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休業要請解除1週間 「次は協力しない」福岡・中洲の接客飲食店、不満も

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客足がまばらな九州随一の繁華街、中洲
客足がまばらな九州随一の繁華街、中洲

 ■公平感なく「自粛損」の声

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の解除を受け、福岡県が民間施設への休業要請を原則解除して22日で一週間。百貨店や飲食店が徐々に営業を再開し、街に日常が戻りつつあるが、3密(密閉、密集、密接)の可能性が高いキャバクラなど接客を伴う飲食店には要請が続く。休業に応じる業界関係者は一定の理解を示すが、解除対象に性風俗店が含まれたことに疑問の声も。パチンコ店と違い、要請を無視して営業するキャバクラに休業指示などを出せない実情に「次は協力できない」などと不満が募っている。(九州総局 中村雅和)

 九州最大の歓楽街、中洲のキャバクラ「ベネ福岡」は4月上旬から営業自粛が続く。約40人の女性が在籍するが、1カ月で数千万円の売り上げはゼロに。売り上げに応じた歩合を受け取る従業員女性の給料も、ほぼゼロになった。

 「集団感染を店で発生させてはいけないし、自分にも家族がいるから、リスクは下げたい。営業しないことそのものは仕方ない」

 同店の責任者、加茂雄一郎氏は一定の理解を示す。現在、行政の助成制度の適用可能性の検討や、金融機関、不動産会社などとの交渉などに追われている。

 県は15日、民間施設への休業要請を原則解除した。ただ、キャバクラなど接客を伴う飲食店やカラオケ店などは解除対象外。過去にクラスター(感染者集団)が発生した施設や業種に対し「格段の留意が必要」とした国の事務連絡に従って判断した。小川洋知事も14日の記者会見で「現にクラスターが発生したところに絞って要請した」と説明した。

 そのため、クラスターの発生例が確認されていない性風俗店は解除対象に含まれた。これに対し加茂氏は「性風俗店より明らかに接触度が低いキャバクラに自粛要請が続くのはバランスからも腑(ふ)に落ちない」。ある関係者は「そもそも感染者が性風俗店に行ったと正直に打ち明けるはずがない。表面化していないだけだ」と強調する。

 また、県の措置に不公平感が募る。

 県はあくまで「要請」しているだけで、従わない店に対して強制力はないからだ。パチンコ店には改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業指示にまで踏み込んだが、キャバクラなどには「パチンコ店と比べて営業実態が把握しにくく数も多い」(県担当者)という事情から、同じ措置は採れないという。

 県は宣言期間中、各市町村から提供を受けたリストに基づき、営業を続けている店舗を個別に訪問し、自粛協力を求めてきた。現在も県民の情報提供をもとに地道に呼びかけを続ける。ただ、接客を伴うか否か-などの営業形態はまちまちで一律の対応は難しい。

 業界関係者によると、中洲では少なくとも10軒以上のキャバクラなどが、要請を無視して営業しているという。複数の飲食店を手掛ける男性経営者は「営業を続けている店に、自分たちの店の女の子が移籍している。さながら『自粛損』のような状況。県は現実を見ていない」とこぼす。

 中洲に限らず、夜の街での引き抜きは「不毛な対立や消耗を招くから、やらないことが不文律」(業界関係者)だ。ただ、営業自粛によって、職場を失った女性従業員からすれば、営業を続けている店に移ればとりあえず収入が得られる。

 この経営者は「彼女たちにも生活などそれぞれの事情がある」と一定の理解を示しながらも、「このままでは再開時に店が立ち行かない。この状況では第2波、第3波で『自粛要請』を受けても次はもう協力しない」と語気を強める。

 休業要請は事業者に負担を強いる。それだけに従うか否かは補償を含んだ運用面に負うところが大きい。第1波では、事業者の協力などもあって辛うじて抑えこみに成功しつつある。しかし、こうした不満や不公平感を放置すれば、今後の拡大局面で危機的な状況を招きかねない。

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