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イチローさんが資格回復研修会を受講 依然残るプロアマの壁

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学生野球資格回復の研修会に参加したイチローさん(土谷創造撮影)
学生野球資格回復の研修会に参加したイチローさん(土谷創造撮影)

 プロ野球経験者が学生野球の指導者になるための資格回復研修会が2019年12月中旬、東京都内で3日間にわたって行われ、オリックスや米大リーグ、マリナーズなどで活躍したイチローさん(46)=本名・鈴木一朗=が受講した。20年2月7日の日本学生野球協会の審査に通れば、資格回復が認められる。球団在籍中は資格回復が認められていないが、イチローさんの場合、球団の活動をしない時期限定で特例的に指導することが認められる方向だ。とはいえ、プロアマの壁は厳然と残っている。

 研修内容はすべて座学。12月13日に行われたプロ側の研修では、プロアマの関係の歴史や新人獲得のルール、指導者の役割などを学んだ。同14、15日の2日間で行われたアマ側の研修は、部活動の位置づけや教育的配慮などの講習を受け、最後にリポートを提出した。受講者によると、イチローさんは熱心にメモを取っていたという。22日に愛知県豊山町で行われた「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に姿を見せたイチローさんは「違う場所で会うことができるかもしれない。みんな野球を続けてほしい」と話すなど、指導への意欲を見せた。

 19年3月に現役を引退したイチローさんは現在、会長付特別補佐兼インストラクターとしてマリナーズに所属している。球団在籍中は資格回復が認められていないが、スカウト活動をしていないことやこれまでの実績などを考慮。球団の活動をしないシーズンオフに限り特例的に認められる見通しとなった。毎年、球団の活動をしない期間を届け出る。

 日本高野連の田名部和裕理事は、イチローさんが提出したリポートに「プロとアマの関係をよりよいものにする役に立ちたい」との趣旨の内容が記載されていたことを明かし、「イチローさんは世界の宝。いろいろな立場で日本の学生野球指導のためにお手伝いをいただくというのは大変うれしい」と特例的に認める理由を語った。

 資格回復の研修会は13年から開始された。それまで、高校野球の指導者になるには、教員免許取得と教諭や臨時講師としての2年以上の実務経験が必要だった。大学野球でも、プロ退団後2年が経過しなければ、監督やコーチに就任できなかった。

 資格回復研修制度の導入により、強引なスカウト活動などが原因で1961年以降、断絶状態にあったプロアマの関係が大きく改善されたのは間違いない。

 ただ、指導者への道は短縮されたものの、プロアマの壁は依然として残っている。資格回復をしなければ、元プロが母校の後輩にアドバイスを送ることはできない。高校球児の自分の息子も例外ではなく、キャッチボールすらできない状況にある。

 今回、研修を受けた元広島の前田智徳さんもその一人。高校1年生の次男が野球部に所属しており「保護者として気兼ねなく、(息子のいる)グラウンドに足を運びたいという思いがあった」と受講の動機を語った。

 野球界に偉大な功績を残したイチローさんでさえも、研修を受けて資格を回復しなければならず、指導できる時期も限定される。プロアマ問題の歴史は重いが、イチローさんの今回の受講を機に、さらなる“雪解け”が進むことを期待したい。(運動部 神田さやか)

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