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【鬼筆のスポ魂】再開迎えるプロ野球の観戦マナーが五輪の追い風に 植村徹也

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「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第4回会議を終え、記者会見するプロ野球の斉藤惇コミッショナー(手前)ら=23日午前、東京都港区
「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第4回会議を終え、記者会見するプロ野球の斉藤惇コミッショナー(手前)ら=23日午前、東京都港区

 開幕延期を決めた騒動の中で日本プロ野球界の首脳が改めて実感したのは、日本の健康管理制度の素晴らしさや生活習慣の清潔さだ。そして迎えるプロ野球開幕日(4月24日予定)は世界中に日本人の礼儀正しさや素晴らしさを発信できる格好のチャンスとみている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、プロ野球は3月20日の開幕日を延期。23日に行われたJリーグとの「第4回新型コロナウイルス対策連絡会議」での専門家チームの提言を受け、12球団代表者会議で「シーズン開幕は最短で4月24日とする」ことを決めた。

 都合4回開かれた連絡会議で、専門家チームの現状認識などをヒアリングした球界首脳の口から出てきた言葉は「やはり日本は素晴らしい国」という感想だった。

 中国・武漢で発生した新型コロナウイルスは今や世界に蔓延(まんえん)し、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「パンデミック(世界的な大流行)が加速している」と会見で話した。世界の感染者は40万人に迫った。中国の8万1千人に続き、イタリアなどの欧州や米国では感染拡大の速度が上がっている。こうした状況下、日本では国内感染者数は1192人でクルーズ船の乗船者などを含めても1918人(いずれも24日現在)と比較的、感染拡大を抑えられている。

 まだまだ安心はできない状況とはいえ、なぜ日本では患者数を抑制できているのか。あくまでも専門家チームの説明を聞いた球界幹部の感想だが、「日本の昔からある健康保険制度や生活習慣がいいからだ…とつくづく思った」と話した。大きく分けて理由は5つ。

 (1)日本は国民皆保険制度で、誰もが気安く病院に行ける。なので重篤化を防げる

 (2)日本人は土足で家に上がらず、靴を玄関で脱ぐので家の中が比較的、清潔を保てる

 (3)人と話すときにオーバーアクションではなく、挨拶も大抵はお辞儀をするだけ。欧米のようにハグや握手、頬を合わせるようなことはしない

 (4)食事には大抵は箸を使う。直接的に食べ物を手で持つ頻度が低い

 (5)日本人は毎日のようにお風呂にお湯をためて体をひたす。体をきれいに洗っていて清潔

 これらの制度や生活習慣は新型コロナウイルス対策のために始まったことではなく、もう昔から日本人がなじんでいることばかりだ。5つの理由を遂行するために新たな出費もいらず、気分的な抑制感もない。日本の制度や習慣が新型コロナウイルスの感染拡大を比較的抑え込んでいる理由…と感じたようだ。医学的な根拠はないが、聞いてみるとうなずける。

 そして、来る4月24日、プロ野球のシーズン開幕が実現すれば、日本のみならず世界にその様子が発信される。東京五輪を最長で1年程度延期した日本でプロスポーツが開幕した…と。世界の人々はプレーよりも周辺状況に興味を持つはずだ。玄関口のサーモメーターによる検温やマスクの着用、そして何より注目されるのは観戦姿勢だろう。

 「さすが日本人はマナーが素晴らしい。整然と野球を見ている、と世界から評価を受けたい」と球界首脳は言う。それが延期の決まった東京五輪への追い風となるという。ピンチはチャンス。世界的な大混乱の中でもひるまず日本の良さを発信したいものだ。(特別記者)

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