程度だった置き石被害は、22年度は6件に減少、23年度は3件、24年度は1件にまで激減した。同社の担当者は「カラスに『この区間は危険エリアだ』という認識を持たせることができたのではないか。ヒトの知恵の勝利です」と胸をはる。

 しかし、杉田教授は「カラスは恐ろしく知性の高い生き物。いずれ慣れる可能性もある」と指摘。杉田教授には、東北や関東の鉄道会社からカラスの置き石被害の相談が頻繁に持ち込まれるといい、「カラス対策に特効薬はない。ネットを張ったり巣をつくれないような構造にしたりと地道に対応策を練るしかない」と話していた。

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