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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】コロナ対策 「有事」見据えた法整備を

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 世界中で中国・武漢発の新型コロナウイルスとの闘いが続く中、日本では、国民の献身的な自粛生活と緊急事態宣言が功を奏し、感染者数は減少し、感染爆発には至っていない。しかし、専門家は第2波、第3波の襲来を指摘しており、まだまだ油断は禁物である。

 今回、緊急事態宣言の発令によって、改正新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)の問題点が浮き彫りとなった。

 一つ目の問題点は、休業要請に従わない事業者への対策である。

 多くの国民が「3密」(密閉、密集、密接)を避ける取り組みを懸命に行う一方で、一部のパチンコ店が、知事の「要請」に応じず、さらには「店名公表」、「指示」にも従わず、営業を続けた。他の多くの店舗が休業する中で、客が押し寄せて感染リスクが高まった。しかし、いずれも罰則などの強制力がないため、打つ手がなかったのである。

 国難ともいえる状況の中、国民の生命を守るためには、パチンコ店に限らず、休業要請に従わない事業者に対して罰則などの強制力ある法整備を急がなくてはならない。

 二つ目は、休業に伴う損失補償の規定がないことである。

 今回の緊急事態宣言においても、明確な損失補償の基準がないことから、国と休業要請の判断を委ねられた都道府県知事との間で、整合性ある迅速な補償対策が打てずに混乱が生じている。知事としては権限だけ与えられても、経済的な裏付けがなければ休業要請自体を躊躇(ちゅうちょ)することとなってしまう。

 第2波に備えるためには、このような特措法の問題点を早急に改正しなくてはならない。

 安倍晋三総理は、4月7日の緊急事態宣言発令の会見において、「この国家的な危機に当たり、ウイルスとの闘いに皆さんのお力をお借りしたい」、「人と人の絆、助け合いの心をもって共に力を合わせれば、必ずや試練を乗り越えることができる」と呼びかけた。実際、強制力のない緊急事態宣言にもかかわらず、日本国民の倫理観、公共心、道徳心の高さは、本当に誇らしい。

 ただ、現実には、そのような倫理観、公共心、道徳心を持ち合わせていない者たちも存在する。やはり、有事には、法に基づく強制力や罰則が必要であり、そうでないと実効性がない。

 「罰則は人権侵害につながる」との反対意見もあるが、日本は某国のような一党独裁国家ではなく、健全な民主主義国家である。国民に普通選挙権が与えられ、その民意を反映して国会議員が選ばれ、議院内閣制によってリーダーたる総理大臣が誕生する。まさに民意を反映したリーダーである。そのリーダーたる総理大臣に権限を持たせ、これを最大限に活用して国難を乗り切るのは当然のことである。この権限を悪用・誤用して国民に多大な損害を与えるようなことがあれば、次の選挙で国民が審判を下せばよい。

 日本人は長年の平和ボケで「平時」と「有事」の区別がつかなくなっているが、今こそ、「有事」を見据えた法整備を行い、この国家的危機を乗り越えなくてはならない。

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【プロフィル】堀内恭彦

 ほりうち・やすひこ 昭和40年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校、九州大学法学部卒。弁護士法人堀内恭彦法律事務所代表。企業法務を中心に民事介入暴力対策、不当要求対策、企業防衛に詳しい。九州弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任。九州ラグビーフットボール協会理事(スポーツ・インテグリティ担当)、元九州大学ラグビー部監督。

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