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「獺祭」の旭酒造の酒米コンテスト 福岡・朝倉産山田錦がグランプリ

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グランプリを受賞した農業法人「ウイング甘木」のスタッフ(上段左側、スクリーンショット)
グランプリを受賞した農業法人「ウイング甘木」のスタッフ(上段左側、スクリーンショット)
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 「獺祭」を醸造する旭酒造(山口県岩国市)が主催する酒米(酒造好適米)、山田錦の品質を競うコンテストで、福岡県朝倉市の農業法人「ウイング甘木」が最高賞のグランプリを受賞した。コンテストのテーマは「最高を超える山田錦プロジェクト」で、同社はグランプリ米で“最高の日本酒”を醸し、世界進出戦略の武器としてブランド向上を目指す。(中村雅和)

 コンテストは令和元年度に始まり、2回目。日本酒の原料となる酒米の中でも生産量日本一の山田錦のみを使う「獺祭」は国内だけでなく、欧米などでも人気が高まり、醸造量が増加している。それに比例して山田錦の需要も右肩上がりで、平成30年には国内の生産量の約4分の1にあたる14万3千俵を買い入れた。

 山田錦の国内総生産量の約6割は兵庫県で生産されているが、旭酒造は需要の高まりと並行して、産地拡大に着手。栽培方法の勉強会や研究会といった取り組みを支援し、兵庫県以外に栃木、山口、岡山の各県で契約生産者を増やしていった。ウイング甘木もそんな生産者の1つだ。

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 「素人にはなかなか作りきれないコメですよ」

 ウイング甘木の北嶋将治氏は約10年前、山田錦作りを決意した際に臨んだ勉強会で、ベテラン農家からこう声をかけられたことが「今でも忘れられない」と語る。当時は稲作に携わって約20年ほど。食用米の品評会で受賞を重ねるなど技術に自負はあっただけに、素人呼ばわりに「悔しかった」と振り返る。

 山田錦は食用米より栽培が難しい。米粒が大きく、中心部に心白と呼ばれる白濁している部分がはっきりと形成され、さらに雑味のもととなるタンパク質や脂質の含有量が低いなど、条件をクリアすることは一筋縄ではいかない。北嶋氏も「確かに普通に作れば、失敗する品種」と語る。

 経験から導いたコツは「どれだけ丈夫な根と葉をつけさせるかだ」という。

 成長すれば1メートル近くになる山田錦の稲穂は風に弱いとされる。しかし、北嶋氏は「水平方向に広がりやすい根を、垂直方向に伸ばさせ、しっかりと土をつかんでいたら、倒れる心配は少なくなる」と説明する。

 ただ、そのためには水の管理が欠かせない。いくつかの地区にまたがる計26ヘクタールの田んぼを、1つ1つ見回るだけで、1日5時間を超える重労働だ。時には苗を掘り出してまで根の張り方をチェックするという。

 また、成長に欠かせない葉の生育やそれを支える茎の太さなども、細かく確認する。根の長さや茎の太さなどはすべて記録し、将来の作付けに生かす。

 今では「葉の様子を見るだけで、水や養分が足りないのか多いのか、分かるんですよ」と説明するが、その言葉の裏にさまざまな経験の蓄積があることがうかがえる。

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 グランプリを受賞した今年度の山田錦も、台風や大雨に見舞われ、決して条件は恵まれていなかった。それでも水の管理など、稲の世話に地道に取り組んだ。そうして収穫した山田錦は、粒のそろい具合や色ツヤ、着色などの審査で「圧倒的に他と違った」(桜井一宏・旭酒造社長)と高い評価を受けた。

 同社はウイング甘木産の山田錦を市価の25倍相当となる1俵(60キロ)50万円で60俵(計3千万円)で買い取り、日本酒の仕込みを進める。

 前回、第1回のグランプリ米で醸した獺祭は昨年11月、香港で行われた競売大手「サザビーズ」のオークションに出品され、4合瓶1本が6万2500香港ドル(約85万円)で落札された。

 桜井氏は「日本酒にまだまだ、よく分からない東洋のアルコールというイメージがある。手をかえ品をかえ、アタックしていく。今年もびっくりするようなものを考えたい」と語った。

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