東京オリンピックまであと

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Go For TOKYO 文田健一郎 レスリング男子

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東京五輪
レスリング男子
グレコローマン60㌔級

ふみた けんいちろう

文田健一郎

クラッチ
豪快
逆さづり

がっちり組んだ両手で固定してしまえば、相手はもはや宙に舞うしかない。2019年秋にカザフスタンで行われたレスリングの世界選手権。男子グレコローマンスタイル60㌔級の文田健一郎(ミキハウス)は決勝で豪快に「反り投げ」を決めて2年ぶりの優勝を飾った。代名詞でもある得意技は、1年延期になった東京五輪でも絶対的な「軸」となる。

文田健一郎
ふみた・けんいちろう

1995年12月18日生まれ。山梨県出身。ミキハウス所属、168㌢。グレコローマン60㌔級 東京五輪代表内定。

幼少期にマット運動で培った柔軟性の高さから、「猫レスラー」の異名を持つ。大の猫好きでもあり、猫カフェにも通う。

王者の隙突き
逆転優勝

世界選手権決勝。セルゲイ・エメリン(ロシア)に対して試合前半は0―5とリードを許したが、互いの胸が合わさった瞬間を逃さなかった。前年王者に反り投げを決めて豪快に4点を獲得。さらにグラウンド(寝技)のローリングで相手をぐるっと回して2点を加えた後、ブリッジのような体勢から投げを見舞った。10―5。見事な逆転劇だった。

レスリング世界選手権 男子グレコローマン60㌔級決勝
=2019年9月、カザフスタン・ヌルスルタン

背骨柔らかい
猫レスラー

下半身へのタックルが許されるフリースタイルとは違い、攻防が上半身だけに限られたグレコローマン。「猫レスラー」と形容されるほど背骨が柔らかい文田は、中学3年から本格的に反り投げの練習に取り組んだ。

指導したのは元選手の父、敏郎さん。文田がその後進学する山梨県立韮崎(にらさき)工高でレスリング部監督を務める敏郎さんは「背骨が柔らかく、後ろに反り返るのを怖がらない。だから、はまった。高校のデビュー戦から面白いようにかかっていた」と得意技の〝原点〟を懐かしむ。

ルールと競技スタイル

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柔軟性を
生かした大技

反り投げ

技の成否を握るのは、両腕で相手を抱きかかえる「クラッチ」だ。文田は「クラッチを組んだ瞬間にいけるかどうか分かる」という。勝負と覚悟を決めれば、支点となる足の位置を決め、ブリッジのように抱え上げる。背中が柔らかい文田のブリッジは角度が深く、相手はあらがえないまま逆さづりに近い体勢となり、マットに落ちる。あらがうことすら許さない必殺技なのだ。

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海外勢の警戒
寝技に勝機

一時はスランプに陥った。2017年に最初の世界王者となった後は海外勢に研究された。「クラッチに持ち込めないよう胸を合わせてもらえなくなった」。技の引き出しを増やすことを選択。世界選手権では「反り投げ」だけに頼らず、新たな武器としてグラウンドでの攻防に勝機を見いだした。

イラン選手との準決勝では4回連続でローリングを決めて圧勝。「グレコは投げてなんぼ」という敏郎さんの教えを是とする文田だが、「反り投げを警戒されるのは想定済みで、そこからいかにポイントを取るかずっとやってきた」。世界の猛者に新たな一面を見せつけた。

レスリング世界選手権 男子グレコローマン60㌔級準決勝
=2019年9月、カザフスタン・ヌルスルタン

世界選手権後、文田は言っていた。「今できることは出し切った。また一から、何が足りないかを考えて伸ばしたい」。現状に満足することなく、絶対的な反り投げを武器により強くなることを誓っていた。1年延期になった東京五輪。レスリングは練習でも相手との濃厚接触が生まれやすく、練習環境は十分ではない。そんな苦境をどう乗り越えるか。試練の先に栄光は待っている。

途切れぬメダル
日本のお家芸

日本レスリング界では近年、吉田沙保里や伊調馨(ALSOK)ら女子の活躍が目覚ましいが、男子も1952年ヘルシンキ五輪から16大会連続でメダル(日本が不参加だった80年モスクワ五輪を除く)を獲得し、伝統をつないできた。

64年東京五輪では金メダル5個と量産し、日本の〝お家芸〟として存在感を放った。しかし、旧ソ連の崩壊によって強豪国が増大した背景もあり、パワー優勢の海外勢に苦しめられる近年は苦戦を強いられている。2016年リオデジャネイロ五輪前年の世界選手権はフリー、グレコローマンともにメダルなしと危機的状況だった。

それでも、リオ五輪本番ではグレコローマン59㌔級で太田忍(ALSOK)が、フリー57㌔級で樋口黎(日体大助手)がそれぞれ銀メダルを獲得し、伝統を死守した。東京五輪でも、文田やフリー65㌔級の乙黒拓斗(山梨学院大)らがメダル候補として期待されている。

驚異の肉体を持つ
世界王者・文田

東京五輪も
世界一つかめ

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