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【鬼筆のスポ魂】阪神の外国人、今年はいけるかも…競争心が好循環生む 植村徹也

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シート打撃で本塁打を放つ阪神のボーア(松永渉平撮影)
シート打撃で本塁打を放つ阪神のボーア(松永渉平撮影)

 球団史上初の外国人8人制はお互いの競争意識を刺激し、かつてない空気を生んでいる。阪神の1軍春季キャンプは沖縄の「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」で1日にスタート。8日に第2クール2日目を迎えた。15年ぶりのリーグ優勝を目指す矢野燿大(あきひろ)監督(51)は投手23人、捕手4人、内野手10人、外野手7人の総勢44人という大所帯を1軍メンバーに選び、互いの競争意識をあおっているが、中でもヒートアップした空気を感じるのは外国人勢だ。

 新外国人選手5人は全て1軍メンバー。投手ではエドワーズ、ガンケルにスアレス。野手ではボーアにサンズ。昨季も在籍していた投手のガルシアに野手のマルテも1軍(呂は2軍スタート)で、現状では7人の新旧外国人が1軍枠4人(投手か野手のどちらかは3人まで)をめぐって火花を散らしている。

 メジャー92発の実績を持つボーアは、初日のフリー打撃で左翼方向に3連発2度を含む14本の柵越えを放ち、5日のシート打撃では伊藤の外角甘めの直球を左中間にほうり込んだ。「調子がいいときは、来た球を素直に打ち返せている。素直にバットが出て、打球が飛んだということ」と本人は涼しい顔だったが、矢野監督は「ああいうふうに打つと(相手)バッテリーはすごく苦しくなる」とニンマリだった。

 ボーアはフリー打撃の際に、打撃投手に投げてくるコースを指示。まず外角球を要求し、それを左方向に素直に打ち返し、そこから内角を引っ張る。打撃投手たちを「あそこまで細かくコースを要求する外国人は初めて」と驚かせていた。

 メジャー経験のないガンケルは5日のフリー打撃に打撃投手として登板すると、スリークオーターから内外角に動くボールを駆使。矢野監督は「これは使える。打ちにくい」と絶賛した。登板後にガンケルは捕手の坂本を呼び寄せ、ミットの構え方を細かく指示。ボーアもガンケルも日本球界をリスペクトし、自分自身の最高のパフォーマンスが発揮できるように繊細な心配りをグラウンドで見せている。

 一方、昨季から在籍しているマルテの形相はすごい。第1クールでは連日の志願の早出特守。首脳陣を驚かせた。ティー打撃では自分でボールを拾いながら、ひとりで黙々と打ち込んでいる。「来日1年目の昨季のキャンプとは、まるで別人。ボーアやサンズに対するライバル意識はすごい」と球団関係者は話していた。

 ここ数年、外国人選手の成績不振が続き、阪神球団は新外国人をこれでもか!と獲得した。その結果が球団史上初の8人制となったわけだが、第1クールを見る限りでは、お互いがライバル意識を隠さず、かつてない空気を醸し出している。

 ボーアの年俸は2億7000万円。ガルシアは1億6500万円、マルテが1億4000万円、サンズが1億2000万円(金額は全て推定)。8人の総額は10億円を超える。これで今季も失敗なら「どうすりゃいいのさ思案橋」だが、現状ではキャンプに活気を呼ぶ原動力となり、ネット裏に集結する他球団のスコアラーの顔が徐々に険しくなってきた。

 ただし、昨季まで失敗続きの球団幹部の表情はみんな硬い。「またシーズンでダメなら何を言われるか分からない」と一応に口をつぐんでいるのだ。そのけなげな姿が少しだけかわいい…。(特別記者)

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