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【鬼筆のスポ魂】開幕日程は議論進むも、選手の年俸削減はこれから…紛糾は必至 植村徹也

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オンラインで行われた記者会見で発言するDeNAの南場智子オーナー=12日
オンラインで行われた記者会見で発言するDeNAの南場智子オーナー=12日

 日本プロ野球のシーズン開幕へのロードマップが完成した。巨人と阪神が推進役となった6月19日開幕案が、11日の12球団代表者会議で「最短開幕日として目指す」として可決された。各球団は開幕に向けて6月2~14日の2週間で3連戦を4回、12試合の練習試合を行う。セ・パ交流戦(5月26日~6月14日=全108試合)とオールスター戦(7月19日、20日)、フレッシュオールスター戦(13日)の中止は決定済みだが、クライマックスシリーズ(CS)は試合数を短縮(ファーストステージ1試合、ファイナルステージ4試合に削減)してでも、開催する考えに変更はない。

 さらに野球協約では「球団が行う年度連盟選手権試合のホーム・ゲームの数は、60試合を最低数とする(つまり、120試合で1シーズン)」という条文があるが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大という緊急事態では「野球協約の精神は尊重するが、さまざまな問題については臨機応変に対応する」ことも12球団で一致。120試合を下回る可能性も現時点では排除していない。

 「巨人と阪神があくまでも6月19日開幕を主張し、セ・リーグの他球団は追随していました。当初は懐疑的だったパ・リーグ6球団も、最終的には最短6・19で歩調を合わせました。12日の臨時オーナー会議でも反対意見はありませんでした」と、ある球団首脳は打ち明けた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で安倍晋三首相が緊急事態宣言を発令し、5月4日には期限を当初の5月6日から31日に延長。14日に39県で解除されたものの北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県は宣言を継続中。この地域には12球団のうち8球団の本拠地が含まれている。事態が収束に向かったとはいえない。

 しかし、日本野球機構(NPB)と12球団の経営者は「一刻も早くファンに野球をお見せしたい」という願いの下、開幕後の無観客試合や、球場の収容人員の20~30%という“超間引き入場”で、密集や密接を防ぐ手立ても温めている。感染症の専門家チームが指摘する「最も危険なのは団体行動での移動時」という助言から、移動の頻度や時間削減の工夫も加えながら、6月19日のシーズンインと最大120試合の消化を目指す。

 日程面は大きな前進を見せた11日の12球団代表者会議と12日の臨時オーナー会議。一方で「全く議論は前進しなかった。オーナー会議の中身はほぼコレについてだったけど、結論はゼロに等しい」と球界関係者が頭を抱えた懸案こそ、選手の参稼報酬、つまり年俸の削減案だ。

 シーズン143試合が120試合となったとしても、23試合減。さらに無観客試合→超間引き入場となると、各球団の収入は破滅的な金額となる。臨時オーナー会議終了後、議長のDeNA・南場智子オーナー(58)は「プロ野球はかつてない危機的な状況。(年俸問題は)現在の状況が苦しいというのは皆さんが共有している。一つの要素として話題には上がった」と語ったが、それ以上の言及を避けた。各球団の赤字が50億円から60億円となる…という強烈な試算の中で、12球団の平均値が30億円台の半ばとみられる選手の年俸をどう削減するのか。プロ野球の統一契約書には不測の事態で減額できる条文は書かれていない。

 ただし、12球団の経営者側からは「選手は給料を一円たりとも減らしたくないだろう。でも、それが原因で会社が倒産したら元も子もない。それぐらいは理解するだろう。近いうちに12球団で、ある程度の解決策を練って選手会と話し合うことになる」という声が聞こえてきた。それがいつで、どのような案となるのか…。紛糾は必至だ。(特別記者)

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