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17線区すべて赤字 JR九州がローカル線収支公表 青柳社長「地元と維持策検討」

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 JR九州は27日、利用客が少ない鉄道路線の線区別収支を公表した。1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が2千人未満の線区が対象で、同社が線区別収支を公表するのは初めて。公表された17線区すべてが、運賃など収入を運行に必要な経費が上回る赤字で、地方ローカル線の厳しい運営状況が浮き彫りになった。(九州総局 小沢慶太)

 自家用車の普及や人口減少などにより地方のローカル線では乗客の減少に歯止めがかからない。同社は平成29年から全線区別の輸送密度などをホームページで公表している。今回、さらに乗客の少ない線区に絞って収支を明らかにしたのには、現状を沿線と共有し、将来にわたる維持策を地元と検討していくためのきっかけとしたい狙いがある。

 青柳俊彦社長は、記者会見で「一企業だけで維持していくのは非常に大変な状況だということを理解していただきたい。地元と維持策を一緒に考えていかなければいけない」と話した。

 公表対象となった輸送密度2千人未満の線区は14路線の20線区で、全体(59線区)の3割以上に上る。公表したのは30年度収支で、豪雨災害や熊本地震で被災し、運休した3線区は除いたため17線区となった。29年の九州北部豪雨で被災し、復旧方法が検討されている日田彦山線の田川後藤寺-夜明もこの3線区に含まれる。輸送密度2千人未満の線区を公表対象としたのは、「地方ローカル線というイメージの線区に絞った」(青柳氏)としている。

 赤字が最大だったのは日豊本線佐伯-延岡で6億7400万円。営業収益3億9600万円に対し、維持管理などの営業費は10億7千万円だった。次いで肥薩線八代-人吉が5億7300万円の赤字で、最も少なかったのは宮崎空港線田吉-宮崎空港で600万円の赤字だった。

 青柳氏は「それぞれ路線の性格が違うので、赤字の大小ではなく、いかに維持していくかだ」と強調する。

 公表対象の20線区はいずれも乗客の減少が著しく、将来的な路線維持が難しくなる可能性がある。JR九州が発足した昭和62年度と平成30年度の輸送密度を比べると、日豊本線佐伯-延岡は74%減、肥薩線八代-人吉は79%減と大幅に乗客が減っている。

 乗客減に伴い収支が悪化すれば、廃線やよりコストの低いバスへの転換という選択肢も浮かんでくる。

 実際、日田彦山線添田-夜明は災害をきっかけにバス高速輸送システム(BRT)への転換が現実となる見通しだ。JR九州が以前公表した同区間の28年度収支は、運賃など収入2800万円に対し、運行に必要な経費が約2億9千万円で、2億6千万円の赤字だった。JR九州は鉄道復旧の条件として、沿線自治体に計1億6千万円の財政負担を求めた。

 同社は、公表対象の20線区のうち7線区ですでに沿線自治体と鉄道維持に向けた検討会を立ち上げ、今後残りの13線区でも設置を進める考えだ。

 青柳氏は将来的な廃線やバスへの転換、地元の財政負担などについて「今の段階でそういうことを前提に議論するつもりはない」と述べた。しかし、こうも付け加えた。

 「将来、(地元と)信頼関係ができたときにはいろいろな検討が俎上(そじょう)に上がってくるのではないか」

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