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【ビジネスの裏側】パナ去りさびれる大阪の超高層ビル街…「梅田」のような“知恵”浮かばず

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【ビジネスの裏側】パナ去りさびれる大阪の超高層ビル街…「梅田」のような“知恵”浮かばず

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 大阪・京橋にある大阪ビジネスパーク(OBP、大阪市中央区)の顔の1つだったパナソニックのショールームが姿を消す。4月26日に開業するグランフロント大阪(大阪市北区)へ移転するためだ。ほかにも梅田地区へ引き抜かれるテナントもあり、OBPのオフィス空室率は高まっているもようだ。パナソニック社内では、OBPに拠点を置く営業部隊をOBPに残すか梅田に移転するかが検討された。さらにテナントが減少することになれば、京橋の空洞化に拍車がかかる可能性もある。

パナ、グランフロントへショールームを移転

 昨年12月25日、OBPのランドマークビルともいえるOBPパナソニックタワーで、パナソニックのショールーム「パナソニックセンター大阪」が閉館した。同ビルの1階ロビーと吹き抜けは、“顔”が消えて心なしか寂れた印象を与える。

 隣接するパナソニック大阪京橋ビルにあるもう1カ所のショールーム「パナソニックリビングショウルーム大阪」も4月10日に閉館する。4月26日にグランドオープンするグランフロント大阪に統合して移転するためだ。

 新しいショールームは、従来のOBPではパナソニックと旧パナソニック電工とで分かれていた展示内容を一体化。「明日のライフスタイル」をテーマに最新のスマート家電や住空間を総合的に体験できる、お客参加型の施設になるという。

 両ビルを管理するMIDプロパティマネジメントによると、OBPパナソニックタワーはパナソニックが一棟借りを継続するが、5月末で全体の賃貸を解約するパナソニック大阪京橋ビルの後継テナントは「未定」としている。

梅田への引き抜きで寂れる恐れ

 OBPは高層ビル群と都市公園で構成された再開発地域。大阪城公園に隣接した地区を経済・商業の拠点にしようと、昭和45年に地権者の企業などにより開発協議会が結成され、まちづくりがスタート。総面積26ヘクタールに15のビルが建ち、約600事業者に約3万5千人が就業している。

 しかし関係者によると、近年テナントが減って空室が目立つようになっているという。不動産仲介大手の三鬼商事によると、大阪のビジネス地区の賃貸オフィス空室率は、2月の平均が10・48%で、7カ月ぶりに10%台に悪化。グランフロントとダイビル(大阪市北区)の完成で既存ビルの解約が増えたことが影響した。

 三鬼商事の統計に京橋地区は含まれていないが、大阪市のオフィス仲介業者によると、OBPを含む京橋地区の空室率は20%前後とみられ、グランフロントにテナントが引き抜かれる例もあるという。

 OBP開発協議会事務局によると、就業人口の最近のピークは平成20年の3万5500人で、大きな変動はないが、当初の計画規模の3万8千人に達したことは過去にない。

電機大手は梅田近辺に集中

 東芝、日立製作所グループ、三菱電機など大手電機メーカーの関西における営業拠点は梅田近辺に集中している。パナソニック関係者によると、旗艦ショールームをグランフロントに移転させる同社にとって、効率化の面で営業部隊を梅田へ移転させるかどうかが一時期、検討課題の1つになった。家賃の高さがネックになったが、業界関係者の間では今でも移転の可能性があるとの観測が消えていない。

 ただ、実際に移転するとなると、後継テナントをどうするのかという難題が待ち受ける。グランフロントやダイビルが床の供給を始めたのに加え、北新地(大阪市北区)でも平成27年3月に新ダイビルの完成が控えており、オフィス需給は供給過多に陥る懸念がある。

 不動産市場に詳しい金融関係者は、「(パナソニックは)身動きが取れないのが正直なところではないか」と打ち明ける。

 OBPで働く大手企業の社員は「京橋にはオフィスがあるだけで、人を集める仕掛けがない。そこが梅田と最大の違いだ」と苦言を呈する。商業施設の相次ぐオープン、リニューアルで、人がにぎわう梅田のように、OBPも次の開発検討が必要な時期に来ているのかもしれない。

(南昇平)

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