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今期で退任、岩切・薩摩川内市長「原発は基幹エネルギー」 震災後の再稼働、ぶれずに安定供給支える

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記者会見に臨む鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長
記者会見に臨む鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長

 11月6日までの今期限りで引退の意向を示している鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長が15日、退任前最後の記者会見に臨んだ。九州電力川内原発1、2号機(合計出力178万キロワット)が立地する同市の首長として、東日本大震災後の原発再稼働に理解を示し、政府のエネルギー政策や九州の電力安定供給を支えてきた。この日の会見では、3期12年について「あっという間だったが、(市政の課題を)ある程度達成できたのではないか」と振り返った。(九州総局 中村雅和)

 岩切氏は市総務部長や副市長などを経て平成20年、市長に就任し、一貫して原発稼働を容認してきた。

 特筆すべきは、3期目を目指した前回(平成28年)の選挙戦だろう。

 この年7月の知事選では原発停止を公約に掲げ、反原発団体と政策協定を結んだ三反園訓前知事が当選していた。10月に投開票された新潟県知事選でも反原発派から支持を受けた米山隆一前知事が誕生。原発立地自治体の首長選では原発容認派に強い逆風が吹き荒れていた。

 その市長選で、結果次第で原発への逆風がさらに強まりかねない中、岩切氏は「原発は基幹エネルギー」とぶれずに訴え続け、3選を果たした。

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 川内原発は東日本大震災後に策定された新規制基準に全国でいち早く合格し、再稼働を果たした。現在は飛行機によるテロ対策を目的とする特定重大事故等対処施設(特重施設)が完成していないため1、2号機ともに停止しているが、工期短縮のめどがつき、1号機は11月26日、2号機は12月26日に発電を始める。

 このため、次の課題は運転期間延長だ。1号機が令和6年7月、2号機は7年11月に原子炉等規制法上で定められた原則40年の運転期限を迎える。同法上1回に限り最大20年の延長は可能だ。

 川内原発2基の合計出力178万キロワットが脱落した場合、電力供給面での影響は大きい。地球温暖化への対応を踏まえれば、今後さらに規制が強化されると見込まれる火力発電での置き換えは現実的でない。二酸化炭素を排出しない電源として期待される再生可能エネルギーも、出力の安定性など課題が多い。さらに環境アセスメントの強化などで大型再エネ開発のハードルは上がる。

 「40年ルール」までの残された期間で、川内原発を置き換えられるような状況はない。安定的な電力供給を維持し、再エネ導入を推進するためにこそ、既存の原発を最大限活用することが欠かせない。

 この40年超への延長について、岩切氏は6月の定例会見で容認しており、この日も改めて「総合的に判断して原発に劣らないものが出てくるまでは、必要性を感じている」と強調した。

 7月に投開票が行われた県知事選で、初当選した塩田康一知事は、この問題について「20年延長を認めるとも、認めないとも言っていない」とあいまいな姿勢に終始。9月の県議会では「必要に応じて県民の意向を把握するため県民投票を実施する」と述べた。

 この点について、岩切氏は「いきなり県民投票という風には思っていない。ただ、私が県の行政に突っ込んで言及するのは避ける」と述べるにとどめた。

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 岩切氏の後継を選ぶ市長選は18日に告示され、25日に投開票される。現時点で新人4人が名乗りを上げている。今回は明確に反原発を訴える候補はおらず、市内経済の振興策などを中心に論戦が戦わされるとみられる。後継者への期待について、岩切氏は会見で「10年、20年と通用するような施設や制度をつくった。運営は次の方に委ねたい。継続がなければ市町村は発展しない」として、現路線の継承を求めた。

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