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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本チルドレンに熱視線!

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選手らと話す阪神・矢野監督(中央)。高山(右)や北絛(左)らの覚醒がチーム躍進の鍵となる=1日、沖縄県宜野座村(森本幸一撮影)
選手らと話す阪神・矢野監督(中央)。高山(右)や北絛(左)らの覚醒がチーム躍進の鍵となる=1日、沖縄県宜野座村(森本幸一撮影)

 阪神が躍進する最大の鍵は“金本チルドレン”が不動の中心軸に座れるかどうか。これが春季キャンプ第1クールを取材した感想です。矢野燿大(あきひろ)新監督(50)率いる阪神は、2月1日から沖縄の「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」でキャンプをスタート。1軍メンバーは投手22人、捕手4人、内野手9人、外野手8人の計43選手という大所帯ですね。激しいポジション争いを“演出”したものですが、中でも金本前監督が厳しく鍛えていた“チルドレン”の動向に視線が向かいます。彼らが成長しないと虎の上位躍進はあり得ないと痛感するからですね。

 ■1軍に43選手、熾烈(しれつ)な争い

 いよいよ春季キャンプがスタートしました。矢野新監督が誕生して初めて迎える春季キャンプですからね。どんなチームをつくるのか、選手たちは新体制の中でどんな気持ちで臨むのか。注目すべきポイントはあちらこちらにあります。

 「勝つことと優勝を狙うことは当たり前ですけど、キャンプの目標としてはどんどん競争してもらって、俺が出てやるっていうね。そういうような気持ちでみんながやってくれれば。可能性を大きく持った選手が本当に多いので、僕は本当に楽しみで仕方ない思いですけど、キャンプが終わっても楽しみが増えているようなキャンプをやっていきたい」

 矢野新監督はキャンプ直前、抱負を語っていました。「どんどん競争してもらって…」と話した通り、1軍は総勢43選手という大所帯になりました。特に、投手は想定される1軍出場選手登録13選手に対し、22人を1軍に。捕手4人、内野手9人、外野手8人全ての部門で多めに“抱えて”います。当然ながら、ここから1軍枠生き残りをかけた厳しい戦いがスタートしているわけで、大所帯は競争の激化を想定したものです。矢野新監督は口調こそ穏やかですが、心の中に秘めた厳しさをこうした形で選手サイドに示していると思われますね。

 ■新旧交代の端境期

 そして、キャンプ第1クールを見た率直な感想はコレです。

 『金本チルドレンがチームの中心軸に座れるならチームは躍進。今季も伸び悩むならチームは極めて苦しい』

 どうしてそう思ったのか…ですが、改めて43選手の競争を見ていて、大いに感じたことはチームそのものが新旧交代の“端境期”に来ているということです。逆に表現するならば今季こそ若手たちがベテラン勢を追い越し、中心軸に座らなければチームは沈滞ムードに包まれ、上位進出もあり得ない…という思いなのです。

 特に野手陣はこれまでチームを牽引(けんいん)してきた福留、糸井、鳥谷がそれぞれ年齢的にも伸びシロのない時期を迎えました。今季もこれまで通りに福留や糸井らが不動のレギュラーで出場するということは、同じポジションの若手から中堅が結果を出せず、ベテランの後塵(こうじん)を拝している、という結果を意味しますね。これではチーム全体の競争力も失われ、戦力の幅も狭まれて、Aクラス進出さえおぼつかないでしょう。

 「確かにそうだろう。野手で言うなら大山、北條、高山、中谷らがもっと自身のレベルを上げてベテランを追い抜かないといけない。それが金本前監督の望んでいたことでもある。前監督は3年をかけて達成できなかったんだが、本人たちはそろそろ結果を出してレギュラーポジションを奪わないといけない。いつまでも福留や糸井らに頼るチーム構成では上位への躍進も期待できない」

 これは阪神OBの言葉ですが、第1クールを見ていて痛感したことでもありますね。

 昨季の最下位の責任をとって監督を退任した金本前監督はユニホームを脱いでからも「自分が育てた選手たちが気になって仕方ない」と話していますが、気になって仕方ないのは阪神を取り巻く周囲の関係者も同じだといえます。

 ■金本チルドレンの覚醒に期待

 矢野新監督は就任後に「脱金本」ではなく「続金本」である-と強い口調で話していましたね。グラウンドで見せる姿勢や選手に対する表面的な態度は金本前監督のような硬派ではありません。グラウンドに流れる雰囲気も前体制とは大きく異なっています。そうしたムードからは「脱金本」をイメージするのですが、それでも「続金本路線」と言い続ける真相は、“金本チルドレン”の覚醒がなければチームは躍進しないという現実を早くから察知していたからなのでしょう。

 「福留や糸井は今年も元気だし、昨年並みの成績は残せるはずだ。鳥谷も遊撃復帰を目指して懸命なキャンプを送っている。彼らが衰えたわけではない。しかし、彼らだけが中心軸で戦うとなると昨季とほぼ戦力的には同じか、落ちる。今季は大山、高山らがベテランを追い抜き、新旧の争いでチームに活気を呼び込むことが大事になる。それができないなら、チームの競争力も失い、躍進などできないだろう」

 阪神OBはそう語りました。

 野手陣に限った話ではありません。ガルシアや西を補強した投手陣にも当てはまりますね。昨季と同じようにメッセンジャーだけが計算できる布陣では上積みはないのです。この3年間は低迷した藤浪に小野や才木、望月ら若手が昨季までの順列を変えてこそ、チームは活性化するはずです。

 「楽しみにしているポジションはいっぱいありますよ。ショートもね、セカンドも、センターも先発ピッチャーも。(福留)孝介と(糸井)嘉男、(藤川)球児、能見とか、鳥谷もね。実績のある選手はね、もちろん出る可能性は高いと思うんですけど、でも、すべてのポジションでの争いになると思うんで。その競争というのを僕は楽しみにしています」

 これはキャンプ直前の矢野新監督の言葉です。オブラートには包んでいますが、新監督も若手から中堅が奮起し、ベテラン勢を追い抜くことでチームを変えていきたい…という思いを胸に秘めていることがわかります。そして、キャンプ第1クールを見れば見るほど、監督の思いが実現しなければ最下位からの巻き返しは相当に厳しい、と痛感するのです。

 大山や高山、中谷、江越、北條らがこれからのキャンプでどのような進化を見せるのか。それは矢野新監督の願望とどれほどのギャップなのか。キャンプ中盤から終盤を楽しみに、そして心配しながら見ていきたいと思いますね。

    ◇

 【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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