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九州・山口地銀決算 コロナが影響、15行が減益・赤字 信用コスト増に株減損

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 九州・山口8県の地方銀行の令和2年3月期決算が28日までに出そろい、21行中、約7割に上る15行で最終利益が減益または赤字となった。日銀のマイナス金利政策の長期化に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年に入ってから信用コストを積み増したことや保有株式の減損損失が膨らんだことが利益を押し下げた。新型コロナの影響は今後本格化するとみられ、多くが3年3月期は最終減益の見通しで、さらに厳しい経営環境が予想される。(九州総局 小沢慶太)

 「株式の減損がなければ、かなりいい決算だった。グループ全体として増益だっただろう」

 九州フィナンシャルグループ(FG)の笠原慶久社長は記者会見で、増収減益となった決算に口惜しさをにじませた。

 減益の主な要因は、株式の減損損失だ。

 2月下旬に2万3千円台だった日経平均株価は、新型コロナの世界的な感染拡大とともに急落した。3月中旬には下げ幅が連日1千円近くに達し、19日の終値は1万6552円と3年4カ月ぶりの安値水準となった。好調な株式市場を背景に、マイナス金利下で厳しい地銀経営を支えていた有価証券の運用に大きな打撃を与えた。

 九州FGは、FG発足に伴って発生した利益を計上した際、保有株式の簿価を切り上げたが、新型コロナの影響による株価の急落で減損を余儀なくされた。その結果、株式等関係損益は前年同期比100億円の大幅減となる57億円の赤字だった。

 減益となった宮崎銀行も、今年2~3月に株式等関係損益に11億円のマイナスが出たことが響いた。

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 信用コストの増加も減益の大きな要因となった。

 西日本フィナンシャルホールディングス(FH)は、経済の悪化を見越し、貸倒引当金を約11億円積み増すなど信用コストが同9億円増の64億円となった。ふくおかFGも、傘下の4行合算で、新型コロナ関連で87億円を計上した。

 ふくおかFGの柴戸隆成会長兼社長は「信用コストは大きく引き当てたので、リスクへの手当はかなりできている」と話す。

 比較的、余力のある両社のように2年3月期で予防的に積み増す地銀がある一方、新型コロナが経営に本格的な影響を与えるのは3年3月期からで、同期は多くの地銀で信用コストがさらに増える見込みだ。

 山口FGの吉村猛社長は「4月くらいから新型コロナの影響が少しずつ本格化してきている」とみる。

 山口FGは3年3月期の信用コストを約130億円とし、そのうち新型コロナ関連が60億~65億円程度を占める見通しだ。九州FGもリーマンショック後と同規模となる約50億円の信用コストを見込む。

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 同期の最終利益は、10社が最大6割程度の減益を予想している。業績予想を公表していなかったり、新型コロナの影響を織り込んでいなかったりする地銀もあるため、全体の業績はさらに悪化する可能性もある。

 ただ、新型コロナの影響は金融機関にとって、資金需要の高まりによって、融資など貸出金が増えるというプラスの側面もある。

 西日本FH傘下の西日本シティ銀行は、取引先約4万社に対し、新型コロナの影響があるかどうかを調査。そのうち、マイナスの影響があると回答したのは65%に上る約2万6千社だった。

 22日までに約1万2500社から計4360億円の融資相談があり、約4千件、計約1750億円の融資を実行した。

 西日本FHの谷川浩道社長は「取引先の状況は千差万別だが、地銀としての真価が問われている大事な局面にあると自覚している。総力を挙げて支えていく」と強調する。

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