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スポーツ界「自立」とはほど遠く 竹田恒和氏はいつしか「裸の王様」に

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記者団の質問に応じる竹田恒和会長(中央)=19日午後、東京都渋谷区(三尾郁恵撮影)
記者団の質問に応じる竹田恒和会長(中央)=19日午後、東京都渋谷区(三尾郁恵撮影)
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 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が19日、退任を表明した。2020年東京五輪の招致疑惑で正式にフランス司法当局の捜査対象となり、開幕まで500日を切った大会のイメージ低下を懸念する声が国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ、大会関係者からも高まったことで、既定路線だった会長職を続けられなくなった格好だ。ただ、18年以上にわたってJOC会長を務めてきた竹田氏がここまで追い込まれた裏には、「自立」とは名ばかりのJOC、ひいてはスポーツ界全体が抱える問題も見え隠れする。

 JOCは1989年、日本体育協会(現日本スポーツ協会)から独立し設立された。国の圧力に屈した形で出場をボイコットした80年モスクワ五輪の経験がきっかけだった。あれから30年。東京五輪開催を控え、日本スポーツ界は自立どころか、国への依存を強めている。国の選手強化費は19年度、初めて100億円を突破。JOCもマーケティング活動に力を入るが、自主財源で運営する米国オリンピック委員会とは対照的に、国の支援なしでは選手強化もままならないのが実情だ。

 あるスポーツ関係者は「竹田さんはよくも悪くも何もしない人」と語る。昨年、続出した国内競技団体(NF)の不祥事でも、統括団体であるJOCは事態収拾へ主体的に動こうとしなかった。NFが守るべき規範としてスポーツ庁が策定を進める「ガバナンスコード」にしても、「官主導で作らざるを得ない状況を招いたのはスポーツ界自身だ」(政府関係者)。一部では国との結びつきが強い日本スポーツ協会との再統合までささやかれ、新たなトップには現役政治家の名まで挙がる。

 東京五輪の関係者は「竹田さんは悪い人ではないが、何かあったときに対応できない」と指摘する。仏当局の正式捜査開始を受け開かれたわずか7分間の釈明会見はその最たるものだった。これを機に加速した退任論は「国が見放した」との見方もある。置かれた状況を直視しないまま、続投を前提に定年延長議論を続けたJOCと竹田会長は、気がつけば「裸の王様」となっていた。

 東京五輪が終われば、ここ数年のスポーツ界への追い風は弱まるのは間違いない。次期会長に求められるのは「五輪後のスポーツ界をこうしたい」という明確な設計図と実行力。その先に、いまだ果たせぬ「自立」がある。

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