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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】筒香の打法改造

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雨の中、ロングティーで打ち込むDeNA・筒香嘉智=沖縄・宜野湾(撮影・斎藤浩一)
雨の中、ロングティーで打ち込むDeNA・筒香嘉智=沖縄・宜野湾(撮影・斎藤浩一)

 ノーステップ打法に取り組むプロ野球DeNA・筒香嘉智外野手(27)の視線の先にはどんな風景が広がっているのだろう。DeNAの沖縄・宜野湾春季キャンプはきょう19日から第4クールに突入。注目の的は主砲、筒香の打法改造だ。

 「順調に来ています。焦らず、どっしりやりたい。(打法は)トレーニングによって体が変化したことで、自然とこういう形になりました」

 昨季と比べて腰の位置が低くなり、バットは少しだけ寝かせ気味。そこからノーステップでスイングする。見守るラミレス監督は「重心が低くなったことでレベルスイングになり、よりパワーアップする。技術による柵越えも増えた。これなら40本塁打も可能」と目を細めていた。

 筒香は昨季139試合に出場し、打率2割9分5厘、38本塁打、89打点と及第点の成績を残したが、対阪神戦の成績は打率2割2分6厘、特に甲子園球場では打率1割8分2厘。対広島戦も通算では打率2割8分6厘だが、敵地のマツダスタジアムでは2割1分7厘。 ラミレス監督は主砲に対して「甲子園とマツダで打てない。そこを改善してほしい」と求めていた。

 また、昨季の3・4月の打率は2割4分1厘とシーズンの月別で一番悪かった。開幕ダッシュを目指すチームにとっては主砲の出足が鈍いのは致命的となる。就任4年目で勝負をかけるラミレス監督が筒香に苦手の克服を要求するのは当然だろう。

 監督の期待を背に「今年こそ優勝したいです」と語る筒香。ノーステップ打法に取り組むのも、意気込みの表れと理解すればいいのかもしれない。しかし、打法改造についてはさまざまな声がある。球界関係者はこう話す。

 「筒香のノーステップ打法は米国の大リーグ移籍への準備でしょう。今の大リーグの打者はノーステップ全盛です。仮に近い将来、大リーグに移籍したいと思うならノーステップに変えるはず」

 なぜ大リーグでノーステップ打法が盛んなのか。多くの投手が投げる球種は100マイル(約160キロ)前後の直球と、ほとんど球速が変わらないカットボールやスプリット。どの球も打者付近まで来るタイミングに大きな差がなく、打者からすれば同じミートポイントでさばくことができるため、バットを振る際に踏み出す足もステップしないわけだ。

 日本の投手の場合は、直球と変化球で球速の差が大きく、ノーステップではタイミングが崩れる。昨季、阪神のロサリオはノーステップ打法で開幕を迎えたが、投球の緩急に全くついて行けなかった。

 筒香は昨年オフの契約更改で年俸4億円に昇給した際、「将来はメジャー(大リーグ)に行きたい」と話した。フリーエージェント(FA)権を取得するまで待つのか、今オフのポスティングシステム(入札制度)になるのかはわからないが、将来的な進路の希望とノーステップ打法への改造は深く関係しているかもしれない。

 果たして今季、日本のプロ野球でノーステップ打法に切り替えても、開幕からラミレス監督の期待通りに成績を残せるか。「DeNAにすれば、4億円の打者に1シーズンを準備期間に充てられるのは困るでしょうね」。そんな球界関係者の辛辣(しんらつ)な言葉をはね返すには、バットで満点の答えを出すしかない。(特別記者 植村徹也)

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