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【チェックEYE】野口智博氏 競泳女子100自由形優勝の池江、精度に磨きかかる

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 女子100メートル自由形準決勝 全体1位で決勝進出を決めた池江璃花子=東京アクアティクスセンター
 女子100メートル自由形準決勝 全体1位で決勝進出を決めた池江璃花子=東京アクアティクスセンター

 試合前の気合に満ちた表情、レース中の精度の高い泳ぎ。8日、競泳の日本選手権女子100メートル自由形を制した池江の心と体は、間違いなく日本のトップに戻ってきた。このレース、もう少し記録が伸ばせたのではと感じてしまうほどの安定感だった。

 池江のストローク(水をかく一連の動作)の精度は一級品だ。通常、疲れがたまる後半になると、入水位置がずれたり、水を押し切れなかったりとフォームが崩れる。だが、池江の伸びやかなストロークで水を捉える技術は最初から最後まで衰えず、この種目での五輪リレー代表入りを狙っていた自信が、レース全体に表れていた。

 白血病から復帰後も、バタフライと自由形の“二刀流”で強化を続けた。エネルギーを使う一方、自由形の課題の解消が、バタフライの泳ぎの改善につながるなど、一つの努力が双方に生きた。体力もつき、短期間での記録短縮につながったのだろう。焦らず、ゼロから積み上げてきたことで、闘病前より自由形の精度が磨かれているように感じる。

 全てを失っても、また戻って来られることを彼女は証明した。日本競泳界で伸び悩んでいる仲間たちはもちろん、すべての人に自信を与える存在だろう。(日本水泳連盟科学委員、400メートル自由形元日本記録保持者、日大文理学部教授)

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