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【鬼筆のスポ魂】直接取材OKのカープ方式、ファンのニーズにかなっている 植村徹也

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チーム練習が再開され、ランニングする広島ナイン=21日
チーム練習が再開され、ランニングする広島ナイン=21日

 延期されていたプロ野球のシーズン開幕日(最短6月19日)の輪郭が見えてきた中、12球団の現場には動きが出始めた。

 活動自粛後の4月15日から甲子園球場と鳴尾浜に分かれ、午前と午後、投手と野手の8グループ(各7~8人)で動いていた阪神も、19日からは甲子園球場と鳴尾浜、午前は投手、午後は野手の4グループでの分離練習に移行した。矢野燿大(あきひろ)監督(51)やコーチ陣の指導も再開された。指揮官が選手と顔を合わせるのは、3月25日のDeNAとの練習試合(横浜)以来55日ぶり。甲子園球場に立つのも同19日の練習以来、61日ぶりだ。

 「みんなの元気そうな姿を見られたのもありますし、久しぶりに甲子園の土と芝、こういう感触を味わえた。これが当たり前だったのが、そういう状況じゃなくなったというのは改めて感じた」と矢野監督は球団を通じてコメントを発表した。藤浪、伊藤隼、長坂の3選手が新型コロナウイルスに感染したことが判明したのが3月27日。直後からチームは活動自粛。報道陣の施設内の立ち入りも禁止となった。依然として立ち入りは許可されておらず、監督談話も球団からの配信。選手の直接取材も再開されていないので報道陣はオンライン取材の日々だ。

 一方で報道陣に対して逆の対応を見せている球団がある。広島カープだ。17日以降、広島は投手と野手をそれぞれA班とB班に分けて1軍はマツダスタジアム、2軍は由宇と大野練習場で1日2時間半の練習を行っている。4月19日の練習再開から1勤1休だったが、17日から3勤1休となり、21日には約4時間、練習を行った。しかもスタンドには応募で選ばれたファン約200人を招き入れた。佐々岡真司監督(52)やコーチ陣もグラウンドで指導する。

 「指導を自粛している球団もあるそうだが、われわれは春季キャンプで作ったものを潰してしまわないように選手を指導している。できる限り体力や技術が落ちないように努めている」とはあるコーチの言葉だ。約1カ月半、監督やコーチと選手が直接的に“接触”していなかった阪神とは取り組み方が違う。

 そして、報道陣に対する姿勢も違う。2軍の由宇や大野練習場は代表取材の方式だが、1軍のマツダスタジアムは十分な予防策を講じた上、各社1人の制限で、日本野球機構(NPB)の取材章を提示するなどして球場に入る。選手の取材も他球団より自由。駐車場に設けられた取材エリアでソーシャルディスタンスを守りながら話が聞ける。これは球団の基本方針だ。

 鈴木清明球団本部長は担当記者たちに「本来はカープのファンの方々に試合をお見せしている時期だ。しかし、新型コロナウイルスの影響でお見せできない状況が続いている。報道陣の方に少しでもチームを取材していただき、カープの現状をファンにお伝えしていただきたい」と話しているという。

 阪神は現時点で球界で唯一、新型コロナウイルスの感染者を出した球団。なので感染症対策について他球団と比べても慎重に進めている。オンラインによる選手の取材についても報道陣に対して協力的。ただ、昔から『百聞は一見にしかず』ということわざがある。せめて球場の記者席ぐらいは開放して、選手の練習風景ぐらいは披露したらどうだろう。広島はスタンドをファンに開放した…。

 6月2日には開幕に向けた練習試合がスタート。テレビ、ラジオや新聞などの報道陣も球場には入れるようになるのだろう。あと少しの辛抱…とはいえ、ファンはそこまでのチームの足取りを詳細に知りたがっている。カープ方式はファンのニーズにかなっている。

(特別記者)

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