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台湾・韓国プロ野球、なぜ早期に開幕できたか 選手の行動管理、マニュアルも作成

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観客を入れて行われた台湾のプロ野球=5月8日、新北市(ゲッティ=共同)
観客を入れて行われた台湾のプロ野球=5月8日、新北市(ゲッティ=共同)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が14日、39県で解除された。試合開催などを見合わせているプロ野球やJリーグにとっては、活動再開に向けた第一歩を踏み出せる状態に近づいた。早期のシーズン開幕やリーグ再開に期待が高まる。しかし、宣言が継続する地域を本拠地にするチームも多く、都道府県をまたいだ移動によるリスクをどう減らすかなどの課題も残る。一足早く試合開催にこぎつけた台湾や韓国のプロ野球はどのように運営されているのか。現地のジャーナリストや関係者に取材した。(嶋田知加子)

 ■選手の行動徹底管理

 台湾のプロ野球(CPBL)は4月12日に無観客で開幕。今月8日には観客動員も始まった。当初は千人が上限だったが、15日からは2千人に引き上げた。CPBLを取材してきた台北在住のスポーツジャーナリスト、雷明正(らい・めいせい)氏(32)は「当局が先手を打って強力な予防策を講じた。CPBLが早く開幕できたのは、同様に厳しいルールを敷いたから」と解説する。

 雷氏によると、CPBLでは、全選手が寮生活を送る。その上で、各球団は選手の行動を徹底的に管理した。感染者が立ち寄った商業施設で食事したことが判明した選手は個室へ。4月上旬に国内旅行に出かけたスタッフは2週間、自宅隔離となった。当局は国内旅行を許していたが、CPBL独自で罰則を設けた。

 さらに、遠征では公共交通機関を使わず、専用バスでの移動を徹底。宿泊施設からの外出も禁じた。

 選手やコーチ、スタッフだけでなく、取材する報道陣も含め、感染者が出た場合にはリーグを一時休止することも申し合わせている。雷氏は「誰もが緊張感を持ち、細心の注意を払っている」と強調する。

 観客動員を始めるにあたっては、球場出入り口を1カ所に限定し、2週間以内の海外渡航の有無などを申告する声明書の提出を義務化。球場内ではマスク着用の必要があり、当初は水と薬以外の飲食も禁止した。

 ■2軍も細かく指示

 韓国のプロ野球は当初の予定から約5週間遅れとなる5日に無観客で開幕した。名門サムスン・ライオンズの2軍監督は、かつて日本の中日ドラゴンズで救援投手として活躍した落合英二氏(50)だ。

 ソウルのクラブで集団感染が発生するなど、再び警戒感が強まっている韓国。落合氏は「正直、よくこの早さで開幕できたと思う。4月に入ってからの動きが早かった」と振り返る。

 チームの本拠地は2月に集団感染が起きた大邱(テグ)。当時は厳戒態勢が敷かれた。「街から人が消えた。球場と自宅を往復するだけで、買い物も極力行かず、日本から持ち込んだ食料を取りながら過ごした」と落合氏。それでも、各球団は防止策を徹底し、チーム練習を継続できたという。発熱者が出たチームは、PCR検査の結果が出るまで3日間練習を停止するなどの措置が取られ、4月下旬には練習試合も解禁された。

 リーグを統括する韓国野球委員会(KBO)は試合開催のためのマニュアルも作成。審判にはマスクや手袋着用を義務化し、選手らには素手でのハイタッチや握手を自制するよう求めた。球場ではロッカーまでの動線やビジターチームの立ち入り区域も決められている。落合氏は「(2軍でも)細かく指示されるが、選手やスタッフはきちんと従っている。文句の一つも出ていない」と話す。

 ■集中開催、世論の理解

 日本のプロ野球、Jリーグは6月後半の試合実施を目指している。39県での緊急事態宣言の解除は朗報だが、今後、練習環境などで地域差も生じかねない。台湾、韓国から何を学び、どう準備を進めるべきか。

 日本のプロ野球についても造詣の深い雷氏は「日本は台湾と異なり、地方にも素晴らしい球場が多い。春季キャンプで使用している宮崎、沖縄など1つの地域による集中開催をすればいい」と提案。「キャンプ地なら宿泊設備も整っている。長距離移動に伴う感染リスクも減らせる」と理由を説明した。落合氏は「日本と韓国のプロ野球は別物。比べることはできない」とした上で「日本国内の雰囲気が良くならない限り、開幕は難しいと思う」と世論の理解を得る重要性を訴えた。

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