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【九州・山口 新年インタビュー】「新たなビジネスモデルへ改革」笠原慶久・九州フィナンシャルグループ社長

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インタビューに応じる九州フィナンシャルグループの笠原慶久社長
インタビューに応じる九州フィナンシャルグループの笠原慶久社長

 新型コロナウイルスに翻弄され、経済が大変厳しい中、九州フィナンシャルグループ(FG)としては大きなダメージを受けた宿泊・飲食業含めかなり幅広い業種の資金繰りを支援してきた。約1万社に対し計約2500億円のコロナ対応融資をし、一定の役には立てたのではないかと思う。

 今、ここまで第3波が深刻になると、さらなる資金繰り融資が必要になってくる可能性もあるが、今年は少しフェーズが変わってきている。

 新型コロナとの戦いは長期化が見込まれる中、企業もコロナと共生していくような事業の構造変革が求められる。売り上げが8割になっても利益が出せるよう損益分岐点を下げたり、事業の転換を図ったりして、ビジネスが成り立つように変わっていかなければいけない。

 地方銀行として、そうしたことの手伝いに力を尽くしていかなければいけない1年になるだろう。会社ごとに事情も違う。きめ細かく対応していきたい。

■統合と分散

 新型コロナをきっかけにデジタル化の流れが一気に速まった。これは不可逆的な変化で、デジタル化への対応は地域の企業、経済にとって死命を決する重要な課題だ。

 取引先のデジタル化支援には本格的に取り組んでいる。子会社の「肥銀コンピュータサービス」や九州電力グループの「QTネット」と連携してICT(情報通信技術)やテレワーク設備の導入などを支援している。今は熊本中心だが、エリア拡大に向けて検討している。

 今年4月からは、現在立案している新しい中期経営計画(中計)が始まる。金融を取り巻く環境も劇的に変わってきている。相当な危機感をもって臨んでいかなければいけない。

 この中計の3年間は「改革」をテーマに掲げ、九州FGのビジネスモデルを作り上げていきたい。九州FGは肥後銀行と鹿児島銀行という地域トップシェアの2行が経営統合してできた。中央集権型の組織ではなく、軸足は各銀行にある。だからといって統制がとれず、効率化が進んでいないということではない。統合すべきところは統合し、分散すべきところは現場に任せる。統合と分散のバランスの取れた新しいビジネスモデルを次の3年間で確立していきたい。

■経営資源をシフト

 銀行を取り巻く収益環境は厳しく、顧客のニーズも金融サービス以外が大きくなってきている。顧客のニーズに積極的に応えるためにも非金融領域にはしっかりと踏み出していかなければいけない。

 典型的なのは人材ニーズだ。少子高齢化の中で人手不足が深刻化し、事業承継も問題になっている。人材紹介ビジネスのような事業には本気で取り組まないといけない。事業承継でいえば、後継者を紹介することもそうだが、M&A(企業の合併・買収)で引き継いでいくということもある。そういう意味ではコンサルティングビジネスも大事になってくる。

 顧客や地域のニーズにしっかり応えて、その結果として利益がついてくる。そういうスタンスで臨んでいけば収益化が可能だ。多少時間はかかるかもしれないが、挑戦していかなければいけない。

 金融サービスでは、資産運用やクラウドファンディング(CF)事業を育てていきたい。昨年立ち上げたCF会社も比較的順調に案件が出てきている。現在の中計で「銀行」「証券」「信託」のワンストップ態勢はある程度できた。そこに資産運用やCFも加え、金融サービスの価値を高めていきたい。

 コロナ下で銀行店舗のあり方も見直さざるを得ない。これまで鹿児島銀では店舗の統廃合を進めてきたが、肥後銀は1店舗も閉めない方針でやってきた。しかし次期中計ではタブーなしに相応に見直していく。

 デジタル化などを進め、事務に携わる人員は減らしていく。その分の人員は非金融事業などに回す。今後、新しいビジネスがどんどん出てくる。人員や資本など経営資源もシフトしていく必要がある。

 今年はいろいろな意味で大きな変化、厳しい状況があるだろう。それでも未来をつくっていくのは自分たちだ。「未来はどうなるのか」ではなくて「未来をどう作っていくか」という気概を持ってグループを引っ張っていきたい。(小沢慶太)

 【笠原慶久(かさはら・よしひさ)】 昭和37年1月、東京都出身。慶応大経済学部を卒業後、59年に富士銀行(現みずほ銀)に入行。法人業務部長、みずほ信託銀常務執行役員などを経て、平成27年4月に肥後銀常務執行役員監査部長に就任。30年6月から同行頭取、令和元年6月から九州FG社長を務める。

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