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【夏の甲子園中止】日本高野連は本気で高校生のケアを 運動部長・北川信行

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昨夏の甲子園大会は大阪・履正社の初優勝で幕を閉じた=令和元年8月22日、兵庫県西宮市
昨夏の甲子園大会は大阪・履正社の初優勝で幕を閉じた=令和元年8月22日、兵庫県西宮市

 学生野球の理念を定めた「日本学生野球憲章」に、こんな一文がある。「野球部の活動は、部員の教育を受ける権利を妨げてはならず、かつ部員の健康を害するものであってはならない」。新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中、今夏に全国高校野球選手権大会を開催することは、「学生野球の憲法」とも言われる憲章に反する。中止は、やむを得ない。

 例えば、既にプロ野球の試合が行われている台湾や韓国を鑑み、「無観客なら開催できるのではないか」「予防策を講じれば大丈夫ではないか」といった意見もあるだろう。ことに、甲子園出場を夢見てずっと練習に励んできた3年生の野球部員たちの気持ちを考えれば、「なんとか大会を開催してやりたい」との思いは痛いほど分かる。

 だが、台湾や韓国と同様の予防策で球場内の感染はある程度防げるかもしれないが、部員たちが滞在するホテルや長距離移動のリスクはどうか。政府の緊急事態宣言は39県で解除されたとはいえ、都道府県をまたいだ不要不急の移動などは控えなければならない状況だ。4月26日に全国高等学校体育連盟が夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)中止を決めたのは「競技中だけでなく、移動や宿泊などによる感染リスクは大きく、大会に関わる人の安全・安心の確保が困難」「臨時休校により十分な練習時間の確保が困難な状況で、大会でけがや熱中症など事故の発生が危惧される」との理由からだった。高校野球だけが、これらの要因と無縁なはずがない。

 その上で、中止を決めた日本高野連などには、求めたいことがある。憲章は「学生野球は、教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする」とも規定している。であるならば、甲子園出場という目標を失った部員たちのケアや指導に、本気で取り組んでほしい。それが、教育者たる学生野球の担い手の責務だ。「残念だった」「かわいそう」で済ませてはいけない。 (運動部長 北川信行)

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