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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】越年「鳥谷」の選択肢は2つ…引退かメジャー、迫られる決断

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阪神を退団した鳥谷敬。来季の所属先決定は「越年」することになった(撮影・宮沢宗士郎)
阪神を退団した鳥谷敬。来季の所属先決定は「越年」することになった(撮影・宮沢宗士郎)

 鳥谷は現役引退の重大危機を迎え、そこにある選択肢は2つです。16シーズンを過ごした阪神を退団し、国内の他球団でプレー続行を目指した鳥谷敬内野手(38)の移籍先が2019年の年内には決まりませんでした。ある球界首脳は「もう国内12球団の編成作業は終了している。扉は閉まったのでこの先、国内での移籍先はないだろう」と衝撃発言を漏らしました。となれば、年明けの20年1月中に鳥谷は自身の進路を決断しなければなりません。(1)現役引退(2)米メジャーリーグ挑戦-。目の前にある選択肢は2つなのですが、果たして結論は…。ハッピーニューイヤーに、果たして救世主は出現しますかね。

鳥谷のトリの字も

 日本のプロ野球の球団事務所は26日から27日にかけて仕事納めでした。つまり19年の年内の業務を全て終了したということです。それは同時に移籍先を探す鳥谷の進路決定が越年したという事実を指します。

 一時は同じエージェントと契約しているロッテの井口監督が“救いの手”を差し伸べるからロッテが有力だ…とか、大和がフリーエージェント(FA)移籍したDeNAが獲得し、元虎戦士の二遊間を形成するのでは…とか、球界内ではさまざまな噂話が独り歩きしましたね。しかし、ロッテはFA補強でソフトバンクの福田や楽天の美馬を獲得するなどオフの主役でしたが、鳥谷のトリの字も表面には出てきませんでした。DeNAも動きはなく、海外FAで秋山がメジャーに移籍する西武も鳥谷へのアプローチは皆無でした。阪神を自由契約になった森越を獲得した段階で、西武移籍の可能性は消滅したのかもしれませんね。

 そして、年の瀬を迎えて、ある球界首脳は衝撃的な発言を漏らしたのです。

 「私の知る限り、国内12球団の編成作業はほとんど終了している。新外国人獲得の動きがあるかもしれないが、国内の移籍市場は完全に終了したと聞いている。つまり国内球団の扉は全て閉まってしまったとみている。鳥谷? もう国内は絶望的だろうね」

 なんと鳥谷の望む国内の他球団でのプレー続行は断崖絶壁の状況に追い込まれたというのです。鳥谷はあくまでも現役続行を目指し、越年しても他球団からのオファーを待つ姿勢ですが、その結末はむなしいものに終わりそうだ…と言うのです。

獲得側のボーダーライン

 このコラムでは、鳥谷側のエージェントが国内移籍に際して、(1)2年契約(2)1シーズン80試合以上の出場-を移籍条件として11球団に出している、と書きました(11月10日アップ『鳥谷が提示する強気な2つの条件 売り手市場でDeNA、広島、西武、ロッテなどが調査』)。

 「随分、強気な話だなぁ」という声も周囲から聞こえてきましたが、実はこの条件は獲得する側の「取るなら大事に扱って使わないといけない」という“逆説的”な話でもありました。阪神の生え抜きのスター選手で、通算2085安打を記録するなど実績のある鳥谷と契約する以上、“マイナー契約”はあり得ません。取った以上は1軍で相当数の試合に起用しなければ、逆に阪神ファンを中心とする鳥谷ファンから批判が渦巻きます。さらに1年でポイッと解雇するわけにもいかないので、“逆説的”に2年契約、年間80試合以上の1軍出場…という獲得する側のボーダーラインが生まれるのです。

 年内に契約する球団が現れず、今後も厳しい状況という舞台裏にはそれだけ他球団が鳥谷の実績を認め、周囲への影響力を認め、軽く扱えない選手だ-と認識しているからこそ手を出せない背景があります。

 そして、越年しても移籍先が決まらないだろう…鳥谷の目の前には2つの選択肢があります。

 (1)潔く現役引退

 (2)メジャーの春季キャンプに参加し、その後はマイナー契約でメジャーリーガーを目指す

 (1)の選択はいつでもできます。自身がいくら体や能力に自信があっても、客観的な評価とのギャップがあるならば仕方ない結末です。これまで多くの名選手たちが同じ道を歩んできたのです。物事には始まりがあれば必ず終わりがあります。どんな人生にも…。それを受け入れるか否か…。鳥谷自身が深く考えることでしょう。

得がたい経験積むか

 (2)は鳥谷が目指してきた国内プロ野球での現役続行ではありませんが、将来的な野球人生には大いにプラスになるでしょう。メジャー30球団のどこかで春季キャンプに参加します。日本のプロ野球と違い、大リーグの年俸支払期間はシーズン開幕日から162試合のシーズン終了までです。なので春季キャンプに鳥谷が参加しても、メジャーの球団は年俸などは支払う義務がありません。多少のお手当と弁当代が出るだけなので、鳥谷が「参加したい」となれば門戸を開く球団はありますね。

 そして、キャンプ地では約50人前後がメジャーを目指して競争するのですが、そこで開幕メジャーに生き残れなくても希望は捨てなくていいのです。マイナー契約をしておけば、メジャーのチーム成績次第では大物の中心選手がFAやトレードで出ていき、シーズン途中に穴埋め的にメジャー昇格の道が自然と開けてきます。過去には巨人を退団した桑田真澄がパイレーツに入団しそんな経過をたどったことがありますね。覚えていますか? そうなれば立派なメジャーリーガーとして現役最後の花道を飾れます。

 なにより、メジャーの春季キャンプやマイナーリーグでのプレーが見識をさらに広めてくれ、指導者の道を歩む際の新たな“引き出し”になるでしょう。“阪神村”で解説者をしていては得られない経験を積めますね。ピンチをチャンスに変える選択になるような気がしますが、どうでしょうかね…。

 04年のルーキーイヤーから16シーズンを過ごした阪神を最後は何らセレモニーもなく退団してしまいましたね。11月末日で阪神を退団して以降、チーム内や球団周辺で「鳥谷」の名前を聞くことはほとんどありません。球界の流れの速さを改めて知る思いです。ハッピーニューイヤーの20年冒頭にどこかの球団が救世主のように現れて契約を締結することを今は祈るばかりですが、球界首脳の厳しい言葉が耳の奥に残って消えません。

 さて、19年の鬼筆のトラ漫遊記は今回が最終章です。毎週、相当ガンバッテ書きました。もうヘトヘトです(笑)。ご愛読いただきありがとうございました。

 20年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される日本のスポーツ界にとっては大きな節目の年ですね。でもね、私は朝から晩まで、365日、寝ても覚めても阪神タイガースです。球団関係者は相当嫌でしょうが…。来年も鬼筆らしく根掘り葉掘り書きますからご期待ください。年始めは1月12日アップからスタートします。皆の衆よろしくお願い奉ります~。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや)

 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日午後9時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日の虎コーナー』や土曜日午後7時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳!」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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