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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】藤浪ら3選手のコロナ感染はいつ、どこで…阪神に求められる組織防衛以上の対応

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18日にオリックスとの練習試合に登板した阪神の藤浪=オセアンBS(甘利慈撮影)
18日にオリックスとの練習試合に登板した阪神の藤浪=オセアンBS(甘利慈撮影)

 “感染パーティー”が原因なら一刻も早く感染源の特定と隔離が必要です。阪神は藤浪晋太郎投手(25)、伊藤隼太外野手(30)、長坂拳弥捕手(25)が新型コロナウイルスに感染したことを27日に発表。14日に大阪市内の「社外人物」宅で、選手7人と社外の人物5人の計12人で行った会食が要因と推測されています。球団は施設の消毒作業を行い、チームの練習も4月1日まで取りやめ。選手らに自宅待機を指示しました。一方で12人の会食が感染場所なら「社外人物5人」の検査が何よりも急がれます。地域への新たな感染拡大を防止するためにも社外人物の特定が喫緊の課題です。

 ■陽性で3選手入院の経緯

 恐れていたことが現実のものとなりました。しかも、その震源地がよりによって阪神タイガースとは…。新型コロナウイルスの球界初の感染者は阪神から出てしまったのです。27日に阪神の揚塩健治球団社長(59)は甲子園球場に隣接する室内練習場で会見。前日の26日に行った藤浪、伊藤隼、長坂のPCR検査の結果を発表しました。その結果は悪夢の「陽性」だったのです。

 「このプロ野球界では初めて感染者が出たことは大変深く重く受け取っております。不安、ご心配をおかけしまして、誠に申し訳ございません」

 沈痛な表情で事実関係を話す球団社長。それに前後して東京都内で行われたセ・リーグの臨時理事会では阪神の谷本修球団副社長兼本部長が「開幕前の大事な時に、感染者を発生させたことをおわびします」と謝罪。球団の判断で最低1週間の活動を休止したことを明らかにしました。

 3選手の症状を時系列で追うと、まず長坂が3月18日に発熱し、風邪の診断を受けました。その後、球団寮で療養。21日になると藤浪が嗅覚の異変に気付き、翌日には伊藤隼も同じ症状を訴えました。藤浪は2つの病院で診察を受けた結果、新型コロナウイルスの感染者が嗅覚異常を訴えている症例があることからPCR検査を勧められ伊藤隼、長坂とともに検査を受けたのです。そして3人とも「陽性」の診断を受けて、入院しました。

 阪神球団は藤浪と伊藤隼は通常の練習に参加していて、長坂も24日には2軍の練習に復帰していたことから、甲子園球場や鳴尾浜、球団寮や球団事務所などの消毒作業を行い、4月1日まで練習を取りやめ。選手や全スタッフに自宅待機を指示しました。今のところ他の選手や球団関係者から発熱やせきなどの症状を訴える人はいないようですが、われわれ、報道陣も“濃厚接触者”と会社から見なされ、自宅待機を指示された記者も多くいますね。

 ■地元の人たちに感染広げないために

 さて、ここからが問題なのですが、球団が組織防衛に全力を傾注するのは当然です。27日のセ・リーグ臨時理事会でも4月24日のシーズン開幕方針は不変であることが確認されました。4月3日にはJリーグとの第5回の「新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、その後の12球団代表者会議で開幕日を再協議する方向ですが、現時点で「4・24」は動いていません。そうした球界全体の流れに悪影響を及ぼさないためにも、阪神でこれ以上の感染者を出すわけにはいかない…という球団幹部の危機感は当然でしょうね。

 一方で阪神タイガースはプロ野球界、特に関西地区での影響力が強い人気球団です。そうした公益性から見ても、地元の人たちにこれ以上の感染を拡大させないための施策を早急に打たなければなりません。3選手の感染経路の究明に全力を傾けなければならないはずです。決して身内の組織防衛だけで球団の責務を果たしている…と考えてはなりません。こうした観点は揚塩球団社長や谷本副社長も共有しているはずです。

 藤浪ら3選手のここ2週間程度の行動を振り返ると、やはり注目すべきは14日に大阪市内の「社外人物」宅で開かれた会食です。藤浪ら阪神からは7選手が参加し、「社外」からは5人の計12人の会食ですね。

 揚塩球団社長も着目していて「(14日の会食を感染源と)確定していない。限定もしていない。しかし、この2週間の行動をヒアリングし、複数人の会食に3人も入っているので重点的に調べている。保健所の指導の下で行動履歴を提出した。感染経路を確定し、今後の対策をしていきたい」と話しています。

 球団側は保健所の指導の下で、3選手が会食した「社外の5人」は誰なのか、今はどこで、何をしているのか?を症状の出ていない4選手を含めて7選手から聞いているはずです。

 藤浪はPCR検査が陽性と判定された後、球団側との話し合いの中で、実名の公表を自ら申し出たそうです。自らが社会に影響力が強いタイガースの選手である、という自覚の表れでもあるでしょう。藤浪とオフの自主トレをともにするなど親交のある米大リーグ・カブスのダルビッシュ有は自身のツイッターで「嗅覚がおかしいってだけで名乗り出た藤浪選手はすごいと思う。情報収集している証拠やし、自分の身体に敏感な証拠。関係者の感染リスクもかなり抑えられたはず」とつぶやき、絶賛しました。

 ■「社外の人物」も含めて特定を

 なるほどその通りなのですが、個人的には「実名公表」の理由はもうひとつあるのではないか?と推測しています。つまり14日の会食で同席した5人の「社外人物」に対する警鐘です。あの会食が“感染パーティー”だったのかも…と相手側に伝える最高にして最強のメッセージだったのでは?という見方です。

 ところが、球団関係者に取材しても、7選手からのヒアリングでは「社外人物」の特定に至っていない、という情報もあります。どうしてなのでしょう。27日現在で日本の新型コロナウイルス感染者数は1403人(クルーズ船除く)です。そのうち大阪は156人、兵庫県は121人です。藤浪らと会食した5人のうち、誰かがもう感染者にカウントされているのでしょうか。もし、まだ感染者数に入っていないのであれば、その“感染源”は今現在も自身は発症せず、どこかで行動しているのかもしれませんね。誰がどう見ても看過できない状況でしょう。

 以上はあくまでも藤浪ら3選手の感染が14日の会食の場ではないか?という推測の上で書きつづっています。そうでないならば、彼ら3人は違うどこかで感染したことになりますが、果たしてそれはどこなのでしょうか。阪神球団は組織防衛だけではなく、一刻も早く感染源を特定し、地域への新たな感染の防止を急ぐ必要があります。「社外人物」のABCDEはどこの誰? 濃厚接触していたとすれば、後の4選手の体調も厳重に監視しておかなければならないでしょう。そして、人物がいつまでも特定できなければ謎は謎を呼び、余波や雑音はすさまじいことになるかもしれませんね。

     ◇

 【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや)

 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日午後9時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日の虎コーナー』や土曜日午後7時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳!」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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